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GANG!!  作者: あかつき
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第28話 接吻

「泣き止め。ほら、俺のお菓子やるから。」

着替えたハルはベットの中でずっと泣いていた。

「何があったんだよ。ってか、報告しろよ。俺たち隠し事はなしって決めたろ?」

「あら、一体何の騒ぎ?」

「あ、おばちゃん。」

その名前と声にハルは反応した。

「ハル、チョコチップクッキー買ったんだけど。食べない?」

「お。うまそう。」

ルカもハルにむかって言葉を投げた。

「あら、ハルいらないみたいね。ルカ全部食べちゃっていいわよ。」

「え?マジで!いっただきま〜す。」

「待って!たべるううう。」

ハルはもそもそと布団から出てくるとズルズルと二人の前に座った。

「目、腫れちゃってるわね。どうしたの?」

「俺のいない間、何があったんだ?」

「・・・別に。」

「報告なさい。隠し事は隊の規律を乱すわ。」

「・・・暗部がいた。」

「は?暗部?お前、何したんだ!」

「何もしてないよ!してないもん・・・。してないのに・・・。」

「本当に何もしてないの?」

それはあまりにも冷たい口調だった。

ハルは驚いて顔を上げる。

「・・・してない。」

「そう・・・。」

バネッサは表情を変えず、ハルのベットに腰掛けた。

「ルカ。今日は何処行ってたの?」

「鷹紋家に・・・。」

「そう・・・。あそこで何かあったんでしょ?」

「・・・むかつくおばさんと娘がいた。」

ハルは呟いてから頬を膨らませた。

「あはは、鷹紋家のアヤ?あの女私も大嫌いなの!あいつのせいでどんな思いをしたか。」

「そうなの・・・?」

「ええ。まあ、人間としても鼻持ちならないし。大嫌いなんだけど。」

「私も分かる。あの人、私たちのこと見下しすぎなんだよ!」

「何か・・・話ずれてんだけど・・・。」

ルカは諦めたように腰かけ、チョコチップクッキーに手を伸ばした。

「あの家の娘はどんな感じなの?」

「超わがまま、あんなに贅沢な暮らしして、それが嫌だって言ってる・・・。」

「同じ女の子なのにねえ。」

ハルははっと息を呑み顔を上げた。

「おばちゃん分かってくれるんだ。嬉しい。おばちゃんだから言っていい?怒らないで聞いてくれる?」

「言いな。」

「両親もちゃんといて、愛されて育ってきたくせに・・・いい服着て笑って生活してるくせに・・・、気の合う友達がいないとか結婚が嫌だとか・・・。とにかくムカつくの。」

ただの羨望だということは分かっていた。

けれどバネッサはハルの頭を撫でた。

「ハルの気持ちすごく分かるよ。私もあのアヤって女ですごく悔しい思いをしたんだ。だから、誰がなんと言ってもあの女だけは許さない。できれば殺してやりたい。」

「おばちゃん・・・?」

「でも、あんたは組織の人間。泣くのは今日だけ。明日から気持ち切り替えて働きな。」

バネッサはハルにウインクして出て行った。

「なんか・・・いつもと違うことなかった?」

「だな。あの人でもあんなに感情むき出しにすることあるんだな。でも、当たり前か・・・お前が憎むのはシギか?トウマをあいつに殺されたんだから。」

(今、その名前を聞きたくなかった。)

「俺はあいつが憎い。もう死んでたとしても、あいつが俺たちにつけていった傷はあんまりにも大きすぎる。」

ハルは無意識のうちに唇を擦った。

あんなやつに力負けして唇奪われた。

それが口惜しかった。

「ん?どうした?気持ち悪いのか?」

「うんん・・・。」

ハルが一心不乱に擦る手をルカが押さえる。

「されたのか。襲われたときに。」

「どうってことないもん。」

「そうだな・・・どうってことないな。」

(そう割り切るしかないもん。)

「でも・・・俺はすげえむかつく。お前をこんなに傷つけたやつ。」

ルカの顔は見たことのないほど険しかった。

「ル・・・っつ!」

時間が、空気が止まったような気がした。

目の前にある見慣れたはずのルカをここまで間近に見たのは初めてだった。

息をすることすら忘れた。

自分の擦って熱をもった唇にルカの暖かい唇が被さった。

ハルはルカの唇がこんなに柔らかくて優しいものだということを初めて知った。

けれどすぐにハルは我に返り、力いっぱいルカを押し部屋から飛び出た。


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