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4-7 ダンジョン探索へ

夕食の準備を始めるともう外は暗くなり始めている、今日は一日あれこれとあった日になった、一番は自分の出自を疑われた事であり、今後も何かにつけて問われる可能性が高い事となるだろう。今日はいい考えが浮かばなかったが明日は解決策まではいかなくとも対処法、、つまりとんずらを含めての対処を真剣に考えようと心を引き締めるタローであった。



その後彼の生活自体は普段とは変わらぬ毎日を過ごして行った。

薬草関係の採取場所もほぼ確認が取れて、もし不足品等があればどこへ向かうべきかのあても付きつつあった。


「えっ やはりダンジョン内にも特殊な薬草があるんですか?」


何種類かの薬草は冒険者達が序に採取して小遣い稼ぎをしているが、ダンジョン内の岩山地帯に咲く薬草は通り道には無く、かなり遠回りして岩山昇りの末に見つかるらしい。

初心者の冒険者には負担が大きく、中級以上の冒険者にとっては苦労して採取しても儲けが合わないと二の足を踏まれてしまう。


 もしかの時の予備として採取するべきだな、、、


考えればこの世界でダンジョンは初めての経験となる、


 ・・ダンジョンか、、何かワクワクするな、楽しみだ。


念の為にギルドに出かけてこのダンジョンについての説明を受ける。




「名前に誤魔化されないで下さい、確かに国に届けた時は初級ダンジョンとして設定されましたが、下層部は中級のダンジョン認定に僅かに劣ると言うレベルです。つまり初級~中級のダンジョンと言っても差し支えないと知れ渡っています。下層部はレベル30でないと立ち入り禁止としてあります。確かタローさんは・・40ですか?問題はありませんが、単独となると慎重にお願いします」


 ほう、、下部層は中級に匹敵するダンジョンか、、つまり初級最強ダンジョン?


地下階層は10階しかないが、下部の8層以下は特別ルールにより設定されているらしい。

彼の狙う薬草がある岩山層はその8階層になるそうだ、成る程初級クラスしか潜れない者達には採取は困難な筈だ。それと各1階分はかなり広いらしく、普通は3階層分潜るのに一日が必要になるそうだ。


 ・・時間はかけられないな、、上層部はガンガン進むべきだな、、


薬草需要は急に必要になる事がある、ゆったりしてダンジョンを責めて行く時間はない。

彼は一日で7階層迄終わらせるべきと準備に掛かり始める。



「ええー 一日で7階層迄ですか?可能かと言われれば可能と聞いていますが、、かなりの移動時間が必要ですよ?」


シェリーさんも少し呆れた顔で彼の移動計画に困惑していた。


「・・8階層にしか無い薬草狙いの予定ですから、、、」

「ああ、、ゼラチン草狙いですか?確かにアレは常に不足気味ではありますが、、充分にお気をつけて下さい。あっ 8階層に入る場所に安全地帯がありますので、そこで一晩過ごされるのが宜しいかと、、」


それはいい事を聞いた、かなりの強行軍となると思うのでその夜はゆっくりと寝れる場所は助かる。

また数日ここに帰れそうもないが、のんびりダンジョン散策は後日にして、8階層に全力を注ぐ計画にて彼は動き始める。



次の朝早く、まだシェリーさんが来る前に彼は出発する。

少しでも今日は時間が欲しいのだ、ダンジョン迄移動で一時間前後であり、その後8階層の入り口にある安全地帯迄一気に移動する為だ。

昨日ダンジョン内部の地図をギルドにて購入して来た、この地図を検討して最短コースをマークしていった。ダンジョン内を早足にて移動していけば夕方までには安全地帯へと到着できると判断してみた。

無論 現実は何時も計算通りにはいかないと理解はしているが、出来るだけ時間に合わせて移動して行こうとタローは気合を込める。


 ・・さぁ もたもた出来ない、走るか、、


まだ暗闇の中を彼は疾走して目的地のダンジョンへと一路急ぎ出す。

夜明けとほぼ同じ頃に目的地へと到着したタローであった。


 ふぅ 到着したな、ダンジョン前に泊まっている冒険者達も起き始めたか、、よし 今の空いているうちに此方は活動開始だ。そのままの勢いでダンジョン内へと彼は飛び込んでいく。


「・・おい 元気な奴が単独でダンジョン内に入り込んだぞ、、」

「あん 単独で?まぁ いいさ、此方も早く朝飯の準備をしないとな、、」


何人かの冒険者達がタローが入っていくのを見ていたが、自分たちの朝食の準備に再び追われていた。



「・・ここがダンジョンか?ほぼ知識の範囲内かな、、さて最初の分岐路を左が最短路だな、、」


再度地図を確認すると足早に進み始めて行く。


「・・ほいほい 退け、邪魔だ!」


1階層は冒険者達がよく出入りする為かほとんど魔物は出てこない様だ、出て来ても魔石が欲しい訳ではないので、大抵は蹴飛ばして後も見ずに足早に去っていく。


 ・・師匠のお蔭でレベル40は伊達ではないか。


彼は順調に2階 3階へと進んでいく。そして4階層へと到着する。


「・・ほう ここは今迄と違い 大平原か?」


先ほどまでは勝手が違い洞窟内から広い平原が目の前に展開していく。問題はかなり薄暗く視界が悪い事だ。


「まったく ダンジョン内はどうなっているのやら、、」


3階層までは生活魔法のトーチにて内部が側面の岸壁に反射して夜目でも左程問題なく進めてきたが、今はまったくの平原となると光は闇に吸収されて先の確認が難しくなる。


「えーと 此処の大草原は、、約5キロをただ真っすぐか、、しかし方向感覚が問題か?」


目標物がほぼない地点では人はまっすぐと言われても微妙に蛇行してしまう。場合によっては大きな円を描き、その結果またスタート地点近くに戻りうろついてしまう事もある。


「・・こんな時は冒険者達の歩いた形跡を見つけるのが一番の近道なのだが、、」


普通の森の場合は確かにその手が有効だが、ここはダンジョン内である。時間経過とともに踏みしめられた草も元に戻り、其の形跡を消し去ってしまう。


「兎に角 慎重に進むしかないか、、、」


暗い草原を感覚を頼りに腰近く迄ある草を踏むしめながら彼は進んでいく。普通はパーティ内に索敵スキルを持つ者がいる、こんな草原では近くに魔物がいてもなかなか発見が出来ない。索敵スキル持ちが大切な役割を持つ事にもなる。


「・・おっと、用意した物を、、、」


薄暗い中でも魔物による草の僅かな動きを早めに発見する為にスキルによるヘッドライトを作製してあった。これにより前方の視線がかなりはっきりと確認できるようになった。こっそり近寄ってくる魔物を対処しながら先へと進む。


時間のかかる4階層を何とかクリアした時にはもうお昼近い時間が経過していた。

彼は周りに注意しながら腹ごしらえをすることにした、これから始まる5階層への準備でもある。


「えーと 次は湿地帯だな、、足のぬかるみに取られて動きが制約されそうだな、、」


そうは言っても初級ダンジョンでもあるので、歩きにくさを注意すれば出てくる魔物は早めに発見できれば対処はいくらでも可能である。


「索敵スキル、、欲しいな」


一人冒険者となれば特に必要なスキルかも知れないが、彼には無い物ねだりであり四方へ気配を張り巡らせるしか今のところ方法はない。


「うん?ここは少し深いのか、、待てよ、、、」


深いと言っても彼の長靴が15センチ程潜り込むだけではあるが、何となく嫌な感じがして周りを見渡してみる。


 ・・うーん 気にし過ぎるかな?


気を取り直して先に進み始めた時にそれは起こった。


 うわぁー 何かが嚙みついた!


慌てて異変のあった足を引き上げてみると、如何にもと言う魚型の魔物が彼の長靴へと噛みついていた。


 何なんだ こいつは?ピラニアに似た魔物か?!


体長は30センチ程もあろうかと言うグロテスクな姿と鋭い歯を持つ物体であった。

安物の靴なら靴の皮共々彼の肉を噛み切ったのかも知れないが、師匠に靴の大切さを教えられてそれなりの長靴を履いていたのが幸運でもあった。

その魔物を払いのけると脱兎の如くその領域から走り抜けていくタローであった。


「はぁはぁ、、まったく俺の一張羅に傷をつけやがって、、、」


這う這うの体で危険地帯から抜け出し、他に噛まれた場所が無いか確認して見る。


「・・はぁーー 帰りはこの地帯は全速力でダッシュだな、、、」


他の水辺の魔物は大した事は無い、あのピラニアもどきだけは要注意だと心に刻む彼であった。



何とか5階層を抜け出すと6・7階層はまた迷路による普通?のダンジョンであるが、狭い通路に数で押してくるケースが増えて逃げようもなく、仕方なく魔物を退治しながらの行進となっていく。


「ええい!弱いくせに数だけは出て来るな、、、」


強行突破の力技は次第に疲れが出て来る、いくら初級ダンジョンと言えど数の力は偉大である、、。


「うぉーー くたばりやがれ!」


懸命に剣を振るい魔物を退治し先に進む彼も荒い息を吐く始末になる。


 くそぅ、、単独の悲しさが身に滲みるぜ、、、


ぶつぶつ呟きながら、せめて攻撃魔法でもあれば と己のスキルを嘆くタローでもあった。

そんな彼がようやく7階層を突破して安全地帯に飛び込んだのはかなりの時間が経過した後であった。


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