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3-7 そして新しい旅立

今回で手持ちの投稿文を全て終えました。次回からは週に数度の投稿予定となります、申し訳ないですが宜しくお願い致します。

暫くして食事の時間となり、彼女の部屋をノックしたが返答はなく、耳をすませばドア越しに師匠のすすり泣く声が聞こえてくる。静かにその場から離れて行くタローの姿が見られた。

その後も何度となく様子を窺っていたが、やはり彼女の嗚咽の声が僅かに聞こえて来るだけである。

その夜はいつにも増して夜空が綺麗な夜である事を彼は窓越しに夜空を見上げていた。



「・・昨夜は取り乱して済まなかった、もう一度ギルマスに訪問して詳細を聞こう、、」


朝の食事を勧めに師匠の部屋を訪問したが、彼女は食が進まないと食事を断ると、ギルド再訪問を希望したのだ。この時間帯は朝のドタバタでギルド内は混雑している、暫し時間をズラして訪問する事で納得した。


ついでに何とか彼女を動かして遅い朝食を二人で済ませたが、彼女は僅かに食しただけで終える。

一晩中泣き明かしたのか、彼女の目は赤いままであった。


時は良しと判断して彼は師匠を呼びに部屋に訪問してギルドへと向かい始める。



「・・おう 少しは落ち着いたか?目が赤いな、、、」


ギルマスも彼女を心配していたのか、再訪問した彼女をかなり気を遣っている様子だ。


「・・昨日は取り乱してすまんかった、、、」

「いやいや、、ある意味当然な事だと思う、、勇者グループの4名の内残ったのは貴女一人になったからな・・・」

「ああ・・本当に齢をとるのは早いものだな、、あの時の仲間との熱き戦いがもうかなり昔の事になってしまった、、私は無駄に齢を重ねて今だ死ぬことも出来ない、、、」


ハーフエルフとは言え長命族の血を引く彼女は今だ姿かたちは若いままの姿であった。


「・・・では入手した情報を伝える、、勇者ケンタロウは前日にも話した通りに約半月前に病床にて息を引き取ったとの事であった。その最後は穏やかでむしろ薄く微笑んでいるような最後であったらしい。丁度その前日に国王陛下が見舞いに来たその翌日に彼は亡くなったそうだ。最後の言葉は、、この世界で好き勝手に生きて来られて幸せだったと、、そしてもう一言、、キャロルさん 貴女に最後もう一度会いたかったと、、、、、」


途端に彼女の握りしめている拳がブルブルと震えているのをタローは見ていた。


 ・・そうか 遅かったか、、もう少し早くアレが手に入れば昔の約束を、、、


小さな声で彼女が何事か呟いていた。


「うん?何か話したか、、、」

「・・いや 済まん 先に進めてくれ、、」

「いや 伝わっているのはここ迄だ、、もしかしてあの国に行けば別の話も、、」


それに対して彼女は暫く沈黙していたが、徐にその口が開く。


「・・私は約束が守れなかった女だ、、今更顔見世は出来ん、、、」

「そんな事は無いだろう 彼の子供達も待っていると以前聞いた事があるが、、」

「どうやってこの顔を出せる、、この話はここで終わらせたい、、」


ギルマスは深くため息を吐く、何かを言おうとしたがその口は閉ざされてしまう。


「・・タロー お前と一緒にあの国には行けなくなった、ここでお前とも別れねばならない。明日は一人で馬車に乗り新天地へと旅立って欲しい。お前はもう立派に当初の目的は果たしたであろう?」

「し 師匠は今後どうするのですか?」

「私か?私には森の中のあの場所しか残されてはいない、、あそこで滅する迄住むつもりだ、、」


それに対してタローもギルマスも今は静かにして見ているしかないと共に感じていた。



「・・それでは師匠、明日の為に少し買い出しをしてから夕方には宿に戻ります」


ギルドを出た場所で二人は左右に別れる事となった。師匠は再び宿屋へ、彼は町の商店街を巡り明日以降必要な品を調達する事となる


 ・・無事に師匠は宿屋に戻ったかな?一旦一緒に付いて行けばよかったのかも、、


別れた後の師匠の背中がやけに小さく見えたのが気掛かりな彼であった。

気掛かりはあるが明日の旅たちの為に彼は忙しく身の回り等必要な品を用意する為に走り回っていた。

殆どの店は初めての訪問の為に人に尋ねながらの行動は思いのほか時間がかかったのだ。


 これで全部かな?最悪は次の町で揃えればいいか?町に着くまでに必要な物が最低限あれば良しとしよう。


彼も師匠が気掛かりで買い物がつい中途半端な状態になっているのに気づき、何が必要かもう一度見直すことになる。


 そうか、、剣も今後は予備を一つ購入の予定だったな、、まてよ、例のスキルで剣の強化は出来ないのかな?一本購入してから宿屋で確かめるか、、、


武器屋にてそれなりの剣と鉄のインゴットを数個分けてもらう事とした。


 よし これで当面の準備は終わったよな、、もう夕方だ宿屋へと急ごう。


「・・ただいま 遅くなりました、、、」


彼女の部屋にノックしてはいると報告を告げる。


「そうか、、何も忘れ物はないかな、、明日でお別れだな、、」

「師匠 寂しい事は言わないで下さい、、ほらあの遺跡はまだ中途半端な状態です。暫く他国で過ごした後にまた帰ってきます、その時には一緒にまた遺跡を訪問しましょう、、」

「・・うむ そうだったな、、その時には元気になっていると思う。また一緒に遺跡にでも出かけようとしよう、、」


なれど 師匠の顔は力なくどこか寂しそうであった。


「それより 下で夕食が始まっています、、一緒に行きましょう?」

「そうだな、、少しは食べなければ力も出ないか、、」


なれど彼女の食欲は朝と変わらずほんの少し食べただけで十分な様子であった。



「では明日の朝に最後の御挨拶に参ります、ゆっくりお休みください、、」

「・・ああ、、そうだ もう少したって寝る前に尋ねてくれないか?最後に少しお願い事があるのでな、、」

「・・願い事?ですか、分かりました 暫くしてお邪魔します」


少しは元気が出たかなぁ?部屋から出て彼は沈んでいる師匠を思いながら自分の部屋へと入り込む。



「おっと 少し寝過ぎたかな、、師匠の部屋に行かなければ、、、」


自分のベットで横になっていて少しの間うたた寝をした彼であった。


「・・失礼します、、、」


ノックをするも反応がない、師匠は寝てしまったのかな?そう思いながらも少しドアを開けて覗き込むと室内は暗闇状態であった。


 ・・しまった 遅かったかな


このまま帰ろうかと思案していると中から声がかかる。


 いいのよ 中に入って来て、、、


師匠の声に反応して一歩中へと入り込む彼であった。


「えーと 暗いのですが、ランプは付けないのですか?」

「あまり明るくしたくなくて、、こっちに来て座ってくれる?」


そうかエルフは夜目が利くのだった、、しかし人族の彼は手探り状態でベットの近くにある椅子を見つけて座り込んだ。


「ゴメンね 夜も遅くなっているのに、、今日でお別れだから最後のお願いがあってね、、」


声の位置から師匠はベットにて横たわっている様だ、普段は行儀には五月蠅い師匠なのだが、恐らくは疲れがあるのかな と彼は理解していた。


「いえいえ 師匠のお願い事ですから、どうぞお気になさらずにお話しください」

「有難う 実はお願いと言うのは、あなたの子種を希望なのよ、、」


 はい・・コダネ? うん? もしかして子種 いやまさか、、、


「困惑させてごめんなさい、タローにも話したけど私は明日森に引きこもる事にしたわ、もう当分出てくる事は無いと思う、、そんな私も一つだけ心残りがあるの。子供が欲しいのよ 子供と二人であの家で静かに暮らしたいと思うの、、こんな事をお願いできるのはタローしかいないと思いついたのよ。無理は言わない もし私が嫌いでは無かったらお願いを聞いて下さらない?」


青天の霹靂? 今聞いた事が俄かに信じられない彼はしばし固まっていた。


「・・ダメかな?」


 いやいや 突然の申し込みに少し混乱して、、あのー何故に私なのでしょうか?


「それはこの半年以上一緒に生活して、タローの人なりを見て好ましいと感じていたのよ、、それと正直言うと何より異世界人の血を引いているでしょう?」


 異世界人なのだろうか? 知識としては確かに引きついてはいるが、この肉体はこの世界の両親から授かったのだと思う。

 待てよ、、そうか 師匠は勇者ケンタロウを俺の中に重ねているのでは、、、

 

 お願いよ、、女に恥をかかせないで、、此方に来て。


突然に掛けてあった布団を捲ると師匠の白く綺麗な裸体が彼の目に突き刺さる。


 ごくり 思わず唾を飲み込んでしまう程の綺麗な裸体が暗闇の中でも輝いて見えた。


 し 師匠、、本当に私でもいいのですか?

 当たり前です 此処に来て抱いて欲しい、、、貴男は私の初めての弟子でもあるのよ。師匠の最後のお願いを聞いて欲しいの、、、


彼女は両手をゆっくり広げて彼を誘っていた。若い彼がこれ以上は我慢の出切る筈がない、、いつの間にか服を夢中で脱いで彼も裸体になると、飛び込むように彼女に抱き付く彼がいた。


その後の二人は時間の経過も互いに忘れ夜明け近くまで互いを求める営みが続いて行く、タローは師匠を抱きながらも彼女は想い人のケンタロウ氏を自分に重ねている気配を感じていた。


 ・・それでもいいさ、師匠が踏ん切りをつけるために俺が必要なんだろうな、、


これまで散々お世話になった師匠だ、彼女はまた一人あの森に籠る気配があった、そんな師匠が少し哀れにも思うが彼女が其れを選ぶならそれが正解だろう、、今の俺に出来るのはケンタロウ氏に成り代わり彼女を抱きしめる事だけだ、、、。


今回で手持ちの投稿文を全て終えました。次回からは週に数度の投稿予定となります、申し訳ないですが宜しくお願い致します。

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