戦い終わって
その後、どうなったかと言うと……
モンスターは、オクトハーブ前男爵に仕える戦士たちとの死闘の末に撃退され、オクトハーブ湖の水中深く、その身を沈めることとなった。前男爵絶命後、知らせを受けた息子のオクトハーブ(現)男爵が現場に駆け付け、適切に指揮を引き継いだのである。戦士たちは勇猛であり、かつ、男爵家がかつて帝都で金融業「幸せのハンフリー銀行」を営んでいた頃から(当時は番頭や使用人としてであるが)仕えてきた譜代の武装集団であったため、オクトハーブ男爵家に対する忠誠心が非常に高かった。
なお、モンスターは、湖に逃げ込む際にはまだ生きていたようであるが、重傷を負っていたことは戦闘に参加していた戦士の証言により裏付けられている。ただし、死体などは確認されていない。
オクトハーブ湖のモンスターの存在は、運河と湖の神のお祭りのメインイベントの日に事件が勃発したこと、町の最高実力者であるオクトハーブ前男爵が犠牲となったことなどにより、広く一般に認知されることとなった。政治的には、このことが機縁となって、帝都において微妙な駆け引きや暗闘などが行われることとなったようであるが、詳細は省略しよう。また、経済的な側面については、南北大運河が帝国の北部・中部と南部(トカゲ王国)を結びつける交通や物流の大動脈であることにいささかの変りもなく、(モンスターがまだ生きている可能性を考慮し、船の積み荷にかかる保険料が若干上昇することはあったが)南北大運河の利用量が減少することはなかった。
一方、バーンたち一行であるが……
「おい、コソドロ、しっかり走れ!」
「誰がコソドロだ! おまえは、チャンバラの真似事しか、できないくせに!!」
バーンが大声を張り上げ、チャーリーが言い返す。
「やっぱり、この二人、仲が悪いのよね」
「そうだね。でも、この二人は、やっぱり、こうでなくちゃ」
あきれて「ふう」とため息をつくマリーナに対し、エディは、ある程度、達観しているようだ。
「本当に、仕方がないですね」
サイラスは苦笑している。なお、ジギスムントは、いつものように無言。
オクトハーブの町を文字どおり逃げ出したバーンたち一行は、陸路、特に当てもなく旅を続けていた。南北大運河を利用すれば楽であるが、オクトハーブ自由市側から、「騒ぎを起こして町に多大なる被害を与えた張本人」として追手が差し向けられる可能性を考慮したものである。一応、帝都で請け負った配達任務は完了しているため、帝都にて報酬を受け取ることは可能であるが、これも、どうしたものか。
「コソドロ、そもそも、おまえが悪いんだぞ! 湖に飛び込んで、大きな音を立てたりするから、モンスターが暴れだしたんだ!!」
「なんだと、飛び込んだのは、おまえも同じじゃないか!」
実に仲の悪パーティーであるが、このパーティーの行く末は…… 既に「ザ☆旅行記Ⅱ」において示したとおりである。




