第九話 普通をかたる非凡
「初めての侵入者じゃな。さて、どうするつもりじゃ?」
「あの恵って子は捕獲する。他はスライムに任せるとしよう。」
・・・ニュクスよ、そんなに睨まないでくれ。
---------------------------------------------------------
気が付いたらそこは6畳くらいの部屋の中に4人全員いました。
私以外はみんなまだ寝ています。
辺りを見渡してみると扉が一つに看板がありました。少なくともさっきまで私たちがいた洋館じゃなさそうです。
「ん・・・痛たたた。」
「うう、ここは・・・なんだ。」
「どこだよここ・・・・・。」
みんな起きてきました。やはり戸惑っているみたいです。
「恵!大丈夫だった?」
「うん。恵子ちゃん。私は平気だよ。」
恵子ちゃんはいつも私の心配をしてくれます。奥のほうで蔵馬くんがほっとしているのはなぜでしょうか。
「とりあえず・・・あっ看板があるぞ。読んでみよう。」
『御用の方はこのボタンを押してください。管理人』
看板のすぐ下にはボタンがついていました。
「・・・どうする?押してみるか?それとも押さずにそっちの扉から出てみるか?」
蔵馬くんがたずねます。
「・・・・・押してみるべきだと思うよ。あたし達に何か言いたいことがなかったらそんな物つけないからね。」
恵子ちゃんが答えます。
「何か言いたいことって・・・誰がだよ。」
名前不明君が聞きます。
「決まってるでしょ。ここを作った人間よ。」
恵子ちゃんが答えます。
「じゃあとりあえず押してみるぞ。」
かちっ!っとやけに響く音がしました。
-------------------------------------------
きたきた魔王の出番ですよ。
「お!押したな。じゃあ行ってくるわ。」
「失言には気を付けるのじゃぞ。」
「おう!」
--------------------------------------------
・・・ボタンを押してから3分ほど経ちました。
「何にも起こらねぇじゃないか!」
名無しくんのいらだちはもっともです。
なにせ押してから何も起こらないのですから。
管理人さんは何がしたいのでしょうか?ちなみに扉は開けようとしてもびくともしませんでした。
「やあ、みなさん。こんにちは。」
「「「「!?」」」」
いきなりです。何もないところに人・・・でしょうか。それが立っていたのです。
「おやおや、みなさん驚いてますね。そちらが俺を呼んだでしょうが。」
「ってことはあんたが・・・」
恵子ちゃんが聞きます。すごいですね、なんて考えている私が一番冷静なことに気が付きます。
「そうだ。俺が管理人、もといこのダンジョンの創始者である“魔王”だ。」
「「「・・・・・。」」」
みんな唖然としています、私以外ですが。無理はないでしょう。なにせいきなり自分の事を魔王と言う人にあったのですから。
「いやー。みんな予想通りに唖然としているねぇ。」
「ど、どうすればここから帰れるんですか。」
みんなまだ固まっていて動かないので私が聞きました。
「お!君は驚いていないね。どうしてだい?」
質問に質問で返されました。
「ちょっと!恵に気安く話しかけないでよ!」
恵子ちゃんが“管理人”と私の間に入ってかばってくれます。
「へぇ、勇気があるな。ただ勇気は相手を選ばないとただの無謀だぞ?」
「無謀でもなんでもいいからあたしたちをここから返しなさい!」
恵子ちゃんは勇んでますが・・・。手が震えています、やはり怖いのでしょう。
「その勇気に免じて教えてやろうじゃないか。」
えっと・・・。長々と語っていましたので要約しますと。
・ここはダンジョンで魔物や罠がある。
・ここは私たちがいた世界とは別次元に存在する。
・元の世界に帰るためには“中継ポイント”を見つけなければならない。
・この部屋は安全でここでは携帯などの電子機器が使えるが奥に行くにつれて使えなくなっていく。
ぐらいが大事なことです。
「じゃあな。Good luck!」
“管理人”はそういいながら消えました。
「なんなんだよ・・・これは。」
みんなまた固まっています。これが普通の反応でしょうが、やはり私だけが冷静です。
「とりあえず、奥に進むべきだと思います。」
私が言います。そうしなければ食料もないのでジリ貧になってしまいます。
「お前・・・本気で言ってるんかよ。」
名無し君が言います。
「だってそうしなきゃ帰れないと――。」
「あれの言うことを真に受けるのかよ!俺はここで携帯を使って助けを呼ぶ!それが一番いいだろうからな。それにわざわざ魔物がいるというとこに行く危険は冒せない。」
一体なにを言ってるんでしょうか?名無しくんの言ってることは――。
「矛盾しているよ。あんたの言っていることは。」
恵子ちゃん!?
「何がだよ?」
「なぜなら――。」
「おい!若村はいい加減にしろ!」
名無しくんは若村というそうです。
「なんだよ蔵馬。」
「少しは落ちつこ――。」
「えーーーーい!!!あたしのセリフを最後まで聞けーーい!!!」
恵子ちゃんが怒りました。
「な、なんだよ。」
「とりあえず若村、あんたの言うことには矛盾があるんだよ。あれの言うことを信じるなと言いながらあれの言ったことを一番あんたが信じているんだろう?」
「なぜそう――。」
「なぜなら携帯が使えることはまだしも、魔物がいるなんてそれこそ一番信じられないことじゃないか。それよりは“中間ポイント”の話のほうが真実味がある。」
「う!」
「確かにそうだな・・・。」
恵子ちゃんがすごい・・・・・。
「今の状況を判断するととりあえず携帯で誰かに連絡して今までおこった出来事を伝えて奥のほうで“中間ポイント”を探す!これが最善策よ。」
恵子ちゃんかっこいいです。輝いています。
6/14 改行しました。




