まさかの修羅場part2
普段、口やかましいが、ここまで怒ったママをあたし達は初めて見た。ビックリしていると
「うわぁ、ママ待って!すまない!許して!」
パパがママの足にすがりつく。
(アホの末路だ。惨めすぎる)
「ふんっ!」
と腕を組んで、そっぽを向くママ。パパは慌てて、たっくんの前に来た。そして腰をおろし土下座をすると。
「すまない。拓也くん!こんな娘だが」
(こんな…て)
「どうか、貰ってやってくれ!」
パパは、畳に頭をめり込まんばかりに押し付けた。
(立場が変わっとる!)
たっくんは、慌てて
「そんな!とにかく頭をあげて下さい。いいですから」
とオロオロする。
「いいや、僕もくだらない事を考えて君を困らせる様な事をして悪かった。どうか、お願いだ。未来を幸せにしてやってくれ!」
平謝りに半べそで叫ぶパパ。
憤慨するママ。
その横で転げ回って爆笑する弟。
(こう言うのは修羅場と言うのか?)
言葉を無くして見ていると、ヒーヒー笑っていた弟が
「ま…まあ、おめでたい事だし…ゴホゴホ、母さんも、もう落ち着いたら?拓也さん困ってるじゃん。ハァハァ…ブッ」
と笑いつつも取り成してくれた。
「はぁー……それもそうね…それにしても…」
パパをギロッと睨みながら座った。それを、見て震え上がるパパはビクビクしながら
「そっそう、こんなおめでたい事はない。いや未来は、素敵な彼と結婚して、しっ、幸せになるな、アハハハハ…」
と額に畳の跡が付いた顔で無理に笑った。あたしは、まだ痛む自分の額を思い出し
(親子して…)
しかし、張り詰めていた、たっくんも要約肩をおろし
「あまりにも突然で驚かすのも無理ありませんし、僕こそ申し訳ありませんでした」
「うん、こんな娘だが私には大切な娘だ。よろしく頼むよ」
(こんな…て)
「そうね、まさか、この未来がお嫁に行ける日がくるなんてねぇ。良かったわ。よろしくお願いします」
(この…て)
重ね重ね、何気に失言をしてないか…?
「智史、あんたも、何か言いなさい。義理のお兄さんになるのよ」
両親でさえ、
“この“だの
“こんな“だの
言われれてるのに、過去散々とイタズラをして遊んだ弟が何を言うか、あたしは
(余計な事を言うな!)
と言わんばかりに弟を睨んだ。そして、暫く下を向いて黙った弟は
「あの…、姉ちゃんには、よく迷惑をかけられて困った事ばかりだったけど…」
(けど?)
「ホントは、すげー優しいって、知ってっから、拓也さんは見る目があるよ」
(はっ?)
意外な弟の言葉にビックリして見ると、顔を真っ赤にした弟が
「じゃ…じゃあ、もうこれで挨拶は、いいだろ?俺、ちょっと出かけて来るわ」
と立ち上がって慌てて出て行ってしまった。
「何、あの子一体、どうしちゃったの?」
どうやら、嘘でも無さそうだし、あたしが不思議がると
「あーあの子、あの事を覚えて言ってるんじゃない?」
「あの事?」
「ほら、あの子、小学校の時にいじめられてたでしょ?」
「うん…」
「それで、未来が」
「ん?でも、その事は、あいつ知らないはずだけど?」
「まあ、そうは言っても」
ママが微笑む。




