カレンの気持ち ③
「凄い子だな遠夜くん」
「ええ貴方」
「彼だったら今すぐにでもウチのスタッフに欲しいくらいだ
いやーー極めて良い願ったり叶ったりの素晴らしき人材が手に入りそうだな、それも向こうからやって来た
背も高く見栄えがして、姿形頭脳物腰実に申し分なしーーー!
働かせるのは法律で年齢的に無理だが、でも今からパトロンになると申し出て積極的支援
私の後継として厳しく鍛えたらきっと良いカレンのパートナーになるよ」
えええええ……!!
なにそれちょっと!!
なんと!!
父と母は二人でコソコソ、それはもぅすわ恐ろしい人買い話をフッフッフし始めた
〜それはちょっと!!
弟妹想いの頑張り屋な遠夜が気の毒過ぎる
彼はあくまでもナイチンゲール精神で生涯最大のライバルを助けようと、共闘しようと純粋な善意でしてくれてる訳でっっ!!
元々それ以上を望むのは過分、不幸を売り物に真面目で優しい人から同情を買う身の程を越えた卑怯すぎる話だ
でも私はなぜかドキドキした
胸がーーーーキュンとする
いきなり汗がダーーっと大量に出て来た
え?え?何だかおかしい
私なんかーーーー変、心臓がドキドキするの
一体どうして?
だって元々小学生時代からの生涯最大のライバルで、仮想敵で、彼に絶対に負けないっ!!てスッゴく頑張ってきてなかなか勝てなくて嫌いで嫌いで嫌いで
こんなふうにカァッとドキドキするだなんて有り得なかったのに!絶対に!
「ねぇカレンちゃん?
彼お家もお堅いご職業で、ママとっても安心だわ?
現実的でもののよくわかったいい子じゃ無いの〜
だって、ごきょうだいの幼い妹さんや弟さんにも愛情たっぷり、丁寧に目配り心配りが出来るって素晴らしい最高のお兄ちゃんじゃない?」
「……うん、まぁーーそうだけどーーー」
「ちょっと前、カレンちゃんが初めて自分でお米を炊いたのをよく覚えてる
”お手伝いしようか?”ってママが言うの振り切って、一生懸命に沢山塩結びを作ってさしあげてたの、あれは遠夜君の為だったんでしょ?」
「そうよ?ママ
それがーーーどうーーーしたのよっ!」
「ねぇカレンちゃん?いい事?
あんな素敵な子逃がしちゃダメ!
成績だって毎回あなたと共に競ってる位、極上の上位グループなんでしょ?」
「ほぅ〜以前からママからライバルがいるとは聞いてはいたけれど、あの綺麗な男の子がそうなのか?
成る程成る程!学業は競ってこそ華だからな、益々気に入った」
「ええそうよ?!アナタ、娘達が一緒に頑張ればきっともっといい感じに仕上がる事受け合いだわ?
それにだって遠夜くん、この先もっときっと外見も誰もが目をそらせなくなる位に絶対に格好良くなるし?
ねっカレンちゃん♡ママあの子の更なるイケメンへの進化が楽しみ〜!」
カーーーーーーーーーーーー!!
な
なっ
なんて〜〜
何て下品なの!!
恥を知りなさいよ、ふたりっともっっ!!
私は声が上擦り、体全身がブルブル震えた
大人って穢れてる!!
酷い!
さいってい〜〜〜〜〜〜〜!!
ばかっっ!
「〜〜〜!!
私と遠夜はそんな関係じゃ無いし?!
ずーーーっとずーーーっとずーーーっと、一生清らかで真面目で確かな友情をはぶくむんだし〜!!
ママもパパも変な事言って私達を邪魔しないでっっ!
遠夜に嫌われる事言ったりしたりしないでよねっ!」
私はガッと立ち上がるとツカツカ部屋を出て行った
バターンと凄い勢いでドアを閉める
ーーー部屋がブルブルガタガタ震える程だった
「〜ぃやぁはっはっは、まだまだカレンもコドモだなぁ!」
「やーねあなた
キラキラ青春してて微笑ましくっていいじゃ無いの?
いやぁん可愛いわ〜ホントに!!」
「!!」
ドアを閉める瞬間、微かにおしゃべりが聞こえた
私の耳に嫌〜〜〜な、さいってーーーな、勝手に騒ぎ立てる大人達の穢らわしい談笑が届く
駆け足で廊下の2人用エレベーターに駆け込んだ
行き先は私の部屋だ
怒りに震える指先でピッとボタンを押す
あ〜〜〜〜〜ムカツクムカツクムカツクムカツク
嫌い!!
ママもパパも大っ嫌いッッッ!!
チンッッーー
扉が開くと同時に猛然とエレベーターから飛び出す
フカフカ絨毯敷きの廊下を突っ切り、私室ドアの指紋認証を解除すると乱暴に開け、そのままばふんと広々としたベッドに勢いよくダイブする
何だか頭がモヤモヤごちゃごちゃで大混乱だ
どうしたらいいのーーーー
モゥモゥモゥ私どうなっちゃうの?
遠夜に会いたいな
今何してんだろ
ーーーありがとう遠夜




