結婚半年
「旦那様」
「ああ」
「お仕事中にすみません、お邪魔でしたか?」
「いや、もう終わる。5分待て」
「ありがとうございます。本棚を見ていても構いませんか?旦那様の執務室に入るのが初めてで気になって」
「ああ。自由にしていろ」
「ありがとうございます。…いろんな言語の本があるわね…これは、隣国の言語で…、これは見たことない…」
「…」
「これは、見たことある…、ええと、neyagotonosusume?にゃ?にゃごっと…」
「閨事のススメだ。閨はそれで学んだ」
「そうなんですね。だからあんなに良…え!?学んだ!?」
「ああ」
「そ、それって、読んで実地してから結婚したってこ」
「読んで結婚して実地だ」
「ええ!?わ、わ、わたしが、初めて…」
「ああ」
「なんだか、恐縮です…」
「筆をおろしてもらって感謝している」
「言い方!言い方!」
「童貞を捧げた」
「捧げた…。まるで結婚までとっておいたかのような仰り方ですが」
「いや、単にしようと思わなかっただけだ」
「24年間で?1度もですか?」
「ああ」
「あんなに閨好きなのに?」
「好きかはわからない。すべきだとは思っている」
「したいわけではないと?」
「ああ」
「なるほど…。では今後は週1回にしませんか?したいわけではないなら毎日する必要はさすがにないと思いま」
「したい。毎日したい」
「…ずいぶん簡単に覆しましたね」
「そう言うことで君が受け入れてくれるなら言わない理由がない」
「…愛は」
「ない」
「そうですか…」
「ああ」
「わたし以外にしたいと思った相手もいなかったのですか?」
「ああ。したいと思ったのは君が初めてだ。だから学んだ」
「まさか身体が目当て…?」
「君が男でも黄泉の国の者でもしたいと思っただろうな」
「…愛は」
「ない」
「愛が何かわからないから?」
「ああ。わからない以上あるとは言えない。君には嘘は言わない」
「なぜわたしに嘘を言わないと?」
「君が言ったんだ。正直で誠実な男がいいと」
「そうでした?そんなこと旦那様にいつ言ったんだっけ…」
「ところで用件は?」
「ああそうだった。夜いつもわたしの寝室にいらっしゃいますが、たまには旦那様の寝室にお邪魔したいと思」
「わかった。すぐ案内しよう」
「ひゃあああ!きゅ、急に抱き上げないでください!」
「わかった。次に活かす」
「まさか、まさかのまさかですが!」
「お察しの通りだ」
「まだ午前中だしお仕事中じゃないですか!夜まで待…ん、あむぅ、…ん、ふ、きふしあがらあうかないでぇ…」
「わかった。キスしながら歩かない。するときは止まるようにする」
「んぢゅ………………………んはあ!いつまで止まってるの!?早く歩いて!」
「わかった。寝室まで我慢する」
「もう…。早く行ってください」
「わかった」




