表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

鋼鉄の石器時代 ―21世紀兵団の最期―

西暦202X年、中東の砂漠地帯で発生した局所的な時空歪曲。そこに飲み込まれたのは、米軍の精鋭特殊部隊「ナイト・ストーカーズ」の一翼と、彼らが追っていた国際テロ組織の残党たちだった。


彼らが目を覚ましたのは、西暦2600年の東京跡地。しかし、そこには高層ビルも、空を飛ぶ車もなかった。ただ、半透明の巨大なドームと、静寂に包まれた緑の平原が広がっていた。


### 1. 接触


「ターゲット確認。武装勢力だ。……待て、なんだあの格好は?」


特殊部隊の隊長、ミラー大尉は当惑した。前方から現れたのは、わずか3人の人影。防弾プレートもヘルメットも装着せず、光を放つ薄い布を纏っているだけだ。


一方のテロリスト側は容赦がなかった。彼らは自分たちが未来に来たことを悟ると、即座に主導権を握るべく、手持ちのAK-47を乱射した。


**「射撃開始オープンファイア!!」**


乾いた銃声が未来の草原に響き渡る。秒速700メートルを超える鉛の弾丸が、未来人へと殺到した。


### 2. 物理法則の壁


結果は、惨劇というより「不発」だった。


未来人の周囲数センチの空間が、水面に石を投げた時のように歪んだ。弾丸は命中する直前、運動エネルギーを完全に相殺され、その場に力なくポトリと落ちたのだ。


「運動エネルギー偏向フィールドか……!」ミラー大尉は絶句した。


テロリストたちがパニックに陥り、RPG-7(対戦車ロケット弾)を放つ。轟音と共に放たれた成形炸薬弾が未来人の至近距離で炸裂した。しかし、爆風も熱線も、まるで見えない壁に吸い込まれるように消え去った。


未来人の一人が、困惑したように呟いた。

「……21世紀の『化学燃焼式投射機』か。歴史博物館のデータにある通り、なんと野蛮な」


### 3. 「勝負」にすらならない終焉


未来人は、武器らしきものを取り出すことすらしなかった。彼らが空中に指でなぞるような仕草をすると、現代兵士たちの周囲の空気が一変した。


* **通信の消失:** 無線機からはノイズすら消え、GPSは無意味な記号を羅列した。

* **物理的無力化:** 自動小銃のボルトが動かなくなった。金属分子の結合を一時的に干渉され、銃がただの「鉄の棒」に変質したのだ。

* **ドローン無効化:** 上空に放っていた偵察ドローンは、制御を乗っ取られるまでもなく、重力制御によって「ただの重り」として地面に叩きつけられた。


テロリストのリーダーが、狂乱してナイフで斬りかかった。しかし、未来人が軽く手をかざすと、リーダーの体は「静止」した。時間停止ではない。神経信号の電気伝達を外部から完全に上書きされ、自律神経以外をロックされたのだ。


### 4. 結末


ミラー大尉は悟った。これは戦争ではない。

現代兵士が戦国時代へ行った時は、少なくとも「同じ物理法則」の中で戦えた。しかし、未来人にとって現代の兵器は、石器時代の石斧と大差ないのだ。


「我々は……捕虜か?」ミラーが問いかける。


未来人は穏やかに微笑んだ。

「いいえ。あなた方は『絶滅危惧種の保護個体』です。その汚染された火薬の匂いを消すために、まずは除染センターへご案内します」


彼らの背後から、重力に逆らって浮遊する巨大な巨大な「檻」が現れた。


---


### 今回の物語のポイント


* **防御力の差:** 現代兵器は「衝突」と「燃焼」に頼っていますが、未来では「空間」や「エネルギーそのもの」を制御されるため、物理的な接触すら困難になります。

* **電子戦の敗北:** 現代軍の強みであるネットワーク戦は、未来の量子演算の前では、子供の糸電話も同然の扱いになります。

* **価値観の乖離:** 未来人にとって、銃火器は「脅威」ではなく「環境汚染」として処理されるという絶望感。

-------------------------



-------------------------


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ