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第21警備隊隊長、奔走中!  作者: 桜木るさ


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24/24

第24話 フランメリア事件の一時収束

翌日、第1地区にある自警団本部5階にある団長室には、部屋の主で自警団団長のザンリと、フランメリアの件の責任者である第21警備隊隊長ルミリア、自警団を統括する総務隊隊長ロドリゴ、研究室室長リセン、第1警備隊隊長センクの5人が集まっていた。


「それじゃあまずはルミリア隊長から報告を」

「はい」


 ザンリの言葉に頷き、ルミリアが立ち上がって予め配っておいた報告書を読み上げる。


 ほとんど何も聞かされずに喚ばれたロドリゴの為に、捜査の始まりから全てを報告する。


 報告書を読み終わる頃には、リセンがうつらうつらとしてきているが、1番の年長者なので誰も注意できず、報告が終わる。


 一旦リセンはほっといて、ロドリゴから質問が飛んでくる。


「フランメリアについてだが、最初から侵食については分かっていなかったのか?」

「……最初は分からなかったそうです。フランメリアは地下迷路の植物ですが、体内に入れなければ侵食はしないもので、ただ、侵食とは別に酩酊作用をもたらすので大陸では煙草に使われているそうですから」

「なるほど。それじゃあ、大陸では結構一般的に広まってそうだな。それがここルミリシンに密輸され、広範囲にばら撒かれたってわけか」


 制服のポケットからロドリゴが手帳を取り出し、メモしていく。団長並みに大柄なロドリゴがメモ帳を握っていると、メモ帳がミニチュアのように見えてくる。


「それで、どうして私は喚ばれたのか聞いても?」

「昨日4人の実行犯を拘束して、尋問もしたのですが、3人は口が固かったのですが、1人が実行犯はこの4人だけと言っていて、本当かどうかはともかく、被害者のほとんどが4人に関連する場所で買い物なりをしているので、ほぼあっているかと。それで、出処がある程度分かったのでこれから公開検査を行いたいと思います」


 ルミリアが言い切ってから、リセンの身体を揺らす。


「先輩先輩。公開検査の詳細お願いします」

「んっ。あぁ、公開検査な」


 1日合わなかっただけで隈を濃くしたリセンがノロノロと立ち上がる。


「公開検査については、どこか広い場所の確保をお願いします。それから、侵食の検査なのでなるべく医療関係者にやってもらいたいので、協力の要請もお願いします。治療は免許を持っている人を集めてやってもらう感じかな。若隊長も治療な」

「分かりました」

「それじゃ、総務隊の方から各所に連絡させていただきますね」


 お願いします、とルミリアもリセンと共に頭を下げる。


「そういや、犯人の身元については報告なかったな。家宅捜索はまだしないのか?」

「それが……」


 センクに質問され、ルミリアも言葉に詰まり、困ったように首を傾げる。


「それが、よく分からないんです。4人中3人、ツイリという女以外は戸籍がまずなくて、ツイリについても、卒業した初等学校までは分かったのですが、その後どうしていたかが全く分からなかったです」

「戸籍が、ない?」

「顔立ちは完全に移民系ではないですが、あとは大陸の方に戸籍がある可能性もありますが……。あと、家宅捜索については、4人共住所については語らなかったので、特定できませんでした」

「1人、色々と証言していたんじゃないのか?」

「部下の報告によると、説明しようとしていたそうですが、本人もよく分かっていない様子だったそうです」


 ルミリアの言葉を最後に、団長室は沈黙に包まれる。ザンリは腕を組み目を閉じ、ロドリゴは丸めた手を顎に当て、リセンは頭だけ俯かせて寝ている。


 ルミリアも立ったまま報告書を睨み、考えているふりをする。


がたっ


 沈黙を破ったのは、身体がビクッと動いたリセンだった。自分の動きで少し目が覚めたのか、変わらずノロノロと身体を伸ばしている。


 すると、空いていた窓から風が入ってくる。


『しつちょー。それぞれの証拠品からフランメリアが検出されましたー。いじょー』


 この場で室長の立場にあるのはリセンだけで、リセンも聞き覚えのある声なのか、伝達魔法を送り返している。


「りょうかーい」


 伝達魔法を送った後、リセンが眠い目を擦りながら3人に向き直る。


「とりあえず、何か言わなかったってことは、フランメリアが検出されたの目星つけてたやつってことで、地区順に言うと、5地区ではあのー、香り袋あるだろ?魔物避けだったりの。あれに混ぜてて、ネイラ魔術具店やその他の魔術具店で売って広まっていたっぽい。燃やすタイプの香り袋だったが、加工されてたから侵食したんだろうな。あと7地区周辺は普通に食用の花として試食?だっけ?」

「そうです。無料で配っていて、売ってはいなかったようです」

「そんで、あと11地区では飲食店でお茶として出されていた、と。とりあえず、流通ルートはこれで確定かな」

「そうですね。うちの、1地区でのも、11地区のコックからの紹介で取り扱ってしまったそうですから」


 リセンの説明にルミリアやセンクが付け足したりして、終わりの雰囲気が団長室に漂う。


 立場上この場で1番偉いザンリが咳払いをする。


「よし、皆お疲れ様。元々は内々に処理するつもりだったが、侵食が絡んだことで公開することになった。これからロドリゴ隊長は場所と人員の確保、情報公開について、リセン室長は変わらずフランメリアに関する証拠の鑑定を、ルミリア隊長は犯人の尋問及びその他の流通ルートや犯人がいないかの捜査を、それぞれ行うように」

「「はい!」」


 ルミリアとロドリゴが返事をし、リセンは頷くだけ。


 4人が立ち上がり、団長室を出るために歩く。


「そうだルミリア隊長。監査についてだが、王族訪問の前には終わらせたいので、少しでも捜査が落ち着くタイミングがあれば早急に連絡してくれ」

「分かりました。アルシュトラの件ですよね」

「そうだ。まあ、21隊は担当地区がないから、ほぼほぼ白だがな。一応全ての隊で監査しているから、よろしく頼む」

「承知しました」


 ロドリゴから監査の話をしてから、4人は団長室前の廊下で解散する。




 話し合いが行われた2日後、フランメリアに関する情報が公開され、同時に公開検査についても説明された。


 さらにその3日後、各地区にある医療機関で公開検査が行われた。


「最近暴れたあの人達は、フランメリアってのに侵食されてたらしいよ」

「まさか自分達が知らぬ間に侵食しているかもなんてね。怖いなぁ」

「未然に防ぐことは出来なかったのか?住民を守るのが自警団の仕事だろうに」

「一応広めた実行犯は4人捕まったらしいわね」


 住民達からは不安の声が多く上がり、中には自警団への不信感を示す人もいた。


 検査の結果、フランメリアに侵食されている事が分かった住民は、第1地区にある会館で治療を受けることになっている。


 その場では魔力量の多いリセンをはじめとしたルミリアなど、専用の魔道具の免許を持っている人達によって治療が行われていた。


 治療自体は短時間で済むものの、想定していたよりも多くの住民がフランメリアに侵食されていたり、中には自宅から動けなくなっている人もいた為、全ての人の治療が完了するまでに、3日かかった。


 そうして全ての治療が終わり、第21警備隊の捜査も出来る範囲ではほぼほぼ終わり、監査が行われ、やっと1日だけ休息が与えられた。


 なお、ゼリスについては、2週間の謹慎と無給、3ヶ月の減給という処分が下された。


 捜査については、今回逮捕した4人以外については、捜査が難航した。結果、誰が手引きしたのか、どのように密輸したのかは不明のままだった。


 しかし、王族訪問も迫っている中、ひとまずの安全は確保された為、捜査は一旦打ち止めとなった。


 1日の休息の後は、ひたすら報告書を作り続けた。


 そして、王族訪問の日がやってくる。

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