恋愛のアドバイス1
恋せよ乙女たち!女の子は恋をして美しくなる!
大好きな人を大切にね♪
「恋はしないよりした方が絶対に良いよ」とスズ婆ちゃんが言うと、夏奈子と真美ちゃんと渚ちゃんは、「なるへそねぇ〜」と言って、頷きながらイチゴ味のマシュマロを口に入れた。続けて煎餅を食べた。
「あら、美味しいわね。この煎餅はイケるわねぇ」と夏奈子が言うと真美ちゃんは「煎餅、久々に食べたけどさ、美味しいねっ!」と言って相槌を打つと両手に煎餅を2枚持って交互に食べ始めた。
「家で飲む麦茶よりも濃くてさ、大人の味の麦茶みたいだわ」と渚ちゃんは右手の小指を立てながらコップを持つと麦茶を一気に飲みほした。
夏奈子は渚ちゃんの動作に大人の雰囲気を感じた。
夏奈子は大人の余裕や雰囲気に憧れていた。大人と言う言葉の響きにも過剰に反応していた。
夏奈子は麦茶をコップに注ぐとコップをスタンドライトに透かしてワインのように色を確認すると、コップを少し掲げて肩を竦めてから「はーっ。この暑さ、気だるいわよねぇ」と、ため息を吐きながら言って、髪を掻き上げた。大人の仕草を真似たくて自分に酔っているのだ。
「暑いのかい? じゃあ、少し窓を開けるかい?」とスズ婆ちゃんが無頓着に言うと夏奈子はそわそわしながら「じゃあ、それ、貴方にお願いするわ」と大人っぽい口調でスズ婆ちゃんに言った。
「夏奈子、どうした? 眠くなってきたのかい?」と母、幸子は夏奈子の髪を撫でながら言った。
「ち、違うわよ。ちょっと、お母さん、皆の前でさぁ、髪、触んないでよね」と夏奈子は大人のムードを台無しにされて、勝手にふて腐れた。
「好きな人がいないよりもいる方が人生の充実感や幸福感の度合いが違うよ」とスズ婆ちゃんは優しく言いながら笑った。
「なるへそなぁ。やっぱりそうだよね。女は恋をして綺麗になるとも言うしさ」と夏奈子はケロッと気分を変えて言うと、ブルーベリー味のマシュマロを口に放り投げて笑った。
「イケメンでカッコいい人を好きになるのは別に構わないけれど、優しい人を見つけなさい。優しさや人柄や思いやりのある男を選びなさいよ」とスズ婆ちゃんは語調を強めて言った。
「なるへそなぁ。本当にその通りだわ!」と真美ちゃんが力んで言った。夏奈子の「なるへそ」が移ったようだ。
「何か質問はあるかい?」とスズ婆ちゃんは皆を見回して言った。
「私、好きな人がいて、まだ片想いなんですけど、彼の前だと緊張してガチガチになるんです。リラックスして話せるようになりたいんですが、どうしたら良いですか?」と渚ちゃんは顔を赤らめて言った。
「ふむ。好きな人の前だと緊張してしまうわよねぇ。男の子が傍にいない時にイメージするんだよ。 『彼に優しくしたい。彼と仲良くなりたい。素敵な笑顔を忘れずにいよう』と心の中で唱えなさい。その言葉のように気持ちが変わっていくから」とスズ婆ちゃんは渚ちゃんの肩を擦りながら優しく言った。
「恋はね、恋する強い気持ちがあるか無いかで大きく変わるものなのよ。内面から意識を変えていく事が大事なの」とスズ婆ちゃんは力強く渚ちゃんの肩を擦りながら言った。
「なるへそねぇ。頑張ってみます。でも、困ったことに隣の席の玲慈君が好きなんです」と渚ちゃんは『なるへそ』を混えて言った。渚ちゃんは真っ赤な顔をして瞳が濡れていた。
「すぐ傍にいるのは逆に好都合よ。気持ちが入りやすいからさぁ。渚ちゃん、玲慈君に笑顔を見せるようにしなさいよ。笑顔は幸せを与えるのだからね。上手く話せなくても、笑顔を常に玲慈君に見せるようにしなさいよ。男の子はね、素敵な笑顔を見せる女の子に心を開きやすいものなのよ」とスズ婆ちゃんは笑顔で言った。
「なるへそ。分かりました! 勉強になります!」と渚ちゃんは頭を下げてお礼をした後、煎餅を食べた。
「片想いは辛いからね。好きな気持ちは相手に伝えるべきだよ。本音は男の子から告白して欲しいけど、言わない後悔をすると、後々、自分を苦しめるよ。手紙で告白なんていうのも素敵だわねぇ。今時、中々、手紙の告白はないし、しないでしょう? メールはダメよ! ラインもダメ! 直接会って相手の目を見て告白するか、手紙だね。
手紙は時間や空気、好きという想いが詰め込まれているから。手紙はさ、ある意味、『文章によって永遠の愛を刻み込む勇気ある証明と行動』なのよ。手紙の告白は価値ありよ!」とスズ婆ちゃんは熱弁をして立ち上がった。
「そうだ! 私が若い頃、和雄爺ちゃんから貰ったラブレターがあるのよ。見てみる?」とスズ婆ちゃんは少し興奮気味だった。
「見たい見た〜い!!」と夏奈子は、はしゃぎながら言った。真美ちゃんと渚ちゃんは拍手をして頷きながら笑っていた。母、幸子は麦茶を皆に注いでいた。
「500通くらいあるからさ、結構、ああ見えても、筆まめな男なんだわ」とスズ婆ちゃんは押入れに行くと1番下を開けて緑色の小型の金庫を取り出した。
「え〜と…、1970。ビートルズが解散した年が愛称番号なのよ。フフッ」とスズ婆ちゃんは言った。
色褪せた封筒が時空を越えて現代に現れた。
スズ婆ちゃんは数々の手紙から、1枚、適当に選んで引き抜くと封筒の裏を懐かしそうに眺めた。
「懐かしいね。ムフッ」とスズ婆ちゃんは顔を赤らめると、手紙を自分の顔に押し付けて匂いを嗅いだ。
「ちょっと、待ってよ。まず手紙の中身を確認してからでないとね」とスズ婆ちゃんは言って、封筒から手紙を取り出すと黙読し始めた。
皆はその様子を固唾を飲んで見守っていた。
読んでいるうちに、スズ婆ちゃんの瞳が涙で輝いて潤んできた。
「はあんっ。懐かしい」とスズ婆ちゃんはため息を吐くと手紙を封筒に入れて手紙の束を金庫に戻すと、黙って立ち上がり、押入れを開けて金庫を元の場所に置いた。
「あれれ!? 手紙は読んでくれないのかなっ?」と夏奈子は呆然としながら言った。
「ねぇ。楽しみにしていたのに」と真美ちゃんも言った。
「男の子からラブレターなんて貰った事がないから、内容を知りたかったです」と渚ちゃんも言った。
「プライバシーの侵害というのを忘れていたわ。
知らないところで手紙を勝手に読まれていたら、和雄爺ちゃんに悪いものね。皆、ごめんね」とスズ婆ちゃんは言って、ため息を吐くと、髪を掻き上げてから首を右に僅かに傾げて、右手の人指し指で涙を拭った。
スズ婆ちゃんの大人の雰囲気を醸し出す色っぽい一連の仕草を見つめていた夏奈子は、早速、影響を受けたのか、何度も「はーっ」とため息を吐くと「本当に暑いわよねぇ〜」と言い、首を少し右に傾げると、人指し指で右目の目ヤニを取った。
つづく
ありがとうございました!また読んでね♪
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