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カレンの気持ち ①

私はどうしてこんな状況になってるんだろう


まるでフワフワ夢を見ている様だ

自分の事だなんて信じられない




私には「子宮が無い」ーーー

未だ1度も生理が来た事がない、生涯子どもが産めない体だった


生まれつき先天的に欠損して体内に存在しない事が、得体の知れない体調不良で偶々行った先の大きな総合病院で偶然わかった


その事で初めて存在を知った病、女性約4,500〜5,000人に1人の割合で発症するというロキタンスキー症候群


私の場合は、女性としての性器の外陰部、及び卵子を作る卵巣機能は正常に機能しているという検査結果だった



恋も愛も、生命を司る神様によって子どもを得る為に遺伝子にプログラミングされた事だ


 

自分は一体何なんだろうーーーー……


男でも


女でも無い


無意味な肉体なのに何の為にこの世に存在しているんだろう

そんなの生きてる意味が無いじゃない?


思いやり深い愛してくれる私の両親は、自分をそっとしておいてくれた


学校は当然休みがちになる

きゃっきゃと幸せの中にいる、キラキラの明るい女の子の友達になんか会いたくなかった


心を焦がす嫉妬で頭も気持ちもどうかなりそうだった

こんな私なんか大嫌いだ


そんな時 とある事件を起こす


あと少しで光り輝く海に心地よく魅了され、無意識のうちにフラーっと”入水自殺”をしてしまう所だった

 


心配してずっと私の後をこっそり追ってきた遠夜に止められなければ、あのまま海水の中に歩いて行き、間違いなく溺れてしまっていただろう


「俺ーーー……

ッ僕はーーーー……」



「はい?」


私が『行方不明になった』事をママから聞き、大急ぎ、慌ててイタリアンレストラン本店より帰宅したパパがそろった客間は今、ずっしりと不思議な静けさが漂っている


ピンと張り詰めた空気、その中を遠夜の朗々とハッキリ、滑舌の良い聞き取りやすい言葉が通る


因みに我が家はこの地方ではソコソコの中堅処のイタリアンレストラン経営を行い、そこそこのチェーン展開を行っている


私はこの家の後継、1人娘だ

 


普段とは、今夜の遠夜の雰囲気がいつもの学校とは微妙に違った


なんか、体が一回り大きく見える?


ーーーとても同じ年とは思えない


そりゃ〜つい最近は益々女の子達に大人気だものね、皆良くわかってる


お父様がお亡くなりになってから本当に、凜と格好良くなったんだ


他校から迄〜

遠夜目当ての見学者が、毎日校門に幾人か待ち構えてるって凄くない?



でも今更何を言い出すんだろ?

つまんない同情だったら止めてよね?



彼は小さく咳払いをする、で、こうはっきり言った


遠夜の堂々たる宣言だった



 

「まだ小さな弟と妹が居ます

ですんで……

彼等の学費や生活費を近い将来父親代わりに稼ぐつもりです

2人とも必ず合計8年間分キチンと大学に行かせて進学させてみせます


母が働いていますが、父がいない今〜僕があの一家の主なんです

チャラチャラした恋愛に費やす余裕はありません


今は父の残してくれた、職業に就く前にかけた保険金……


命と引き替えに得た金があるとは言え今後は命懸けの”重大な責任があります”ので、自分の子どもは寧ろ要りません


つまり、例え成人しても当分の間、絶対に何があっても作らないつもりなんです」


「!!」


両親の思わず前のめりになる、ゴクッと息をのんだ音が聞こえた


「カレンさんが妊娠出来ない事を知って先ず間違いなく、避妊具をつけずに性交渉をやりたい放題に出来る、男にとって『実に都合のいい女』と狡く弱みにつけ込み甘い言葉で近づく不埒な輩が続出します


これは”賭けてもいい”です

僕も男だからこそ狙いが下心が『わかる』んです


下品でセクハラな、無遠慮なあからさまな文言申し訳ございません

 

ですから

僕の『人生最大のライバル』として自分が側で共に戦います


そうすれば彼女は自由に自分の人生と闘え、考える時間も得ますし、激動する世間との折り合い、時間稼ぎも出来るでしょう

 

規制だって法だって医療費の状況、ものの考え方そのもの、大きく環境が変わるかも知れません


俺も……


僕もそんな立ち向かい頑張る彼女を見る事で勇気が湧き、重い自分の未来に押しつぶされず立ち向かう事が出来ると思います


お願いします、僕とお嬢さんの今後のお付き合いを認めて下さい」

 

 

遠夜は深々と、そう言って両親に頭を下げる


彼は私の為に、驚くべきことに彼等に頭を下げてくれたのだ


遠夜は”自由”なのにーーーー

この先、そりゃあ確かに苦労はあるだろう、でも人並み以上の輝く豊かな未来がすぐそこに待ち構えてる筈だ


こんな厄介な迷惑極まるお荷物なんか抱える必要なんか無いのに、本気なの?


彼の様子を見て、思わず涙が零れた

 

ねぇ〜意味本当にわかってんの?


でも、だけどーーーーーー……嬉しい


嬉しい


本当にいいの?

あなたの隣に居ていいの?



「娘を宜しくお願いします」

 

「一緒に戦いましょう」



私の父の返事に、遠夜は真っ直ぐの瞳、嘘のない真面目な顔をして答える


そして、急にフッと笑う


で、今度も思いもかけない驚きの質問をパパに投げかける


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