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原初の魔女にして錬金術師

ご閲覧ありがとうございます!

 これから少し投稿ペースが落ちる時がありますので…申し訳ありません!

 目の前に広がった景色…突如として転移魔法で連れてこられた遺跡。

 竜之介をここに連れてきた彼女が立つ、後ろの大きな古びた絵画に描かれているのは…どうみても竜之介の居たあの『東京』の姿そのものだった。


 ぎっしりと詰められる様に建てられるビル群に、奥の方ではしっかりとあのスカイツリーですら写っていた。


 何故、何故この世界でこの景色を見ることになっているのか、それに困惑し…竜之介は言葉も出ず立ち尽くしていた。


 その様子を見た彼女…称をつけるなら『魔女』、そしてその魔女は、驚き戸惑う目の前の少年を見て、何かに確信した表情を見せた。


「のうお主、やはり…『この絵の世界』の住人なんじゃろ?

 我の"嗅覚"では…少なくとも"あの男"と同じ匂いもするし、雰囲気までそっくりだ。」


 と彼女が言ったとき、竜之介はふと我に帰り…その言葉に妙な気掛かり…いや、何だか既視感に似た表現、感情を覚えた。


 "嗅覚"…匂いで同じ雰囲気だと分かると言った彼女に、絵の事は一旦置き、ふと質問を投げ掛ける。


「嗅覚…? 人の雰囲気が分かるって…まるでフィオラと同じような事を言うな…まさかあんたも匂いで何かが分かる体質なのか?」


「フィオラ…ほう、そうか…お主の場所が分からぬと思ったら…成る程、あの娘の家に住み着いておったか。」


「は? 分かってたんじゃ無かったのか?」


「いや、そこまで情報は得ては無い…故にあの"都合のいい店"で呼んで貰ったんじゃ。」


「何だ…めんどくさかったのかと思ったぜ…じゃ無くて、その体質って言うか特技と言うか…何なんだそれ?」


 そう言うと、彼女はうーんと考え…ふと地面に生えている綺麗な赤い花を摘み取った。

それをすっ…と、匂いを嗅ぐしぐさを見せた。


 そしてふふっと笑うと…それをぽいっと投げ捨てて言った。


「今の花は『アカミカンジア』、カテゴリーは【植物】【毒】じゃ…初めて見たの。」


「へぇ…って初めて!? あ、もしかして今匂いで情報を得たとかゲーム見たいな事言うんじゃないだろうな?」


「おや、良く分かったの…まあ見れば分かるか。」


「えっ、マジかよ。」


「マジじゃよ?」


 竜之介の言った通り…彼女は目の前で『匂いで情報を得る』と言う異形な特技を見せつけた。


 フィオラの体質と似てるが…それよりも遥かにおかしな物だ。何故こんなことが出来るのか。


 余計にこの魔女の正体が気になる竜之介は…思いきって話をすることに。


「な、なあ…一体あんた何者何だ? いい加減話してくれないか?」


「むう…さっき言ったと思うが…まあ仕方ない、我もそんなに焦らして攻める様なタイプでは無いからの。」


「別にプレイの話じゃねぇよこのヤロウ。」


 すると、彼女は俺に近づき…歩きながら先程転移に使った指輪を掲げると、光を放ち始めた。

 何をする気だと思った瞬間…ふと目の前で立ち止まった彼女の目を見ると…。


 それまでルビーの様な赤い色の瞳だった彼女は、青い…真逆のサファイアの様な青い瞳に変わっていたのであった。


「な…!? 青い…瞳だと!?」


「もう…"お主なら知ってる事"じゃろう?」


「何を…お、おい!」


 そう言った彼女は突然…俺の額と自分の額をくっ付けた。


 その時だった。

 彼女の額が触れた瞬間…その手にはめた指輪は大きな光を放ち…俺達を包み込む。

 それと同時に、俺の頭へと直接何か…映像が流れ込んでくるのが分かった。


 反射的に離れようとする俺の身体を…彼女はしっかりと掴んで離さなかった。


「この感覚…まさか…!!」


「離れるんじゃないぞ…『我の記憶が流せなくなる』からの。」


 彼女の言うまでもなく、その大きな力に引き寄せられる様に…俺の身体はピクリとも動くことは無かった。


 ただひたすらに流れ込んでくる感覚…頭の先から足の爪先まで、痺れるように、流れる様に何かが巡っていく。


 それは経験であり記憶…そして感情であり、意思その物とも言える物だった。

 そして数多の記憶の中に…懐かしい顔を見つけ…包まれる光の中、竜之介は声を漏らした。


「遺跡……痛み……この顔は…。


親父………?」





※※※




 あれから少したった。

 まだ頭が酷く痛む…急とは言え、唐突に『共鳴』をされたんだ…無理もないだろう。


 彼女は、俺に対して唐突に共鳴を引き起こした。

 別に同じ事を考えていた訳でもなく、錬金術をしていたわけでもない。

それに…問題の"賢者の花"のペンダントも無い。


 それなのに…この魔女はあろうことか、意図的に、しかも一方的に共鳴を引き起こしたと言うのが事実だった。


 痛む頭を抑えながら…そんな俺を気にもせず、近くの石の上で葉巻を呑気に吸っている彼女の元へと向かう。


「ほう、少し手荒だったが…耐えたようじゃな?

これで…我の事は分かっただろう?」


「いてて…ああ、言葉通り…痛いほど分かったよ。何で…"共鳴"を起こせたのかだけ分からねぇけどな。」


「む? "共鳴"と言うことはどうやら分かったようじゃな?

 まあそれは後で話そう…それはそうと、ちゃんと記憶が渡ったか…"聞かせてはくれないか"?」


 少し意地の悪い笑みを溢しながら彼女はそう言い…葉巻を吸っている。


 俺はため息を盛らしながらも…この陰険魔女の為に"自分の事を聞かせて"やることにした。



「…あんたはこの大陸の中でも群を抜くほどの傭兵であり…それでいて情報屋でもある。

 そしてある日、自分の村が滅びた事をきっかけに王都…つまりあの町へと身を隠した。

 しかもそれは400年も前の事だ…何故あんたがそんなに生きてるのかは"流れてない"。


 村が焼かれた理由は…"魔女狩り"。


 あんたの名前はアリストロメリア…原初の魔女にして…『原初の錬金術師』。


 ついでに言うと…あの湖を今の姿に保つまでの魔力を注いだ『賢者』…それもあんただよな?

…あの廃村…あんたの故郷だったんだな。」


「…ほほう…良く出来ました…じゃの少年。

どうやら我の"自己紹介"だけ流すのは成功したみたいじゃな。」


「…都合良く一部分の記憶だけ流したって事か。」


「そう言うことじゃ…驚かないのかの?」


「ああ、"今と"なっては…な。」


 彼女はアリストロメリア。

400年生きる魔女にして原初の錬金術師…か。


 『賢者』と(うた)われるのも、何故あのような子供の姿で居たのも、今となっては分かる気がした。


 自己紹介は終わった…どうやら俺の記憶の一部も、彼女に流れたらしく、俺の事も既に知られているようだ。

 だが、問題はここからだ…本題に入る。


 何故、俺をここに連れてきたか…いや、それはある程度分かった。


 問題なのは、俺をどうしたいか…だ。


「そう言えばさっきの嗅覚の話じゃが…錬金術師って言うのは"素材の匂い"で何が作れるか、感覚的に分かるんじゃよ。


 あの娘…フィオラもそのせいじゃろう。

しかし…やはり、あの男の息子だったか。」


「ああ…"見ての通り"だ。あんたの言うあの男…その本人の息子であることは変わらない。


 そして…その男と随分関わりがあったみたいだな?」


「そうじゃの…ここから急に出て来て…こまり果てとったからの…助けた後話したり…色々やったかの。

まあ…その男の息子が…まさか来てるとはの。」


「単刀直入に、聞いていいか?」


「なんじゃ? 言ってみい?」


 俺はまだ痛む頭を抑えながら、出来るだけ彼女の…アリストロメリアの前へと詰め寄る。

 俺のその気迫に全く怯む様子のない彼女は、見下ろすように俺を見ていた。


 俺も彼女のその戻った赤い瞳を見つめ…直球で質問をしたのだった。


「あの男…そう、俺の親父だ。


 あんたが…親父をどうやら救ってくれたのは確かみたいだな。

 この世界に来て…困り果てた親父を、あんたの弟子…ルピカ・ビスマルク、そう…フィオラの母親の元へと導いたのもあんただ。


 これも運命だろう…あんたが"興味を惹いた男の息子"が目の前に居るんだからな。


 ズバリ聞くが……あんた俺を捕まえて何の用事があるんだ?」

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