第十話 罠
あの後みんなで某掲示板に書き込んだりメールを一斉送信したりしました。
「それじゃあ・・・開けるわよ。」
恵子ちゃんが先頭で奥に進んでいきました。
「・・・普通の通路ね。」
「だな。」
だいたい学校の廊下ぐらいの広さの通路が目の前に広がっています。・・・見た目本当に窓がない学校の廊下のようです。
「と、とりあえず進むわよ。」
あの件のせいで恵子ちゃんが私たちのリーダーみたいな感じになっています。
「のど乾いてきたぜ。」
若松くんがいいます。たしかに蒸し暑くのどが渇いてきます。
「まったく。そこの水道で水でも飲んだらどうだ?」
蔵馬君が提案します。・・・何か胸騒ぎがします。こんなところに水道?
『ここは私たちがいた世界とは別次元に存在する。』
はっとします。別次元にいるというのならば。なぜ水道がつながっているというのですか?
「待ってください!!!」
「?どうしたの恵。」
「その水道は危ないと思います・・・。」
「思うだろ?こっちはもう我慢できないんだ。」
若松君の蛇口を握る手に力がかかります。
「やめ、駄目です――――。」
<じゃー>と水道から水が出てきます。あ・・れ・・・?
「なんともないじゃないか。」
若松君はそういって水をのんでいます。杞憂だったようですねよかったです。
「う!」
「「「!?」」」
突然若松君が倒れました。
「大丈夫か!若松?」
蔵馬君が駆け寄ります。その瞬間――。
「ぐ―――。」
蔵馬君の左胸から何かとんがったものが生えて・・・・え?
「きゃ、きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――」
恵子ちゃんの悲鳴で我に返ります。これがおそらく“魔物”でしょう。
細く鋭い触手で蔵馬君を殺し・・殺した者こそが、きっと。
「そんな・・・こんなことが・・・・・。」
恵子ちゃんはたった今起こったことを受け入れられずに、いや受け入れないように何かを呟いています。
「ももももももも・・・・」
蔵馬君を殺した魔物がはっきりとした姿を現しました。
それは液状の生物(?)・・・“スライム”と呼ばれるものでした。しかしさっきまでいなかったはずなのに・・・・。!!!
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「やはりこんなもの普通の発想ではないと思うのじゃが・・・・・。」
「何のことかな?」
俺はにこやかにとぼけてみる。
「とぼけるでない。ダンジョン内の気温と湿度を弄ってのどが渇きやすい状態にする。そしてちょうど水がほしくてたまらなくなってくるころに水道を設置して水の代わりに出るようにする。常人ではこんなほぼ100%かかる罠は思いつかんし、実践もせん。普通に魔物をけしかけたほうが楽じゃからな。」
「第二階層ほどではないだろう?」
「それはそうじゃが・・・。よくここまでスライムを使いこなすものじゃな・・・・・。」
「悪知恵は人間の特徴だからな。その悪知恵は多ければ多いほどいい。だからあの子を拉致るんだ。」
だから睨むんじゃないと・・・・。
・・・ずるい罠なのです。あの“管理人”とやらはかなりの切れ者です。正直生きて帰れる気がしません。
「あぁ・・ああ・・・。」
恵子ちゃんは完全に放心状態です。その状態のままあっという間にスライムに体を包まれて・・・・・消えました。
いつの間にかに若村君の死体もありません。
きっと恵子ちゃんのようにスライムに≪消化≫されたのでしょう。蔵馬君の死体も消化されていました。
「あぁぁぁ・・。」
私が泣きそうになって声を出すと瞬く間にスライムが私の体を包み込みました。そこで記憶が途切れます。
6/14 改行しました。




