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僕は、保健室に行くと癒月先生が怒っていた。
まあ当然だろう。早めに出しに来いと言われていたのに忘れて出さなかったのだから。
「おう。遅かったな。」
「すみませんでした。忘れてました。えへへー。」
僕が、謝りながら(?)プリントを出すと癒月先生は、プリントを受け取った。
先生は僕の秘密を知る数少ない人物だ。
僕の秘密は、女の子だって事。これは、生徒会は、全員知っている。
だが、知られてはいけない秘密がある。それは、僕の体が吸血鬼になっていることだ。
このことは、和樹も知らない。知っているのは、癒月先生と、学園長、理事長、そして両親だけだ。
吸血鬼になったのは、中学2年のときだ。永遠の命と、永遠の若さを欲したとある女性が起こした事件でなってしまった。
そのことは、置いといて…
癒月先生は、定期的に僕の体を診察してくれる。
「はぁ。まだ成長しているが、もういつ成長が止まるか、わからんな…」
「やばいですね。早くしないと、おばあちゃんにもなれないですしね。」
僕の体は、成長しているが止まってしまったら老いることができずに和樹たちとは、違う時間を過ごす事になってしまう。
癒月先生は、まだプリントとにらめっこしていたので、そそくさと退室した。
和樹たちがいる教室に行くと、ちょうど会議が終わっていた。
和樹のところまで行くと、凄く睨まれた。怖いよ。サボっていたわけではない。
「出流の仕事までやらされた。もっと早く来い。」
「ごめんごめん。あと、問題なしだって。」
和樹には、吸血鬼化のことは話さずにいる。中学2年のときにおった大怪我のことしかを知らせてないので、僕の背中には大きな傷跡があると知らせている。
まぁ、吸血鬼化の時に治ったので傷一つないのだが、和樹には教えてない。いや、教えれない。
それが一番悔しい。責任を感じて顔を歪める和樹は、見ていられない。
考え事をしていると、琴音も帰る準備が終わったので、三人で帰ることにした。
「出流ちゃん、会議に参加せず何してたの?」
「先生に書類を提出していた。会議に参加出来なくてごめんね。」
「ううん。大丈夫だよ。和樹くんがわからないこと教えてくれたから!」
琴音に大怪我のことを知らせないように、曖昧な返事をした。和樹は、話している間ずっと遠くを見ながら考え事していた。きっとこうしていればよかった、とか考えてる。気にしてないのに。
ちなみに寮は、石持の男子寮と、女子寮。石持じゃない人の男子寮と、女子寮。そして、生徒会寮がある。
全部で5つの寮がある。
琴音を、石持じゃない人の女子寮の前まで送り、生徒会寮に帰ろうとすると和樹がまた、顔を歪めながら謝ってきた。思いつめた顔をしている。
「すまん。」
「…熱あるの?「人が真面目に謝っ…」僕が未熟で何も守れない…自分の事で精一杯なのに、欲張って君まで守ろうとした…傲慢な僕がしたことだよ。和樹が謝ることじゃない。」
全部自分が悪いと思い込んでいる。和樹がうざい。あの時から、この話が出る度に謝ってくる。
「なんでだ!なんで自ぶ…「うるさい。」…」
僕が少し睨むと黙った和樹は、ふん!と言い、僕がギリギリついて来られる速さで生徒会寮に向かった。和樹なら、もっと早く歩くことが出来るのに…甘いと思う。
「バ〜カ」