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一件落着

不穏な空気が流れる中

「ママ、僕が手伝うよ!」

雅也が走り寄った。

「僕が悪かったんだし、塾を辞めてもいいなら、遊びに行くのは一ヶ月後でもいいから、ママを手伝うよ」

「でも…。ママ。カレーライスとかラーメンぐらいしか…」

「いいよ!僕、ママの作ったご飯が食べたい。それに、僕、家庭科で目玉焼きが上手に焼けたねって先生に褒めれたんだよ。僕もやるから、頑張ろうよ!」

元気を取り戻した雅也は、母親を励ました。

「そうだな、父さんも手伝うよ。これまで仕事仕事で、家庭に目を向けなかった父さんも悪い。副社長や幹部に、お願いして、早くに帰してもらい、土日も休んで家の事をするよ」

「ほんと!父さん!何だか、楽しそうだ」

「本当だ。家族三人。力を合わせて頑張ろう。なっ」

覇王は、軽く雅也の頭をポンっと叩いた。頬を人差し指で書きながら、照れて、えへへと笑う雅也。

「あなた、まぁくん、ありがとう!ごめんなさい」

雅也ママは、ボロボロと泣き始めた。そして雅也を抱きしめると

「まぁくん、こんなに優しくて良い子なのに…。ママのせいで、ごめんなさい」

「いいんだよもう。今、僕とっても嬉しいんだ」

感動だ!素晴らしい!

このまま見ていたいぐらいだ。しかし、ちょっと前から、あたしの鞄の中でスマホがブルブルしてるのが伝わってくる。ママの鬼電に違いない。これ以上、長居は不味い。

「あの…、それでは…私は、この辺で…」

水を差すようで悪いが、あたしは何気に荷物を持って、そそくさと立ち上がった。

「ああ、申し訳なかったウチの恩人を引き止めるような事をして」

「いや、恩人なんて!大袈裟な…」

「僕、お姉さんを送って行って、智史君に謝ってくるよ」

「そうだな、私達も一緒に行って、謝罪しなければな」

「いや!いいです!」

あたしは、手をブンブン振って、拒否した。

こんな、ハイスペなキラキラ家族がウチに来てヤバい菌でも感染したら大変だ。

「私は、智史が元気になれば、それでいいし、あの…雅也君」

「はい」

「この事は、智史には内緒にしてくれる?」

「えっ?何で」

「あの子にもプライドがあるだろうし、あたしが、しゃしゃり出て解決したなんて、知られたくないの、だから内緒で」

あたしは、人差し指を立てて口に当てた。

「お姉さんが言うなら。そうする」

「ありがとう。じゃあ、帰ります」

「あっ、ちょっと待って」

雅也ママが引き止める

(うん?まだ、何かあるのか?)

「これ、頂き物だけど、是非、持っていって、チョコレートとか、お好きかしら?」

(おおー!モロゾフのチョコレートではないか♪)

「はい大好きです。頂きます」

「ほんとに、すみませんでした」

雅也ママは、深く頭を下げてくれた。

「大丈夫です。じゃ帰ります」

三人は、門の外まで出て、あたしを見送ってくれた。何気に優雅に歩いて角を曲がると同時に、あたしは、そっこーでスマホを出し、ママに電話した。

「何!やってんの!」

何も話してないのにいきなり怒鳴り声が耳に飛び込んできた。

「いや!ちょっと、「竹本」の家に…」

「はっ?竹本さん?雅也君の家?あんた、一体、何したの!」

「とにかく、家に帰ってから話すから」

「そうね!早く帰ってらっしゃい!」

スマホを切って、まだ痛む足を庇いながらも走って家に向かった。

家に着くと、待ち構えていたママが、

「どうしたの!」

「何があったの!」

「拉致されたかと心配してたのよ!」

など、ギャンギャン怒涛の如く話しかけて来た。

「とにかく、めしめし」

「はっ?めし!ご飯?」

「出来てないの?」

「出来てるけど…」

疲れたし、お腹は空いたし、あたしは取り敢えず落ち着きたかった。

「話は、後にするから!」

「ちょっと、あんた、これモロゾフのチョコレートじゃない!どうしたの!まさか!」

青ざめるママ

「いや、盗んでねーし、とにかく、それも含めて後に、話すからご飯ご飯〜」


夕食を食べ終わり、ご満悦のあたしに、早速ママが聞いてきた。

「それで、何があったのよ~!」

「あー、それがね!」

あたしは、さっき起こった事を洗いざらい、ママに話して聞かせた。

「はぁ~。じゃあ、もう、解決したって事かしら?」

「うん、雅也君なら約束を守ってくれると思う。取り敢えず、明日になってみないと分からないけど」

「そうね、明日ね。それまで、チョコレートは、とっときましょ」

「うん、でも3分の2は、あたしの分だからね!」

「分かってるわよ~。とにかく未来、ありがとう」

ママは、少し涙ぐんでいた。

(そりゃ、姉のあたしでも、心配したんだから、ママはもっと悩んでいただろうな)

あたしは、ホッとして、涙を拭うママを見ていた。

そして、問題の次の日、普通に帰れば、家に着く時間。あたしとママは、キッチンの机の上にモロゾフのチョコレートを置いて、智史を待った。

(昨日の今日では、解決出来ないかな?)

心配しながら、気が気じゃなく待っていると、

ガチャっ!

とドアの開く音と同時に

「ただいま~!」

元気な時の声だ!そして

ドサッ!

ランドセルを放り出す音が聞こえた。

「遊びに行ってくる~」

以前と同様に、家から飛び出して行く智史。

あたしママは、顔を見合わせて笑ってハイタッチをした。


これにて一件落着!

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