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第二十七話 騒がしい休日‐3

 観覧車から降りた後のニュクスの照れ隠しがこれまた面白かったがニュクスの名誉のため黙っておいてやろう。だって元は天界にいたとかなんとか、魔神が天界にいるってどういうことだよ。

 そのあといろいろとアトラクションをしていたら夜になったので、管理人室に帰ろうと思ったらなぜか恵に恵の家に連れてこられた。


「どういうことだ?なぜ俺を家に?」

「ごもっともな疑問ですが少しだけ付き合ってください、ご主人がいないと成り立ちませんので。」


 そういわれて連れてこられた。ニュクスたちは先に帰らせていたんだがな、俺も一緒に帰りたかった・・・・


「ここで待っていてください。」


 そう言って恵は部屋から出ていく、ここは・・恵の部屋かな?女物の服とかかわいらしいぬいぐるみがあるし


「はぁぁぁ・・・・」

 今日何度目かの溜息をついて闘技場の構成について考え始める、完全に仕事脳ですな。そうやってしばらく考えてようやく考えがまとまりそうなところで恵が戻ってくる、俺が知らないおじさんも一緒にいる。


「ね?この人はそのような下心があるような人ではなかったでしょう?」

「ううむ・・・・確かに女子の部屋に案内されても何かを考える方が大切と言わんばかりに考え事を始めていたな。」


 なぜそのことを知っているんだ?……!、つまり俺はこの部屋に入った時から監視されていたということか、恵にはめられた!


「そんな驚いた顔をしないで下さいよ、あれをご主人が消し炭にしてしまったが故のチェックなんですから。」

「頼む、よくわからないから俺に説明をしてくれないか?」


 おそらく頭の上に?マークが出ているであろう俺に説明プリーズ。


「私の方から説明しよう。」


 おっさんが一歩前に出てきた、前に立たれると結構圧迫感を感じるおっさんだ。魔王の俺が言えることでもないが。


「自己紹介させてもらうと私は高梨智人(たかなしのりと)というものだ、恵の親で君たちが今日行った遊園地の経営や他さまざまな事業をしている。小鳥遊コーポレーションといえば少しは有名な方だと思ったのだがね。」


 ああ、小鳥遊コーポレーションなら聞いたことはある。なんでも社長がいろいろな事業に手を出していてそれらすべてで成功を得ているという化け物社長で有名だ。たかなし違いで気づかなかった。


「ってことはあなたが――。」

「そう、私が小鳥遊コーポレーションの社長、通称化け物社長と呼ばれて親しまれているよ。今日は恵につけていた執事を君が消し炭にしてしまったと聞いてね、あの男は性格に難があったから君を怒らせたのはわかるがあの男はいくつも武術を修めていたはずなんだ。それを簡単に殺したという君が気になってしまって恵に無理を言って連れてきてもらったのだよ。」

「すいませんご主人、きちんと説明をしないまま無理やりという形で連れてきてしまって・・・。」

「恵が謝る必要はない、その人の話を聞く限り原因は恵の父にあるんじゃないか。」

「ほう、私が悪いのかね?」

「悪いとは言って無いだろう?原因を突き止めればあんたにある。だから恵が謝るのはお門違いだと言いたいんだ。」


 多少怒ってはいるがな。


「それに本当の狙いは俺を見るためじゃないのだろう?なにせ化け物呼ばわりされている人だ、その程度の事でわざわざ自らが出てくるはずがない。」

「なかなか聡い子だな、恵が入れ込むのもよくわかるよ。」

「茶番はいい、さっさと要件を言ってくれ。呑めるようなら呑んでやる。」


 普段茶番しかしていないような俺が言う事ではないが展開は急いだ方がいい、まあその要求が無茶なものならば半殺しだけどな。

 恵が俺と社長を交互に見て慌てている、ここまで場の雰囲気が悪くなるとは思っていなかったんだろう、とても可愛らしい。


「ではお言葉に甘えて言わせてもらうよ、実は君に頼みたいことがある。恵から君の事を少しだけ聞いたが、その話と今日の出来事で君は人ではないと私は考えている。そこで私の悩みの種になっている事の一つ、今日君たちが行った遊園地に出る幽霊を退治してほしいのだ。」

「「幽霊退治!?」」


 --A.M1:00 遊園地入口--


「と、言う訳で来てみたが幽霊なんて本当にいるのか?」

「どうして来ちゃったんですか~、私怖いですよ~」


 頼みごとを承諾して一人で遊園地に来たはずなのだが・・・恵がいるな、なぜだろう。


「何故も何でもご主人がいるのならば私は何処へでも行きますよ!」


 ああそうですか、可愛さ余って憎さ百倍。眠くていらいらしている今ならなおさらだ、普段十時就寝の俺に夜更かしはきつい。


「ご主人はいましたが他の人たちがいませんね・・・。」

「他の人たち?誰か他にも来るのか?」

「聞いていなかったんですか?お父様が幽霊の専門家が来ると説明していたじゃないですか。」


 そうなのか?…確かに言っていたな、忘れてた。しかし今回の幽霊はおそらくそいつらの手には負えないだろうがな、俺の予想が正しければ、だ。


「あ、来ましたよ。」


 恵が指をさした方を見る、仮想パーティーみたいな人たちがバラバラの方向からやってきている。坊さんに霊媒師?に巫女さんに。


「先着がいるな、君が高梨さんが言っていた新しいメンバーかい?」


 坊さんが話しかけてくる。


「そうだ。」


 坊さんは意外と紳士的だな、顔が怖いから警戒していたが安心した。いつの間にかに俺の後ろに回り込んでいた恵が出てくる、…おいおい。


「君たちのような偽物は必要ないのだがね、私のような一流が一人いれば幽霊など尻尾まいて逃げ出すさ。」


 霊媒師(男)が口を開く。二度と開いてほしくない口だな、坊さんとは大違いだ。恵はまた俺の後ろに隠れた。


「喧嘩はやめましょうよ、ここに居る人は全て同じ依頼を受けてきた人なのですから目的は同じのはずでしょう?」


 巫女さんは初詣によくいるバイト巫女ではなく本物の巫女さんのようだ、少し神々しさを感じる。


「同じ目的?違うね、僕は今回の事で社長に気に入られるんだ、そうすれば先の道は明るいからね。だから今まで社長の前ではいい子でいたし、なにより多少なりとも信頼を得ているという証拠が今回の依頼だ。ということで邪魔したら君たち、ただでは置かないから注意したまえ。」


 その社長の娘がいることには気づいていないんだろうな、馬鹿なやつ。あ、俺は今日魔王の威圧感を最小限に抑えてるからかなり感度がいい人間しか俺の正体には気づけないようにしている。 訓練って大事だね。


「それにおいても同じ目的を持った人間は協力し合うという巫女さんの考えには俺は賛成だな」

「じゃあ私も賛成です」


 俺は霊媒師に対してのあてつけで言ったつもりなんだが恵が賛同してくる。正直話がややこしくなるから恵には今すぐ帰ってほしい。


「そうだな、君の言うとおりだ。君、できれば名前を聞かせてくれるかい?私の事は幸徳とよんでくれ。」

「俺は篝火だ、よろしくな幸徳さん。」


「わ、私の名前は恵です。よろしくお願いします幸徳さん。」


 恵・・・・本気で頼むから帰ってくれないか?隠れながら自己紹介って相手に失礼だし、何より俺の後ろに隠れてるから俺にみんな注目するんだ。みんなにガン見されるのはとても恥ずかしい。


「恵・・もしかしてあなたって高梨社長の娘さんじゃないのですか?なぜこんなところにいるのですか?」


 霊媒師の顔色が変わった、ざまぁみろ。


「はいそうです、今日ここに居る理由はここに居るご主人の近くに少しでも長くいるために来ちゃいました!」


 再びみんなの視線が俺に集まる。注目されるのは苦手なんだがなぁ、アルマの体でもかなり緊張したし。


「お、おおおおお前は何者なんだ!社長の娘さんにご主人と呼ばれているようなやつがなぜここに居る!」


 霊媒師・・・・今すぐ消してやりたくなったが我慢する。


「てめぇごときにお前呼ばわりされる筋合いはねぇ。消すぞ?」


 そう言って軽く威圧してやる。しょんべん漏らしやがった、みっともないな。


「ご主人!手加減してるのはわかりますが他のお二方まで威圧してしまっています!」

「む、それはいけないな。お二方、失礼しました。馬鹿にはそれ相応の仕打ちをしないと懲りないからな!」


 霊媒師を睨みつけてやる、四つん這いで逃げだしやがった、臆病者め。


「……なぜ社長が篝火君を土壇場でいれてきたのかがわかった気がするよ。」

「そうですね、人間とは思えません」

「褒め言葉と受け取っておきましょう。それじゃあ邪魔者もいなくなったので行きましょうか。」


 --A.M1:30 遊園地内部--


「幽霊は何体ぐらいいるんでしょうね?」

「もともと霊感はないのに寺生まれというだけで連れてこられた私にはわかりません。」

「んー、結構いるな。だいたい観覧車方面に十体、ジェットコースター方面に五体、お化け屋敷方面に十二体か。」

「ええ!そんなに幽霊いるんですか!」


 俺の予想通り幽霊はアンデット型の魔物だった、それがあちこちから漂ってくる魔力でわかったし場所もだいたいは知ることができる。


「凄いですね!私もだいたいの方角はわかりましたが正確な数までは・・・。」


 魔物について教えてやるべきかどうか。…まだいいか、必要になったらその時に話せば。


「とにかく行きましょう、まずは少ないジェットコースターがよさげですね」



 --A.M1:35 ジェットコースター前--


「おお!浮いてる浮いてる。」


 幽霊どもがふよふよ漂っている、これだけで普通の人間なら逃げ出すぐらいの怖さはある。


「なんと・・本当に幽霊はおったのか・・・。」

「んー、何か違うみたいですよ、普通の幽霊じゃないみたい」


 巫女さんは感覚が優れているな、眷属候補にしておくか。


「ご・主・人?何を考えているのですか?」


 ニュクスと言い恵と言いなぜこいつらは俺が眷属を作ろうとするのを嫌がるのだろうか。


「とりあえずステータスを見るか、【ステータスオ―プン】」

---------------------------------------------------------------------------------

 “ゴースト”

 一般的に幽霊と言われている。悪戯が大好きでよくするがあまり凶悪なことはしない。スキル以外の攻撃ダメージを無効。


--------------------------------------------------------------------------------- スキル以外は無効か、前に霧のフロアで出したゴーストと同じだな。


「恵、スキル以外は効かないらしい。恵は右の二体、俺は左の三体を落とす、いいな?」

「魔物だったのですね?了解です。【アイス】【ショット】」


 瞬く間に恵のスキルで一体が落ちる。アイスは氷を作り出すスキルでうまく座標を設定すれば相手を氷の中にぶち込める。ショットは物に魔力をまとわせて相手に向かって打ち出すスキルだ、二つをうまく組み合わせているな。


「じゃあ俺も続くか、【クラスターフレイム】」


 炎の玉がゴーストに飛んでいく、とゴーストの直前で細かくばらけて三体にまとめてあたる。


「【アイス】【ショット】、さすがご主人です!一撃で三体をまとめて倒してしまうだなんて!」


 恵が二体目を倒して俺にすり寄ってくる、犬みたいでかわいい。


「「……………」」


 幸徳さんと巫女さんが口を開けたまま固まっている、いけないな、説明をしなければ。


「えーと、あいつらは魔物といって存在でしてね。ステータスについては二人も知っているのでしょう?それに書かれている事が倒すヒントになったりするのですよ。それにスキル以外は効かないと書いてあったので・・。」


「魔物?篝火君はそんなものが実在すると言っているのかね?」

「そういえば最近ダンジョンというものの噂をよく聞きます、その噂が本当なら魔物がいてもおかしくはないと思いますが・・・。」

「俺が言ったのは全て真実です、信じようと信じまいとね。次は観覧車にしましょう。」



 --A.M1:50 観覧車前広場--


「……和んでる・・。」

「和んでますね・・。」


 ゴーストどもは広場の片隅で固まって談笑していた。おい、仮にも魔物だろ?そんな人間みたいな感じでいいのか?


「【フレイムトルネード】」


 大きな炎の竜巻が出てゴーストを一掃する。ついでに二人にスキルの説明をしておく、さっきしてなかったからな。


 --A.M2:00 お化け屋敷入口--


「中にいるみたいだな、入るぞ」

「なんでそんなに躊躇いがないんですかー!夜にお化け屋敷なんて入りたくありませんよー!」

 恵が大反発する、だって入らなくちゃゴースト倒せないし。でも建物内じゃ大技が使えないから退治方法が各個撃破しかないのがめん

どくさいな。


「なら俺一人で行く、恵はそこの二人といてくれ、邪魔者が来たら殺していい。」

「ううう、了解です」

 いやいや残ることにした恵を置いて俺は一人でお化け屋敷に入る。


 --A.M2:05 お化け屋敷内部--


 暗い、電気ぐらいはつけといてほしかったな、しょうがないからスキルで火を出して明りにする。と、すぐ目の前に看板があった。


『ここは呪われた屋敷、昔一家全員が無残に切り刻まれる事件で殺された家族の霊が今も漂っている。

君は生きて帰ることができるかな?』


 ……安い!!!売り文句がすごく安かった!驚きだよ!こんなんでよくお化け屋敷と名乗れるな!いまの子供なめてんだろ!

 はぁはぁ‥‥‥一通り突っ込み終わったので奥に進む、ありきたりな仕掛けばかりで特に驚きもしないので省略。


「いたいた」


 壁の仕掛けの中に紛れていた、なんだよこの魔物!遊び心満載か!


「…【ファイア】」


 ゴーストが火に包まれて消える、さあ次だ。

 そのあとも探し回って残り五体になった時だった。


「…あれ?」


 外に出た、出口だ。魔力を探りながらここまで来たから何も逃していないはずなのだが・・・。取り合えずもう一度魔力を探る、と見つかった、恵たちがいるはずの入口の方だ。急いで向かう。



 --A.M2:20 お化け屋敷入口--


 入口に戻るとなんとも不思議な光景が目の前に広がっていた。なんというか、その、あれだ、宴会だ、うん。

 恵とゴースト(擬態)が一緒に酒を飲んでいた。恵は未成年のはずなんだが・・・大丈夫じゃないよな?


「とりあえず【ファイアボール】×5」

 

 五つの火の玉がゴーストを焼く。視界が良くなったので恵を見てみるとべろんべろんに酔っていた。


「恵、起きろ、俺だ。」

「あれ~ご主人?どうしてここにいるんれふ?」

 駄目だこりゃ、魔力をぶち当てて酔いを醒ましてやる。


「あ!いけない!ここを見張ってなきゃ!ってご主人?どうしたんですか?」

 深い溜息をつきつつ俺は恵にこれまでの全てを説明する。


「ところで恵、あの二人はどうした?」

 幸徳さんと巫女さんの姿が戻ってきた時から見えない。帰ったのだろうか?

「あの二人なら・・あれ?いない。私の記憶の最後ではあそこに立っていたはずなんですが・・・。」


 帰ったかゴーストを見て逃げ帰ったかだな。あとは・・・念のため魔力で探っとくか、あの二人の魔力は覚えているし。

 魔力には人それぞれの波長があってそれで個人を特定することができる。それを使って探してみる、と簡単に見つかった。観覧車の方だ。行ってみるか。


 会社名?適当ですよ?ぶっちゃけキャラ名が小説で一番考えている時間が長いものですから気にしないでください。間違えました、気にしないで下さいお願いしますそこに突っ込まれたら言い返しようがございません。

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