カップそばとおしるこ
除夜の鐘を聞きながら、ベランダでカップそばを啜る。
CMで見る一般家庭のように、茹でたそばに大きな海老の天麩羅が載っているものを食べる事に、とても魅力を感じる。
けれども、一人暮らしの年の末は、カップそば位の適当さが丁度いい。
それにカップ麵には外で食べやすいという気軽さもある。
「年越しそばですか?」
いつものひらひらとしている手が話しかけてきた。
お隣さんも大晦日は夜をふかすタイプみたいだ。
「カップ麵ですけれどね」
「いいですね。私は年越しそばという概念を、ズズズという音を聞くまで忘れていたので」
啜るような、綺麗な咀嚼音は飯テロになるようだ。
「要りますか?」
そう言ってちゃんと爪が整っている綺麗な手に、シュリンクが付いたカップ麺を掴ませた。
「ありがとうございます」
3分後、お隣さんからズズズっと啜る音が聞こえてきた。
うーん、やはり飯テロ。
2個目が食べたくなってしまう。
テレビもスマホも付けていなかったけれども、近く遠くから、あけましておめでとうやらハッピーニューイヤーと聞こえてきたので年が明けたようだ。
「あけましておめでとうございます」
「あけましておめでとうございます。これ蕎麦のお返しです」
彼女に上げたカップ麵の容器が返ってきた。
受け取って、中は何かと覗くと、お汁粉が入っていた。
区切りが良いので終わります。
3、4年間ありがとうございました。




