5-4 ワイバーン騒動3
「、、先に食事にしましょうか?」
「はい、、でもその前にタローさんの薬草関係の手持ちを聞いても良いですか?」
彼女は仕事の段取りを計算し始めている様だ。
彼女の欲しい薬草を言うたびに目の前にある小さなテーブルにどーんと薬草が積み上げられていく。
「・・・タローさん、、どれだけ在庫を確保しているのですか?」
もはやテーブルの上は薬草が山のように盛り上がり、彼女は開いた口が塞がらない状態であった。
「他に必要な品は?」
笑いながらタローは他の注文を聞いてくるのに、彼女はただ圧倒されていた。
「・・タローさん 元々凄い人だと認識していましたが、此処までとは、、、」
「ははは 有難う、でも先ずは食事にしませんか?」
その言葉に彼女はようやくその事を思いだしたようだ。
「はい 今夜は私が作りますので期待して下さい?」
にっこり微笑みながら彼女は台所へと向かい始める。
「それでは申し訳ないですが、タローさんはポーション関係をお願いします。私は他の薬品を作製しますので、、、」
その夜のシェリーさんは鬼神?の様に薬品作りに没頭していった。
「・・・終わった、、これで皆さんが喜んでもらえる」
明け方近くになりノルマ?を完了した二人は疲れて店のソファーに腰を下ろして一休みしていく。
店のカウンターには商品が山の様に積み上げられていた、その出来た商品を二人して暫く見つめていた。
「よく これだけの品を、、、」
「タローさんのお陰で、、助かりました」
今日の販売に向けて彼女の徹夜に近い頑張りにほとほと感心したタローであった、彼女の努力により冒険者を始め一般の人にも大量の薬品が届けられることになる。この作業に置いてタローは密かに上級ポーションを手持ちとして何個か作成していた。これからももしやに備えて備蓄していくつもりであった。
「・・ふう 少し疲れたな、シェリーさん 少し仮眠をして、、あれ?」
彼の肩に何かもたれ掛かった感触と同時に甘い香りが彼の鼻をくすぐっていく。
シェリーさん?、、寝ているのか、、、、
彼の肩にもたれ掛かったのは彼女の頭であり、それは小さな寝息を立て始めていたのだ。
・・ご苦労様でした、、このまま暫く寝かせておくか?
彼も軽く目を閉じて彼女から伝わって来る暖かい体温と甘い彼女の体臭を味わって?いたのであった。
「シェリーさん そろそろ起きて下さい。店を開ける時間が迫っています」
「・・えっ? あっ いけない! 御免なさい 寝込んでいたのね、、」
「私は店の前を掃除して来ますので、シェリーさんは顔を洗って目を覚ませてください」
互いに笑いながら彼は店のドアを開けた瞬間に彼は固まってしまう。開店前と言うのに既に10人近くが開店を待っていたのであった。慌てて彼は洗面所へ向かったシェリーを追いかけた。
「た 大変ですシェリーさ・・ん?」
「きゃーー な 何だタローさんか、、だったらいいか、、、」
彼女は汗ばんだ体を上半身裸になってタオルで肌を拭いている最中だったのだ。
「ご ごめんなさい、、まさか体を拭いている最中だとは、、、あっ そうじゃなくて 大変です、もう店の前にお客さんが10名以上も待っています」
慌てて後ろ向きのまま彼は店の前での出来事を話す。
「・・はい? 10名がもう開店を待っているのですか、、、」
一瞬何が起きたと考え込んでしまった彼女だ、この店を開店して数年がたつが開店前にお客が並ぶことは過去には無い事だったのだ。
「開店準備に入りますので、シェリーさんも急ぎお願いします、、」
そう伝えると彼は店内へと戻っていく、、、
どさくさに紛れて眼福なものを見てしまった、、今日は良い日かな?
彼の目には彼女の豊かな胸が揺れている光景が刻み込まれていた、、、、
「もう少しお待ちください!店主が間もなく参りますのでーー!」
店内は冒険者により熱気にあふれている状態になった、怒声も飛び出して 早くしろ との連呼が店内に響き渡っていた。その間にも次々とお客が店に押し寄せる気配が伝わってきた。
「お待たせしました!今より出来たばかりの品の販売を開始します」
店内に彼女が姿を見せると大きな声で開始宣言を皆に伝える、途端に大歓声の歓迎の声が周りに響き渡る。
「「・・押さないで下さい!商品はまだ十分にありますから、、、、」」
シェリーとタローの大声もお客に負けずと店内に響き渡る。
「「お 終わった、、完売した、、、、」」
昼前には予定してあった品は全てを売り切る勢いで無くなってしまう。
「・・タローさん お疲れさまでした、、」
「シェリーさんこそ 頑張りましたね?」
「ふふ これもタローさんの用意してくれた薬草類のお蔭です 有難う、、」
「あっ、、考えればまだ朝飯も食べていませんよ、、もうお昼だし 食事を終えて一旦仮寝は如何です?」
寝なければ体力は持たないが、彼女はタローがこっそり手渡したポーションの錠剤を舐めながら顧客に対応していたのだ。
「・・これ 凄いです、、私でも製造できるのですか?」
これだけはスキルがものを言う、少し誤魔化しながら特殊スキルが必要と言う事で彼女も納得した。まさか虚空庫内で勝手に製造出来るとは話せない、他人に知れたら大騒ぎが目に見えるからだ。
「あっ 虚空庫内に料理を保管してありますので、一緒に食事にしましょう?」
二人は疲れた体を互いに労わり?ながら、奥の食堂へと向かう。
「午後は少し仮眠をしてからまた不足品作りですが、タローさんはどうします?」
「午後から少なくなった薬草を中心に至急集めてきます」
「・・お疲れの所申し訳ないですが、宜しくお願い致します、、」
事が事だ、ギルドでも大量注文が入るがお手上げ状態なのだから、、冒険者達は特にポーション類を求めて町中を走ずり回っていた。
タローも午後から不足の薬草を集中して採取を行い夕方には帰りつく。
「お帰りなさい、、」
彼女は懸命に製剤に努めていた、少し目の下にクマが出来ているのが気にかかる。
冒険者達からの要請に必死に頑張るのは理解するが疲れがかなり貯まっているのが見ていて解かる。
「・・無理していませんか?」
「ははは、、あの憎いワイバーン退治に向かう冒険者達の事を思えばこれくらいは、、」
「体を壊しては元もないですよ、、」
見れば昨日と同じくらいの薬剤は出来上がっている、ここはこれ以上は無理させてはならないと彼女のきりが良い所でストップをかけて奥の部屋で休憩をしてもらう。
さて、、此れからは俺の番だな、、、
初・中ポーション類はタローが引き受ける、と言っても材料さえ集まれば虚空庫内にて自動で作成してくれるので待ち時間で彼女の作った品を整理していく。
俺のチートとは違い1品1品彼女による手仕事によるものだ、改めて彼女の忍耐と頑張りには頭が下がって来るな。
完成品の並び替え等の整理を終わらせた頃に、虚空庫内から作業完了の知らせが入る。
ほいきた、、初級500本中級300本完成だな、、、
彼女は当面起きてこないであろう、、この間に上級ポーションも製造を開始する。これに関してはまだスキルが低い為かかなり時間を必要としている。
まぁ、、売り物ではなく俺の在庫としてキープしておくだけだからな、、
このポーションは使わなければそれに越した事はない、かなりの重症患者に使用するのが目に見えているからだ。
・・えーと、シェリーさんはぐっすりかな?二日続けて家に帰らなくても大丈夫かな?少しだけ様子を見に行ってみるか、、
彼女を起こさない様に静かに奥へと入ると応接間のソファーに毛布をかけてぐっすり寝込んでいる彼女を見かける。
陽気も暖かいから寒くはないと思うけど、、
彼女の睡眠を邪魔をしない様に離れると夕食の準備に掛かる、せめてスタミナの付く食事と思い虚空庫内の材料を確認する。
おっ、、オーク肉をまだ保存してあったな、、オーク肉のスタミナ丼にしてみるか、、
上級ポーション5つも完成したので続けて調理を開始していく。
食卓の前に手作りの野菜サラダを並べて行く、後は完成品を待つだけとなる。
出来上がったオーク肉のスタミナ丼を2つ並べる、暖かく凄く美味そうな匂いが食卓を包んでいく。
おっと 昨日の残りのスープも添えてと、、後はいつ感所が目を覚ます、、、あれ?
ふと後ろから気配を感じて振り向くと食卓を覗き込んで今にも涎を流しそうな彼女を発見。
「・・目が覚めました?食事にしませんか、、、」
「はい、、あまりのいい匂いに目が覚めてしまい、、、」
申し訳なさそうにする彼女を どうぞここへ と彼は席を勧めて遅い夕食となる。
「・・美味しい、、、、」
彼女は嬉しそうに笑みを浮かべてスタミナ丼を食べていた。
「・・タローさん 料理も才能があるのですか?」
彼女はじっと彼を見つめて軽いため息を吐いた。
いえ、、正確には全てスキルが勝手に料理を作ってくれるので、、とそうはっきりとは言えずに口を濁してしまう彼であった。
「ご馳走様、お腹も満腹になりました、、後少し製剤をして、、、」
いやいや、もう駄目です。少しゆっくりされてから今日はお休みください、ここで無理をして倒れたら皆が悲しみますよ。
「・・タローさんも悲しんでくれます、、?」
勿論です の言葉に何か嬉しそうに微笑む彼女がいた。
「・・ではこのベットでゆっくり寝て下さい、私はソファーで寝ますので、、」
彼女に柔らかなベットを勧めて彼はソファーに寝る事でようやく承諾してくれた。当初は私がソファーでと彼女は遠慮していたが、元々はここは彼女の店だ。居候のタローが譲るのは当然なのだ。
「・・はい 有難う、、体を拭いて寝る事にします、、」
洗面所に移動して体を拭いてさっぱりしてから彼女はベットに横になる。
あっ、、ふふふタローさんの匂いが、、くんくん、、一緒に寝てもいいのに、、、
彼女は何か不審な事を呟きながらも暫くはベット内に残るタローの匂いに満喫している様だ。




