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見習い錬金術師ミミーのノスタルジック冒険標  作者: シノト
1プロローグ
10/14

1-10 日常の町の風景と忙しいギルド

翌日-----。


今日は週末、土の日。朝から昼までの営業となるこの週休二日制は、勇者アヤメが大陸全土に(強制力を持って)広めたものだった。

そんな半日営業の営業準備を今日もせっせと行い、朝ごはんを4人で食べていると……。


「え???何今の音???」

「あ、ミミーちゃんにも聞こえた?今の音」

「何か鳴ったか?」

「私、な~んにも聞こえなかったよ?」


ふと裏口を開けて山の方向を見ると……。うっすら鉱山の真ん中付近から煙が上がっていた……。

「あ……。」

ミミーはそっと扉を閉じて。テーブルに戻って、朝食の続きを始めた。

「って、ミミーちゃんどうなってたの??」

「そうですね……。鉱山の中腹からうっすらと煙が出てました……。」

「あ~あれ使ったのね。まぁ問題はないでしょ~」


まだこの時にはさすがのミミーにも事の不味さが把握できていなかった……。


半日営業のお客さんの量はすごいけれども、療養所がお休みのカリーナが手伝ってくれるのと、荷物解きと生活用品の補充がすぐに終わったサーニャも手伝ってくれたので、いつもよりもはるかにスムーズにお客さんは捌けていった。そうしている間に時間もどんどん経過していき……。お昼の鐘とともにヴェロニカさんがやってきた。


「お邪魔しますわね。」

「お婆ちゃんいらっしゃい~♪」

「あ、ヴェロニカさん!!この度はお世話になってます!!」

「サーニャいらっしゃい。ごめんなさいね昨日歓迎会に顔出せなくて。ちょっと立て込んだ会議があったのよ。」

「いえ、ありがとうございます!!」


ミミーはサーニャを眺めながら、これが勇者たちが言っていた”体育会系”というものだろうなぁ~と、思いながら、今日のお昼ご飯のカレーを盛り付けていった……。


そして全員席に着くと、お昼恒例ミミーの恥さらし儀式が始まる。

「光の大精霊・ダルバード様、精霊女王・エリベート様、精霊姫・ミルミート様、我々に生きる糧を与えてくださいまして、感謝いたします」

「「「感謝いたします」」」(一体、ワタシはいつも何に感謝されてるんだろう……。作ってるの私だけど……。)


と言いつつ、今日は水色のメイド服を着ているのでカレーをこぼさないよう気を付けて食べるのだった。


「そういえばサーニャ。今日は後で教会のほうにも来るのよね?」

「そのつもりです!領都の教会にも行きたかったのですが……。あまり快く思わない人もいまして……。」

「まぁ、今の時代まだそこまで拒否をする輩もいるのですか!?聖火で燃やしてしまいましょう。」

「落ち着いてお婆ちゃん!!」

「叔母様、話し合いで行きましょう話し合いで……。」

(まぁ、差別はいけないことだけど……果たしてあんなところ楽しいのかな……。)


お昼を早々に済ませると、サーニャはミミーとカリーナを伴って、冒険者ギルドを目指した。ピリーはこれから明日試験のペニーちゃんの戦闘訓練に付き合うらしい。

3人で広場に出て、そこからギルドに向かう。週末ともあっていろんな人々でにぎわっていた……。そんな冒険者ギルド・エナ支部は広場の一番人通りの多い場所にあった。


3人は意気揚々と中に入ると……。なぜかガラガラだった。週末のこの時間帯は、いつもギルド内居酒屋がギルドの受付スペースまで机を広げて大盛り上がりしているもの、という認識のミミーとカリーナはあっけにとらてた……。


「今日、とんでもなくガラガラね……。」

「そうだね、お姉ちゃん……。」

「そうなのか~??とりあえず受付に行って滞在登録すましちまおうぜ~」


冒険者ギルドは何も冒険者だけを扱っているわけでなく、他のギルドの組合員の滞在登録も受け持っており、クエストの配給等も行っていた。

受付に行くと、何か忙しそうに作業をする受付嬢のモネを見つけた。


「モネさ~ん。この娘の滞在登録をお願いしたいんだけど~?」

そういってカリーナはモネは手を止めてカリーナとサーニャを見た。


「ああ、カリーナちゃん気づきませんでごめんなさいね……。そちらの方の滞在登録ですね。では、こちらにパーソナルリングを当ててください。」

そういうと動力盤を取り出しサーニャに差し出した。サーニャは右手ごと動力盤にあてて魔力を流した。


「はい、確かに登録できました……。今から簡単な説明があるのですが……。カリーナちゃん、ひょっとして今ミミーさんいらっしゃいますか?」

「お姉ちゃんなら……。ほらあそこに。」


カリーナはクエスト掲示板を指し示すとそこには内容を吟味するかのようにミミーが掲示板を覗いていた。

「ちょうどよかったです。」


そういうや否や、モネは後ろの支部長室に飛び込むと、大男で支部長のアルクを連れてきた。

「支部長、すいませんがこちらのサーニャさんが滞在登録を今終えられたので、説明となんか適当に役に立つ話をしてあげてください。」

「お……おぅ……。」

「でわ。」


そういうと、モネはミミー近づいた。


「お前がサーニャだな。俺はこの支部で支部長をしているアルクだ……。で……。」


遠くでアルクさんが説明を始めたのをモネさんは確認するや否や、ミミーに話しかけてきた。


「ミルミート殿下。お耳に入れておきたい内容がございます。」

「どうぞ。」

「はい、本日朝一番に炭鉱のほうで爆発がありました。最近見つかった新しい横穴の最奥にあった魔封付き岩盤を火薬で吹き飛ばしたようです。」

「火薬の使用者は?その先には何が?」

「火薬の使用者は、男爵子息カイル・フォン・ビスコです。そして魔封岩盤の先には悪魔がいたそうです。」

「してその悪魔は?」

「鉱山の作業員や冒険者総出で拘束したとのことです。ただ、その場にいたメンバーでは倒すことができないので、3日後拘束結界の安定を待ってこの町の教会に輸送するそうです。」

「死者や怪我人は?」

「爆弾を発火させた当該貴族が悪魔に食われて亡くなりました。幸いなことに死者はこの1名だけで残りは40名ほどの怪我人で済みました。」

「結構。悪魔の輸送に教会の同意は得られましたか?」

「それが悪魔を処理できる高ランク者がここまで来れるかどうかが、またいつ来れるかが今のところ不明とのこと。」

「わかりました。私が処理しましょう。」

「御意に。」


悪魔を倒す方法は一つしかなく、悪魔の首の裏にある悪魔の核となるマッドクリスタルを取り出し、何らかの形で無力化する。そうすれば倒せるのだけれども、それ以外は時間がたつほど回復したり再生したりする……。


「今日、ギルド内がガラガラなのは、鉱山と町の警戒といったところですか。」

「御明察の通りです。」

「でわ、この後教会のほうに出向きますので、私のほうから伝えておきましょう。」

「ご足労を御かけします。」


そういってモネはミミーに最敬礼をして受付に戻っていった。

ミミーは何か盛り上がっている3人組に近づく。


「おぉ、ミミー嬢、もう話は終わったかい?」

「えぇおかげさまで」

「なぁ、ミミー!!俺この町に魔術師ギルドを作ろうと思うんだ!」

「それはいい考えね。」

「目指すは、エナ支部創設だね~」

「おう!!」

「では、アルクさんあとよろしくお願いしますね。」

「承った」

「では、教会へ行きましょう~」

「またみんないるときに遊びに来てくれよな。」


そういって3人は来た道を帰りながら、ミミーは周りを見回していた。

(冒険者が少ないと思ったら、そのせいでしたか……。まぁ、鉱山には簡易療養所がありますし何とかなるでしょ。)

そう思いながら鉱山側を眺めながら……。

(まぁ、あれは夜中にでも処理しましょう。)

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