第78話 戒の思いやり
言われた瞬間手に寂しさを覚えた。
タコがたくさん出来て硬くなった手が、あの温かい手が必要な気がした。
「でも・・・でも、トウヤが暗部に行ったのは私のせいで・・・。それに私はずっとトウヤが好きで・・・。だからトウヤを幸せにしてあげたくて・・・・・・。」
ルカを思った自分に罪悪感を感じ、トウヤへの気持ちを口した自分に違和感があった。
「ごめん・・・ヘンなこと言った。忘れて。こんなこと悩んでる場合じゃなかったね。」
「いいんじゃないですか恋で悩んでも。女の子なんですし。それにトウヤがいなくなって君を守り続けてきたのはルカです。誰よりも傍にいて君を支えてきたんです。休みのたびに君が死ぬんじゃないかって、気にして探し回って。」
「私・・・この前、死にたくないって、切実に思った。いつも死のうとしてたはずなのに。死ぬ気なんかないって。五人でいられるようになるまで死ねないって。」
「生きる糧ができた。それはすごい強みになります。それに未練があるとなかなか死ねないものですよ。私はこの怪我でそう思いましたね。」
ハルはソウマに笑顔を向けた。
「聞いてくれてありがとう。」
「いいえ。今まで私はハルと腹を割って話をするということをしてこなかった。これからはたくさん話しましょう。仲間なんですから。私も生きること最近見直しました。こんな体になって、それでも、わたしを愛してくれる人がいる。嬉しいことです。・・・本当は、私も悩みましたよ。出逢ったその日に好きになって止まらなくなって、離れた後なのにすぐ逢いたくなって。でも、あの人は名家の子女、結ばれるわけない。絶好の獲物のはずなのに、幸せになって欲しい・・・。」
「縁側で考えてたあれ?」
「ええ・・・。ハルに嘘をついてしまいましたね。嘘はなしといいながら。」
ハルはソウマの肩を撫でた。
あるはずの腕はなく硬く包帯で縛られていた。
「頑張ろうね。」
「ええ。」
二人で微笑みあうと、突然扉が開いた。
「ただいま!あれ、人少ね!」
「おや?ルカ何処行ってたんです?」
ルカは額の汗を拭い手を突き出した。
「これくって機嫌直せ!」
「え?」
「何これ?」
「プリン。お前の機嫌直るようにお前二個。」
「良かったですね。ハル。」
「・・・うん。」
「ありがとうは?」
ルカは笑いながら横目で見ていた。
「ありがとう・・・。ルカ。ソウマも・・・ありがとう。ホントにありがとう。」
堪え切れなかった。
「二人とチーム組めて良かった。支えてもらえて嬉しい。」
「どうしたんだよ。おい?」
「抱きしめてあげたらどうです?泣いてる女の子を目の前にしてるんです。」
ルカは二人の様子に首を傾げつつハルの肩を抱いた。
「私も頑張るから。頑張る・・・から。」
ルカは一度ソウマを見た。
ソウマはニッと笑ってルカを見た。
「俺も・・・ソウマもトウヤも・・気にくわねえけどシギだっている。お前は一人じゃねえよ。な。支えて頼ってだ。」
「ルカはいつも、分かってくれるんだね。」
「何年お前といると思ってんだ?十一年だぞ?よし、泣き止め。プリン食うぞ!せっかくシギとかトオルの分も買ってきたのに。俺全部食うぜ。」
「今日は私もいただきましょうかね。」
「おう!もちろん買ってある!」
ルカはハルから箱を奪うと中から瓶を取り出しソウマに渡した。
そしてハルの頬にも引っ付けた。
「冷た・・・。」
「な?・・・食べよ?」
ルカの優しい微笑でハルも笑顔になった。




