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幸せのベル

読者の皆様、楽しんでくださいね!いつもありがとう!

 僕は駅に着いた。家までに着く時間は約15分くらい。辺りはウルトラマリンブルーディープの色になっていた。

 子犬は心細いのか「キュ〜ン」と何度も鳴き声をあげた。

 「よし、よし。もう少しでお家でしゅからねぇ〜♪ 大丈夫でちゅよ〜」と僕は言って子犬の頭を優しく撫でて安心させた。

 

 チリン、チリ~ン♪


 後ろから自転車のベルが、2度、鳴った。驚いて見てみると、亜美が自転車に乗ってやって来た。

 再びベルを2度と鳴らすと僕の横に停めた。亜美は「よう!」と言って笑いながらベルをまた2度と鳴らした。


 「なんだ、亜美か。驚かすなよ」と僕はホッとした。


 「竣、今、帰りなの? どこに行っていたの?」と亜美は自転車から降りて言った。

 

 「亜美、話せば長いから簡単にして話すよ。『7(ナナ)』に行って、そこで出逢いがあって、本屋で夏奈子の本を買って、『バディこそがロック』でコンタクトレンズを探しに探してさ、で、子犬を見つけて、子供と戯れてきたのさ。亜美は何処に行った帰りなの?」と僕は亜美に段ボールを預けた。


 「『レモン』で借りていた映画を返してきた。ちょっとぉ~、きゃわゆい〜っ! この子、どうしたの? かわいい~!」と亜美は段ボールを受け取って子犬に顔を寄せながら「はじめまちてぇっ。亜美ちゃんだよ〜っ!」と甘えた声で言った。


 『レモン』は近所にあるレンタル映画のお店。大手にも負けていない豊富な品揃えが嬉しい。

 

 僕は亜美の自転車に股がり「亜美、後ろに乗りな。子犬を絶対に落とさないようにね」と言って亜美に段ボール箱を丁寧に渡した。

 

 「分かったよ。安全運転でね。美絵ちゃんに見られたら、こりゃ怒られるな。あはは!」と亜美が言って笑いながら後ろに乗った。 

 

 僕はゆっくりとペダルを漕いで自転車を走らせた。

距離が近い位置にいるため、海の香りがしてきた。周りには誰もいなかった。星降る夜道を家に向かって静かに自転車を走らせた。穏やかで綺麗な星が煌めく夜だった。

  

 「君は、かわいいでしゅねぇ〜♪ お名前はなんでしゅか?」と亜美が子犬に話しかけると「わぁん、わぁん! きゅ〜ん」と子犬が亜美に甘えた声を出した。


 「竣、名前は決めたの? 性別は?」


 「名前はこれから決めるよ。女の子だよ」


 「そうか、女の子同士でしゅねぇ〜。よろしくねっ! 名前は、アンジーはどう?」

 

 「悪くないよ。色々と候補あったんだ。ジュリアとか、ジェニーとか、うんことか」と僕は、翼くんと恵子ちゃんと英理ちゃんの顔を思い浮かべながら言った。

 

 「ジュリア、ジェニーは良いけどさ、もうひとつの名前は、なんで浮かんだのさ? 落差が激しすぎるって」と亜美は言って笑った。

 僕は亜美に、電車のホームで出逢った子供たちとの話を話して聞かせた。


 「ふ〜ん。可愛い子供たちだね。小学2年で電車に乗るなんて、自立心がある子達だね。立派、立派。水玉市民プールは未だに健在で現役なんだぁ〜。そうだ! ねぇ、竣。皆で近いうちに水玉に行ってみない?」と亜美は僕の肩を強く揉みながら言った。


 「痛いって。そりゃ良いね!! 皆でさ、海でキャンプとかもしたいよね!」と僕はかなり乗り気で賛成の意思を伝えた。

 

 「キャンプが良いかも。最高だね。後でゆっくり考えてみよ~う!」と亜美は僕の脇腹をこちょばして言った。

 

 「ちょい、やめろって、うひょひょ…、亜美、ちょいと、危ないから止めて!」と僕は若干、自転車の速度を落としてハンドルを左右に小刻みに揺らしなが言った。


 家に着くと僕は亜美に「ありがとう。助かったよ」と感謝を言って、皆で海でキャンプをするか、水玉市民プールに行くかの話を、明日、亜美の家で話そう、と約束をした。亜美は「分かったよ。午後1時頃に来てね」と言った。僕は「辛ッシュシタツンは2度と出すなよ!」と亜美に念を押した。亜美は笑いながら手を振って家に戻っていった。


 玄関の靴を見ると、母、幸子はまだ帰宅していなかった。僕は茶の間に行くと、スズ婆ちゃんが晩御飯の支度をしていた。


 「婆ちゃん、ただいま」と僕は言って台所に子犬を抱っこしまま連れて行った。

 

 「おやまあ!! 何処の子だい? 可愛いねぇ。竣、家で飼うのかい?」とスズ婆ちゃんは手を綺麗に洗い流してから子犬を抱いた。


 「眠たそうだねぇ」子犬は疲れもあり、リラックスしているようで、眠そうになっていた。


 「シベリアンハスキーは暑さが苦手だから、気をつけて飼うんようにするんだよ」とスズ婆ちゃんは言った。素早い理解力と包容力に感謝だった。


 「爺ちゃんは?」


 「寝た」


 「野球は見ないの?」


 「『始まったら起こせよ』と言われたけど、起こさないでみよう」とスズ婆ちゃんは爺ちゃんにイタズラを決行することにしたみたいだ。

 

 「夏奈子は?」と僕はソファーに座りながら言った。

 「風呂に入ってるよ」とスズ婆ちゃん言って、子犬を優しく段ボールの中に戻すと、小皿にミルクとお水を入れて、子犬が咀嚼できる消化に良い食べ物を用意にしてくれた。その後で今晩の晩御飯の料理の再開をした。

 

 僕は浴場に行き扉をノックした。シャンプーの良い匂いがする。


 「誰?」と夏奈子はシャワーを浴びているようだが、声を張り上げて言った。


 「兄ちゃんだよ。今、帰ったよ。子犬は寝むそうだから、静かにしてね」と僕は扉越しに言った。


 「わかったよ〜♪」と夏奈子は言うと、ビートルズの「オール・マイ・ラヴィング」を歌い出した。





つづく


ありがとうございます!

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