第48話 第七章 邂逅
第七章 邂逅
「ソウマ・・・は?」
シギは問いに答えなかった。
ルカは足と腕に錘を着けられ動くことは出来ないながらも鉄格子に駆け寄ろうとしていた。
「何か言えよ。」
「息はある・・・。だが息があるだけだ。」
「生きてんのか?」
「どうとも言えない。」
疲れた顔をしてシギは牢の前に座り込んだ。
「トオルは?」
「先程、気づかれた。頭が少し切れていたのと足をくじかれたが、大したことはない・・・。」
「そっか・・・。」
「先ほどお前らのアジトが落ちた。」
「そんなの別にいい・・・。」
「だな・・・。」
「腹・・・減ったか?」
「そういやあ、忘れてた。そんなこと。」
「お前が食べることを忘れるとはな・・・。」
「うるせえ。」
シギの軽口を怒鳴り返そうとしたルカの目からは涙が落ちた。
その後もとめどなく涙は零れ、見られないように何度も袖で拭った。
「何だ?泣き虫。男の癖に・・・。」
「うるせえ。冷徹人間。」
目の前で撃たれ倒れたハルと、息しかしていないソウマ。
考えただけで頭の中がおかしくなってしまいそうだった。
三人で今まで辛いことを乗り越えてきた。
どんな不条理な暗殺だって、どんな戦場だって三人で守りあって、支えあってやってきた。
けれど、もう二人と話が出来ないのかもしれない。
共に立つことは出来ないのかもしれない。
信じたくはなかった。考えたくもなかった。
「ハルと俺が繋がってたか、訊かないのか?暗部が張ってたろ?」
シギはまるで挑発するように尋ねた。
「お前も暗部に気付いてたのか。だったら守ってやれよ。・・・それにハルが裏切るわけない。今冷静になると断言できるのに。あの時かっとなって怒鳴っちまった。言いたいなあ。ごめん、信じてるって。」
「・・・昔のことは訊かないのか?」
「いい。あれからいろんなこと考えまくって、後悔して、腹たって・・・。でも、お前にも考えることあったんだろ?お前は基本、衝動的に行動する人間じゃないからな。どこかで隠れながらネチネチ考えるタイプで、全く俺とは気が合わないし。イライラするけど・・・。」
シギはルカに背を向けるように座りなおし、更に言葉を発した。
「俺も、お前とは気が合わないが・・・、お前の馬鹿がつくお人よしは嫌いじゃない。」
ルカはどうにか届いた手でシギの背中を殴った。
昔からいつも一人を好み、誰とも仲良くしなかったこの男。
そいつが敵になった今、暗部の弾を防ぎ、自分の命を助けてくれた。
「お前、本当ネチネチだな。分かりにくいんだよ。ばあか!仲良くしたいならそう言え!」
「誰がお前らと仲良くするものか。勘違いするな・・・。お前はこれから拷問して吐かせるために拾っただけだ。」
ルカはもう一度シギの背中を殴るとほんの少しだけ口元を緩めた。
「お前も生きてて良かった。」
シギはその言葉が重く響いた。
最近自分にそう言ってくれたハルを無理にでも連想させた。




