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おうちデート


すみれの嫌がることはしないとの言葉通り、理人はすみれを家に招いてももちろん横暴なことはしなかった。


抱きしめるのも、キスも、それ以上も、なし。


本を貸してもらったり、映画をお勧めしあったり。

壁にプロジェクターで映し出して映画を観ることもあれば、クラシックをかけて各々読者に耽ることもある。


お昼は駅前で買ったお惣菜を食べたり、理人が作ってくれたり、すみれがキッチンをお借りして作ったり。

不思議と居心地がよくて、和やかなものだ。


映画を見てるときにソファの上で指先が触れて慌てふためいていると、


「ふふ、そんなに怯えなくても」

「おっ、怯えてないですっ」

「小動物みたい」


とひとしきり笑って、


「手、繋いでてほしいな」


と、手を差し出された。


「えっ、えー、えっと」


理人の顔と手のひらを交互に見て、すみれは、


「ははは!ほーんと期待を裏切らないね」


理人の右手の小指に、左手の人差し指を絡めた。


理人の小指は、すみれの親指と同じくらいの太さがあって、ゴツゴツしていた。


だって。これが限界だ。


自分から男の人に…理人に触れるなんて。

嫌とかじゃなく、これ以上は無理だ。恥ずかしくて。


真紘には触ることすら考えたことなかったし、話すのだって。


触れてるのは指先だけなのに、頬が赤くなるのを感じた。


理人だって気付いていないわけではないだろうに、大事そうにすみれの人差し指を小指で握り返して、上機嫌だった。


そうして、小指と人差し指だったのが、小指を人差し指と中指で握るようになった。

それが小指と薬指を2本の指で。


それから…





◇◆◇





「やめようか?」


理人の部屋にお邪魔するようになって3ヶ月が経った頃。

思いがけず怖いシーンのあった映画で震えていると、指先から伝わったのかコソッと理人からの提案。


いや。でも。気になる。犯人が。誰なの。ひぃっ。


首を横に振って真剣にスクリーンを観ていると、理人はクスクスと笑って、くっついていいよと腕を貸してくれた。


左手は指先を握ったまま、前を向いているの理人の服の袖を右手で掴んだ。


真剣に見入っているうちに二の腕にちょっとだけ肩が触れていて、真っ赤になって離れるとまた笑われた。


服越しにじんわりと感じた理人の体温が、心地よかった。




◇◆◇




一緒に買い出しをして食べたいものをおしゃべりしながら作って、のんびりお昼を食べる。

すみれが作ったり、理人が作ったりだ。


理人が作るパスタはバリュエーションが豊かだし美味しい。


理人だって料理はできるのに、何を作っても理人はいつもすごく喜んでくれる。

ついでの作り置きの感想を理人はマメに送ってくれる。


会社では仕事のこと以外はそんなに話さないのに、これが美味しかったとか次は何食べたいとか、メッセージのやりとりをしているのが不思議な気持ちになる。


理人が用意してくれたお菓子を2人で食べて、本を読んだり映画を観て感想を言い合って、緩やかに時間は進んでいく。

お酒を飲むのは仕事帰りか、休日もお店で。


帰りは駅まで送ってくれる。


おつまみも作れるしと宅飲みを提案すると、


「うーん、可愛くて食べちゃいそうだから」


と苦笑いされた。


…どういうこと?それって……そういうこと?


夕食はそのまま一緒に食べたり食べなかったりだが、夕方になると理人はすみれを駅まで送ってくれる。


別にまだいいのに。

もうちょっと一緒にいたいのに。


すみれが、そんな感情を持て余すくらい。





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