第一回子供会議 その3
いつも通りに授業が終わり、お兄様が迎えにくるのを待っています。
・・・が。どうにもリリウム様たちの顔色があまりよろしくないのです。
何故でしょうか?
「あの・・・リリウム様?大丈夫ですか?なんだか顔色が悪いのですが・・・」
「大丈夫ですわ。ちょっとこれからの話し合いが不安なだけです・・・」
不安・・・それはお兄様がいるから?それともお父様対策について話し合うから?
・・・・・・どちらもっぽいなぁ。父と兄がご迷惑おかけして申し訳ない!
とりあえず家族として謝らなければ!
「申し訳ございません。リリウム様やジェリク様、ジョージ様にまでご迷惑をおかけして・・・」
するとジェリク様とジョージ様が慌てふためきます。
「マリア嬢。気にしないで欲しい。もとはといえばサリエル殿に黙って許可を出した父が悪いのだから」
「そうですよ。私の父も宰相でありながら国王陛下が許可を出す時に同席していなかったのですから」
「それに、許可を出した報いは受けていたようだ」
「報いですか?」
「あぁ。『報い』だな」
なんだろうか・・・この微妙な言い回しは。
訓練場の隅からこっそり覗いていたのを宰相様に見つかって連行されたのと関係しているのかしら?
「そうだね。陛下はしっかりと『報い』を受けたね」
ジェリク様とジョージ様が堪えられないとばかりに笑い出した。
ちょっとだけ私とリリウム様は引いた。・・・いや『ちょっと』どころではなくドン引きした。
クスクス笑いだす位ならば、まぁ許容範囲内だろうけど・・・お腹抱えて爆笑しているのは何故?
私とリリウム様はお二人の様子にドン引きしながらも、お互いに首を傾げます。
「あぁ・・・悪い。あの時の父上を思い出したら・・・グフッ・・・」
お二人の話しを要約すると・・・
あの日、とっても良い笑顔の宰相様に連行されて、執務室に向かった陛下は通常の倍以上の執務をこなすことになったそう・・・
そして、執務が終わると王妃様と宰相様は陛下を私室へと連行。
夕食の時間になっても姿を見せない両親を迎えにジェリク様が陛下の私室に行くと、正座で王妃様と宰相様に説教されている陛下を見てしまったと。
その時の陛下はちょっぴり魂が抜けかけていたらしい。
王妃様からは
『茶会だと招待したのに何をしているのか!?』と。
宰相様からは
『一国の王ともあろう方が、物陰から覗き見とは情けない・・・』と。
もっともすぎて陛下は何も言えなかったそうです。
その様子を垣間見てしまったジェリク様は『君子危うきに近寄らず』とばかりにそっと扉を閉めてアストル様とルピリア様、ロベリア様が待つ食堂へと引き返したそうです。
ジョージ様は、その日疲れきった宰相様からグチとして聞かされたみたいです。
その上、学園に登校してきたらジェリク様に詳細に語られたため、お二人は爆笑してしまったと・・・
この上、うちのお父様にまで・・・と考えると、なんとしても隠し通さなければなりませんね。
それに、ボーナイト騎士団長はその日どうだったのか、ライアン様に確認しなければ!
お父様対策をきっちりしておかないと、陛下も騎士団長も再起不能になってしまうかもしれないですからね!!




