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5-2 ワイバーン騒動

ギルマスは暗い顔でその後に衝撃的な話を続けてするのであった。

「住民のその被害者の一人が、、店主シェリーさんのお母さんも含まれていました」


 ・・なんですと?! 彼女のお母さんが、、、


「そうです、、正確には子供の身代わりなってしまった、、と言うのが正解ですか、、」

「・・・もしかしてその子供とは、、、シェリーさん?」

「はい 話によると初めての襲撃時に彼女シェリーさんは姉妹や近所の子達と広場で遊んでいたそうです・・そこにワイバーン達の突然な襲撃に慌てふためいて皆が逃げ惑っていたのですが、子供の足ではワイバーンにとってはいい標的の的となったのですね、、、彼女のお母さんは咄嗟にシェリーさんを突き飛ばして難を逃れようとしたのですが、、」

「・・彼女のお母さん自体が目標にされてしまった?」

「・・・はい 残念なことです」


二人はそれ以上は会話をするのを一旦やめてしまう。そして その沈黙を破ったのはタローであった。


「・・・ふう 元に戻しますが、、東の地区の異常時はつまりワイバーンが餌を求めて近場の魔物を狩る事から始まったと?」

「・・感が良いですね、、そうです異常発生したワイバーンが餌を求めて魔物を追いかけ回すことがそのスタートだと思います。そしてそれから逃れるために山に居た魔物達が野へ逃げ出し始めた、、、それが今回の東地区の騒ぎではないかと、私個人はそう思っています。昨日からギルドの特命を受けて腕利きのパーティ2組が山へ入っています。全てはその結果次第、、となります」

「・・その調査結果が出るのは?」

「後、、数日は必要でしょうね、、」


 この町から出て行くか?、、今迄お世話になったこの町の人達には申し訳ないが、ワイバーンはある意味空を自由に飛べて神出鬼没だ。大型のワイバーンなら人を咥えて大空へ舞い上がり自分の巣へ運び込むことが可能だと聞いている。

ドラゴンとまでは言わないが、その脅威は別格の魔物でもある。奴等1体で最低冒険者が15名は必要と言われている厄介な存在だ。この町の冒険者達は多く見積もっても百名前後か?その中には下級クラスの者達もいる、精々まともに戦えるのは総数の半分ちょいと見た方がいい、、。

そんなワイバーンを相手に戦闘スキルもない自分は何処まで戦力になれるのか?人相手なら浅知恵で意表を突くことも可能だが、ワイバーンはまず空から降ろす作業から始めねばならない。

通常は牛や馬等の大型家畜を撒き餌代わりに誘い出す手があるが、それは単体、乃至数体での話だ。今回は10数体場合によっては20体近く?

悪いが勝ち目は薄い、、、今ならこの町から、、でも。


「・・どうします?今なら出て行かれても誰も文句は言いませんよ?一応近隣の都市のギルマス達にはいつでも支援が出来るように手配する予定ですが、、相手が相手ですからね。冒険者達もこの町から出て行く者がかなりいると推測しています、、」


彼の心の奥を見透かしたようにギルマスは静かに微笑む。


「・・ははは、痛い所を突きますね。一瞬その考えも確かに浮かびました、でもシェリーさんのお母様の話を聞いてしまいましたからね。恐らく彼女はワイバーンに関してトラウマを抱えていると思います。大切な家族が自分の身代わりになってしまったのですから、、母親の行動としては納得できますが、その原因が自分にあると思い込んでいると思います。ならば、、彼女に雇われている身としては今迄の恩返しをしなければ、その後にこの町から、、、おっと これは別の話ですね」

「・・お前さん この仕事が終われば出て行くつもりなのかい?シェリーさんはこう言っては何だがお前さんが来てから随分明るくなったと報告が、、、おっと 俺も口が滑ったかな?」


 ・・そうなのか?俺は彼女の前の事は知らないので何とも言えないが、、


「・・そうですか ならば彼女がまた悲しまない様に少しでもこの町を助ける為にこんな俺でも手助けになればと思います」

「助かりますね、、少しでも手は欲しいのが現状なのでね」

「ここの領主の民兵とか国の騎士団とかの支援は無いのですか?」

「無論あるが、、ここの領主はあまり豊かではなくてどれだけの兵を搔き集められるのかは不明だな。そして騎士団派遣となると距離が離れているのがネックかな、、実際にワイバーンの再来と確かな情報が無ければ動けまいな、、、」


隣接する都市の冒険者・傭兵たちが一番の支援になるとギルマスはため息を吐く。


「・・まぁ そう言う所なのでお前さんの支援を期待しているよ。それとこれはまだ極秘情報だ、無暗に住民に不安を与えるのは上策ではないからな。済まないがここだけの話にして欲しい、、」

「・・もうひとつ宜しいですか?前回のその騒ぎは今回に何か役に立つのですか?」

「うん?、、ああ そう言う意味か、、無論前回に懲りて防御も強化はしている、空飛ぶ大蜥蜴対策として何台かのバリスターを領主様で設置はしてくれている、、どれだけ役に立つかは不明だがな」


数台のバリスターでは精々魔物数体分の防御にしかならないのだろうとタローは計算した、今回も前回と同じく10数体から20体の魔物が飛来したら、、、。


「後数日したら結果が出るのですね?その頃またギルドに訪問します、、それでは今日はこの辺で、、」


少し気が重くなってきたが、一旦店へと戻らねばならない。




「只今帰りました、、」

「お帰りなさい 少し遅かったね?」

「ええ、、久しぶりにギルドに寄りましたので、、」

「ギルドへ?何かあったの、、」


 ・・いえいえ 野暮用を済ませただけです。


「そうなの?それでは私は家に戻りますので、後を宜しくね、、」


彼女が帰って行ってからようやく一息ついて夕食の準備に入る。

そう言っても全て材料さえあれば便利な新虚空庫にお願いするだけだ、、、


 ワイバーンか、、魔法を使えない俺には対処法は、、あれがあるか、、、。


レーザー銃が頭に浮かんだが、あれは人前では使いたくないが緊急時には仕方ないと。

この騒動が治まったらこの町からずらかるしかないと 彼は心に決める。


問題は彼女を魔物からどうやって守るかの方に頭を悩ませていた。

ギルマスには参戦すると約束したが、彼女のワイバーン恐怖は心の中に深く残っているものと思われる。

一人になった時の彼女の恐怖を考えると、他の冒険者達と行動するのは少し無理だと判断する。彼女に寄り添い彼女の恐怖を少しでも少なくしてあげなければならない。今度ギルドに行った時にギルマスに理由を言って参戦は断るべきだと決心した。


彼女の身の上が安全だと判断された時に動くべきだと、それまでは彼女の傍を離れてはいけないと何度も頷いて自分に言い聞かせていた。




「シェリーさん、少しお聞きしますが、、ご自分の身を守る 例えば魔道具類はお持ちですか?」


朝の掃除が終わり一息ついた時に彼は彼女に尋ねてみた。


「・・身を守る魔道具?」


少しきょとんとした顔で急にどうしたの と言う感じで彼を見つめる。


「いえ、、帰る時などたまに遅くなる時もありますよね、少し薄暗くなった時に心細いのではないかと心配して、、」

「あら 確かにそんな時もあるけど、ほらそんな時は何時もタローさんが送ってくれるじゃないの?」


可笑しそうに笑顔で彼に応える彼女だ。


 た 確かに、、そうでしたね。でも偶に泊りがけの仕事もあるし、そんな時には心配なんです。


彼は少しどもりながらそう続けた。


「・・あら 私の事を心配してくれるの?ふふ 嬉しいな、、」


 えーと 何か勘違いしていないかなシェリーさんは、、


そう思う程に彼女は嬉しさを全身で表して、その目は輝いて見える。


「ふふふ、そうね タローさんを心配させても行けないし、今度魔道具屋さんに買いに行こうかな?」


と言う事はやはり慣れた道と言う事で何も防御の品は持っていないらしい。


「・・・ならば 私の手持ちをお貸ししましょうか?使い方が特殊なので夕方でも森で使用方法をお教えしますが?」


昨晩考えていた事を彼女に話してみた。


「・・あら夕方に森へ、お母さんが森へ二人で行くときは好きな男性以外は駄目と言っていたわ、、」


 あのー、、それは少し意味が違うのでは?いやいや お母さん、当時幼い子に教える言葉ではないのでは?


「ははは タローさん困っている?大丈夫です タローさんを信用していますので、、」


愉快そうに笑い転げるシェリーさんであった。




その日はいつもより少し早めに店をしまい、森のある場所へと二人は揃って歩き出す。


「・・えーと ここなら大丈夫そうですね?誰も見ていないよな、、、」

「ふふ、、今からいけない事をする二人なのかな?」


まったくシェリーさん、誤解を招くような言葉は、、、




「な 何なんですか?この威力は、、、、」


予備のレーザー銃を手渡し使い方を丁寧に説明して、一度彼が手本で撃ってみた。

中程度の出力であったが、大木に大きな穴が貫通した有様を見て彼女は固まっていた。


「先ほど説明した様に、、小型の魔物は最小でも対応出来ます。そして()()()()()は最大に合わせれば6回分攻撃が可能になります、、」


人目が無くとも町も近いし最大での試射はかなり目立つので控える事にした。


()()()()()ですか、、、」


何やら覚えがあるのか彼女は暫し考え込んでいた。


「・・シェリーさん?」

「あっ 御免なさい、、ならば今度は私ですね、最小に合わせます、、、」


狙いを付けて何度か目標の木を目掛けて彼女は試射を繰り返す。


「・・ふう 最小でもかなりの威力なんですね、でもお陰でコツは直ぐに理解しました。本当にこれを

お借りしていても宜しいのですか?」


そう言いながらも彼女は嬉しそうにレーザー銃を見つめていた。


「・・そしてこれはホルスターと言ってその銃を収めるものなのですが、、これをスカートの中に入れて太腿に固定すれば相手からは見えませんし、直ぐに取り出せるのではと、、、」


彼女用の固定用のホルスターを作製していたので手渡すと、、、

暫くそれを見つめていたが突然彼女は自分のスカートの端を捲り始める。

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