6-4 次なるアイデアに
どうだそこそこアルミナを集めだが、これでアルミに変化できるのか?
祈る気持ちで製造モードに取り掛かると、見事アルミらしき板版が出現して来た。
よし、、成功だ。ならばアルミナ迄大量抽出して持ち帰ろう。
その日は一日作業に没頭していくタローであった。
「「お帰りなさい 鉱物は取れました?」」
バルベラさんとローズさんがタローの帰りを迎えてくれた。
「ただいま あれローズさんまだ頑張っていたのですか?」
「ははは ブライトさんのお陰で好きな研究に没頭していました。あっ もう帰る時間なんですね、、」
魔道具の組み立て作業は彼のお蔭で次の部材が入るまで暫くは中止となり、空いた時間で二人は好きな研究に没頭出来ていたのだ。
「そうだ 帰る前にこれを見て下さい、、、」
「「何ですか この金属板は?」」
二人はその板を手に取ると、直ぐにこれは何かが違うと感じた様だ。
「・・・軽くて柔らかいですね」
「・・細工がしやすそうだわ 鉄や銅とも違う手触りね、、」
「はい、、一番のメリットは軽くて錆びないという利点です」
「「軽くて錆びない?!」
魔道具は雨の中や湿気の多い場所ではその材質が問題となる、この世界でも錆に強い物質があるそうだが、価格と重さに難があり広く一般には普及していない原因のひとつでもあった。
「錆びないのはステマ金属板があるれど、、価格が。ブライトさんこれは価格的にはどの程度?」
「・・採掘の手間と加工賃だけですが正直私のスキル次第なので、今現在はタダ同然ですが、、、」
「「はぁ?!今現在はタダ同然?!」」
呆気にとられる二人に頭を掻きながら彼は続ける。
「ここから北西の荒野に埋まっていましたが、普通の採掘で集めてもらってもさらに選別して、特殊な加工をしなければなりませんので、、無論私のスキルで行うので そうですね、、それでもステマ板と比べても1/100以下、、基本採掘手数料だけですけれどもね」
「待って、、採掘費だけで済むなら1/500以下になるわ、、、」
「・・そうでしたねステマ板は加工賃がべらぼうに高いのですよね?」
ステマ板は加工賃が高いのは、日に生産できる量が少量でしかない。日に大量に生産できるというタローにそれなりの加工賃を支払ってもべらぼうな安価に設定できそうだ。
「これ、、製造方法を申請すればとんでもない金額が、、、」
「あっ それ無理だと思います、、この金属板にするのは私のスキル以外は出来ないので、、」
「「ブライトさん 貴方何者なの?!」」
そう言われても返答に困る彼であった。
「ふぅ、、ステマ板は1メートル四方で金貨20枚程度する高級品です、、細工してみないと不明ですがこのアルミ板?は幾らで譲っていただけるの?」
えっ ステマ板て、、200万円前後なの、、ならば少しぐらい吹っ掛けても良いかな?
「・・えーと 金貨1枚でいいですか?高ければ、、、」
「買った! 今日は遅いから明日使用してみます」
はい、、自分も細工方法を見学したいので、、、
マリーさんも明日は早くから出てくると自宅へ戻っていく。最終判断はどう出るか明日が楽しみである。
「・・さて どんな感じか始めてみましょう、、」
バルベラさんは加工するのに金切りばさみに近い物でカットに入る。
「・・いいわね カットもしやすいわ」
「私も切ってみたい、、、」
カットはその厚さも関係してくるので何とも言えないが、彼女が言うのには色々な厚さのステマ板を今迄利用して来たから感覚的に捉えているという。
「・・カットは問題なし、良い感じで切れたわ で厚みはどの程度要望が利くのかしら?」
「・・えーと 要望に全て応えられると思います、、」
「・・・あのね いえ 何でもアリね ふぅー、、」
バルベラさんとマリーさんは互いに顔を見合わせてため息を吐く。
「・・貴方が何者か真剣に興味が湧いて来たわ、、」
ボソッとバルベラさんは何やら小さく呟いた。
「・・軽くて細工しやすいけど、少し硬度に問題あるかも、、」
通常は左程問題としないが、魔道具に於いて丈夫な物が求められることがある、その時には固さに不安があるという。
「・・はい その場合は合金にして剛性を上げる事も可能ですが?」
「・・・あなたは何でも出来そうで怖いわね、、」
二人からの何やら疑惑を込めた冷たい視線に彼は晒される、、
「ふぅ、、深くは考えないようにしましょう。人外の魔道具技士ね、、、、、」
何やら二人は呆れたのか頭を振り振り現実から逃避していく。
「・・出来た 軽量で水にも強い魔道具の完成よ、、」
バルベラさんの声にマリーも自分も工作してみるとアルミ材を手に取り作業に移りだした。
「・・ねぇ 少し隣の部屋に来てもらえる、、、」
彼は彼女に引きずられる様に移動して行く。
「・・ねぇ 話せるなら話して欲しいのだけど、どこでこんな鉱物の活用法を教わったの?知識も半端じゃないし、どう考えてもこの大陸での知識とは思えないのよ、、、」
少し考えていた彼であったが、ゆっくりと話し出した。
「・・基本スキルの力なんですよ、、鉱物や利用法等全てスキルの検索モードに質問すると回答してくれるので、、私の純粋な知識ではないのです、、」
ある程度こんなケースの質問もあると予測はしていた、嘘と本当を混ぜて答える事により相手を煙に巻く事も可能になる。
「・・・検索モード?!なんなのそれは 聞いた事も無いわ、、」
質問を書き込むと勝手に回答してくれる、、便利なスキルと納得してもらうしかない。
「・・・はぁーーー 頭が混乱しそう、、いいわ 全てスキルだと納得しておきましょう、、」
とても納得した顔とは思えないが、それでも納得するしか手は無いと彼女は考えついた模様である。
「済みません、、私にも不可解な事が多くて、、、」
「・・いいわ であのアルミ板は貴方が必要な数はこれからも供給可能と考えて良いのね?」
ここでお世話になっている間はまず問題は無いと答える。
「了解、、、それでは特殊契約を貴方と結びましょう、、あのアルミ板で出来た魔道具は材料費とは別に一つにつき小金貨1枚インセンティブを支払うわ、、、」
えーと、、場合によっては日に最低100個の魔道具造りも可能ですが、、宜しいので?
つまり通常の賃金・加工手間費の他に完成品一つにつき一万円の別報酬が出るという、考えればとんでもない金額が彼に転がり込むことになる。
「無論よ その分を入れても現在の魔道具は他の人が作る物より破格の値段で供給が可能になるから」
つまり大量生産がタローにより可能になると、市場はこの工房で出来た安価な商品を欲しがる事になるからだ。そして高価なステマ板は必要が無くなるケースが多くなる。
「バルベラさん、、やり過ぎは問題になりませんか?」
「いいのよ、、私は商品に於いては日常品関係に特化して皆に安く便利な魔道具を供給したいと考えていたのよ、、、」
それはいい考えだとは思う、、魔道具は特殊品として法外な金額が動くのが現実であった。特に日用品関係に於いて価格が引き下がれば需要はかなりの増加になると 彼女は前から考えていた様だ。
「で、、貴方が今後作りたがっている品は何なのかしら?」
・・私ですか、、作ろうと思えば前世の世界の者は材料さえあれば殆どが、でも流石にそれは言えないからな、、ふむ。
「・・そうですね 私は元々冒険者上がりですから冒険に必要なものと考えていましたが、一般の方に広く使ってもらう事を考えればもっと視線を変えた方がいいですね、、家事関係をもっと楽にとか生活に便利な魔道具の開発を本気に考えても良いですね」
「あら 私の考えに合わせなくても良いのよ、協力してくれるのは助かるけど、、、」
「構いませんよ、生活や家事が楽になれば皆さんが喜ばれるでしょうから、作り甲斐があるというものです」
「ふふ、、嬉しいな あの勇者ケンタロウ氏も後世は便利な井戸ポンプを広めてくれて、私達もかなり水汲みのわずらわしさから解放されて喜んだのですよ」
おう 彼の発明により水汲みから解放されたんだ、、それは、まてよ、、
「バルベラさん 水汲みは確かに楽になったのでしょうが、ここは庭先に井戸があると言っても雨の日とか吹雪の日は水の運搬はやはり大変な事ですよね?」
「ええ、、でもそれを言い始めるときりが無くなるし、、」
「・・給水システムが作れないかと考えているのですが、、、」
・・給水システム?! 何の事やら戸惑う彼女であった。
・・いや 待てよ、給水タンクは俺の虚空庫では大きさの問題が、、溶接の問題もあるな これは大掛かりになるか、、魔道具を作るにしても高価な商品になりそうだ 貴族向きか?! 一般向けはもっと簡易に考えねば、、、
「・・ブライトさん?気を確かに、、、、」
突然考え始めた彼に戸惑いが隠せない彼女であった。
「・・あっと 御免なさい、少し大掛かりになると判明したので、これは貴族用向きかと、、一般用はもっと簡易方式で落差利用で、、、」
「貴族用・・・?! ブライトさん、何かアイデアが?後で聞いても良いですか?」
彼女の内心では何やら金になりそうな雰囲気を嗅ぎ取った模様だ。魔道具は慈善事業ではない、彼女はそれなりに儲かる話には敏感に反応して当然でもある。
「ははは、、貴族用はもう少しお時間を下さい、一般用を少し煮詰めてみます、、」
井戸から直接落差を利用して配管で水を送ればいいだけだが、塩ビ管が一番いいが原材料の石油関係に難点があるしアルミ菅は虚空庫の最大3mの長さしか製作が不可能となる。値段も張りそうだ、、竹の芯をくりぬいて接合した方が空中のごみ関係が紛れる事が少なくなるし、安価で簡易か、、、。
これは一般用はアイデア商品になりそうだ、、
本来の考えから行くと一般用はお金になりそうもない?!




