第二十八話 騒がしい休日-4
観覧車の入口に二人は立っていた、何か変だ、危険な香りがする。
「……【浄化の炎】」
ファイアを応用し、火の純度を極限まで高め、清めたのと同じ状態にしたのがこの技だ。
「「キィシャァァァァァ!!!」」
二人から奇声が発せられ何かが送り火の中に飛び込んできた。と同時に二人の体が倒れ始めたので強制転移でダンジョン内の俺の部屋に飛ばす。
さて、ここまですれば出てくるだろう。
<ぱちぱちぱちぱち>
拍手が聞こえてくる、音のする方を見るとあのインチキ霊媒師がそこにいた。
「お見事!本当に人間じゃないんだね君。」
「汚い面下げて何しに来た。」
「さっき受けた屈辱を返そうと思ってね。それとその恵ちゃんをもらおうと思ってね。」
「恵を?」
「そうだよ、恵ちゃんと結婚すれば小鳥遊カンパニーの次期社長だからね、御贔屓の霊媒師なんて胡散臭い仕事ももうしないで済む。」
「私はあなたと結婚なんてしません!」
あれ?恵はいつからいた?まったく気が付かなかった。
「するようになるさ、このまま攫って、拘束して、拷問して、そうすればきっとそっちからお願いするようになるさ!」
「………最低。」
ふぅ、と一息ついて恵を転移させた。
まったく。人間ってのは汚いやつだな。
「は!いくら恵ちゃんを取られないようにしても無駄だよ。時間をかければ簡単に探し出せるからね。」
「ちげぇよ、恵を取られないようにするためじゃない、恵を巻き込まないためだ。お前のような屑を始末するのにな。」
「はぁ?たとえ人じゃないとしてもこれだけの数にはかなわないだろう?」
屑がそういうと物陰から人が大量に出てきた。
「その程度で俺を相手取ろうとはな、滑稽だな。≪意志の強さは力の強さ、我は力を、強さを欲する者――」
俺は詠唱を始める、詠唱は極大魔法と一部の特殊魔法の魔力使用量を少なくし、威力を上げる働きがある、らしい。ニュクス情報だから信憑性は薄い。
「!?、まずい!お前らやっちまえ!」
ゴミどもが来るがお構いなしに俺は詠唱を続ける。
「我が意志に呼応し!広がり!そして今ひとたび我が眼前の敵を焼き尽くせ!!!≫」
詠唱が終了と同時にゴミが俺の目の前まで到着する。
「【焦土】」
辺り一帯が炎に包まれる、いや包まれるなんてものじゃない、飲み込まれた。
--A.M5:00 ダンジョン内管理人室--
「だいぶ派手にあばれたの~。」
ニュクスがにやにやしながら小突いてくる。
「魔王らしくていいじゃありませんか!何を後ろめたいことがあるのですか!?」
フィーが励ましているつもりなんだろうが地味に心に刺さることを言ってくる。
「マスター、さすがにこれは騒ぎになりすぎたのでは?」
アルマも言ってくれる。袋叩き状態だ、四面楚歌だ。
「まあまあ、私を助けるためにやってくれたのですから・・・。」
「にしてもさすがに遊園地を中心に半径1kmを消し飛ばすのはの・・。」
そうだ、俺はあの時“焦土”で半径1kmを消し飛ばしてしまったのだ。何とか“クリエイト”を使って元の形には戻せたが・・・。
「町が直ったせいで逆に騒ぎが広がっちゃってるみたいですね。」
「まさか篝火君が魔王だったとはな、驚きだ。」
幸徳さんと巫女さんが冷やかしに来る。あの時ダンジョン内の俺の部屋に飛ばしたせいでこの二人はまだ管理人室にいる。
「二人とも、外まで転移させるからさ、帰ってくれないかな?今の俺はこいつらだけでもきついのに二人まで相手する余裕はないんだ。」
疲れてるし。夜更かしはするもんじゃないな。
「では、私は帰らせてもらうとしようか。」
「私は残りますよ」
「「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!」」「はい、そうですか。」
アルマ以外は全員驚きだ、ニュクスは声を上げてないが顔がかなり驚いているみたいだった。
「神社に戻るよりもこっちにいたほうがおもしろそうですから。」
にっこり笑いながら巫女さんは言った。……なんか、もう、いいや、疲れた、うん。
俺は幸徳さんを外の世界に送り返した後自分の部屋で眠りについた。
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「むう、神の手先がここにおるのは気分が悪いのじゃが。」
「確かにそうですね、魔族としてはいやです。」
「そう言わないでくださいよ、私は確かに神社生まれで巫女体質だけど神様なんて見たことも感じたこともないんですよ?それでもダメですか?」
「・・・そこまで言うのなら大丈夫ではないのですか?」
「むう、アルマの言うことはだいたいの場合正しいからの。アルマがそういうのならば大丈夫なんじゃろうが・・・どうにもの。」
「うー、すいませんが私も寝させてもらいます、私も今日一睡もしていないので。フィーさん、部屋借ります。」
「いいよー、おやすみなさい。それでこの巫女をどうする?眷属にするわけもいかないでしょ?」
「なんでです?眷属にするかどうかは篝火君が決めることじゃないんですか?」
「マスターを君で呼ぶなんて・・・許しません、排除します。」
「それはいかんぞアルマ、焔が見ていない間にここで殺してみるがよい。間違いなく怒られるぞ。」
「……怒られるのは嫌です。わかりました、我慢します、そしてマスターの許可が取れたら排除します。」
「それでよい。さて、貴様の名前はなんじゃ?」
「私?私は神崎玉依と申します」
「玉依・・・嫌な名前じゃの、神の依代ではないか。」
「そう言われても名前ですし、私が決めたわけじゃないんですよ。」
「それはわかっとるのじゃが名は体を表すと言っての、名前がそうならその名前の通りになるかもしれんのじゃ、そのような不穏分子残しておくこともできぬし・・。」
「ニュクスさん、これ以上は無駄です。マスターが起きてきたら続きにしましょう。」
「しょうがない、今は見逃してやるわい。とりあえず朝までこれでも飲もうぞ。」
玉依さんは終盤役立ってもらう………予定です。




