14. いざ!卒業パーティーへ
地獄のような面談から卒業パーティーまでの2ヶ月間は、とても穏やかだった。アンサー様は学園にはいらっしゃらなかったし、エミリア様はクロエやレオン様が苦手のようであまり突撃されることもなかった。エミリア様の知っているという未来には2人は出てこないのかしら? と考えたりもしたけれど、どうせ分からないので考えることを諦めた。
私は、この2ヶ月のことを思い出していた。
レオン様の素敵な告白から2週間もしないうちにホワイト公爵家から正式にレオン様との婚約の打診がきた。
その知らせが来た時には、お父様は泡を吹いて、お母様は『まさか』の『ま』の口の形のままフリーズしてしまった。お兄様だけはいつもの笑顔で言ってくれた。
「サナ? おめでとう。」
「本当に私なんかで良いのでしょうか?」
次にお会いした時に私はレオン様に聞いてしまった。
「僕の気持ちは先日伝えたから、両親の話をしようか。僕の両親は、僕のことをずっと心配していたんだ。過去や現在もそうだけれど、卒業パーティーで顔を晒した後の事も。また昔みたいに僕が酷い目に合うのではないか、僕の顔だけしか見ない女性に騙されるのではないか、とね。だから顔なんか関係なく僕を一人の人間として見てくれたサナ様なら安心だと言ってくれた。それにサナ様のお父上は王宮魔法士として働いているし家柄も申し分ないしね。」
「レオン様……。」
「何より僕がサナ様以外の女性と結婚をする気がまったくないからね。」
「……幸せすぎてまた気絶してしまいそうです……。」
「我慢して?」
クロエは、私とレオン様の婚約を自分の事のように喜んでくれた。
「レオン様なら安心ね! サナが幸せで本当に嬉しいっ!」
「クロエ。本当にありがとう。」
「婚約はまだ発表しないのよね?」
「ホワイト公爵家の意向で、卒業式パーティーで公表する予定なの。」
レオン様の素顔の公開と、私達の婚約の公表は同時となる予定だ。
「これで本当に最低クソ野郎ともお別れね。」
「……相変わらず酷いあだ名……。」
「サナにあんなことをして謹慎中のくせに、表向きは鍛練の為とかいう言い訳で学園を休んでいるから『ストイックで素敵』なんて未だに持て囃されているところが本当にムカつくのよね。」
「もう関わることはないって約束してくれたし、私にはもう関係ないから。」
「そうよね。あんなやつもう思い出す必要もないね。」
大切な家族、大好きな人、心からの親友、皆が側にいてくれて本当に幸せな2ヶ月間だった。
そんな風にレオン様の到着を待ちながら思いを馳せている私のもとにお兄様がいらっしゃった。
「サナ。準備は終わったの?」
「ええ。」
「レオン様が贈ってくれた黄色いドレスもとても似合っているよ。」
「お兄様。ありがとう。」
今日のためにレオン様が贈ってくださったドレスは私の大好きな黄色だった。その気持ちがとても嬉しかったの。
「サナ。今日はアンサーが来るだろうけど大丈夫?」
「……私にはもう関係ないから。」
「強くなったね? もし何かあっても大丈夫だからね。サナには強い味方がいるから。」
「ええ。レオン様やクロエがいれば私はきっと大丈夫だわ。」
「他にも強い味方がいるかもよ?」
「……えっ?」
私が聞き返した時に、執事がレオン様の到着を知らせてくれた。
「サナ。行っておいで? サナの未来は明るいから何も心配することはないよ。」




