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2-9 師匠の決断

そしてあまりの変わり果てた子供の姿に村人達は恐れ、あれを見た子供は本人や村にも祟るものであると認識されていく。そして好奇心旺盛な彼女がそれを知らずに、、いや好奇心が勝り言いつけを守るより行動を起こし、その結果村から隔離され追放及び定期的な状況監視を受けて一人で生活して来たらしい。



「・・うーん でも師匠はその後発病もなく今迄過ごしてきたのでしょう?」

「正直言うと 村へ戻ってから少しの間体調不良が続いてはいたが、寝込む事や発達障害等は無くこの齢まで過ごしている、、もしかしてだが私は人族とのハーフであり、あの病状は純粋エルフ特有に強く発生するものかもしれんと 後日勝手に思い込んではいたのだが、、」


 ああ 長命ゆえに成長過程が人族よりゆっくりなのがある意味逆に働いてのトラブル?だけど 話しからすると確かにエルフ特有の風土病のひとつ?それは無理があるか、、其の見た物から何かが放出されての発症と考えた方がすっきりしそうだな、、それも大人達には大した被害はないから、やはり成長途中の子供達には影響が大、、


自然界にそれほど強烈な異常を起こすものなどは、、いや ここは異世界だ、決め打ちは出来ないよな、、今の段階では精々考えられるのは俺の元の世界である放射線や電磁波のかなり強烈な磁場等の悪影響も考えられるか?


「・・お話を聞いての私の判断はやはり師匠の考えと似たようなものですね。私の世界ではもしかしてと考えられる原因もありますが、この世界では、、、まてよ 正かとは思うが、、師匠其の見た物の外見を出来るだけ正確に教えて頂けますか?」


「ああ、、思い出すのも嫌なのだが、形自体は少し変わった小山、、いや 何やら見た事もない巨大な硬い岩に苔が生えた状態でと言った方がいいかな?そうだな、、何か自然で出来たとしたらかなりの奇形であるな、表面はどんな刃物で切り付けても跳ね返りそうな手応えであった。大きさは、、丸い形?に中央部に帽子の鍔に似た物がグルリと一周巡っておったな、、、前後は百メートルはあろうかと言う巨大な一枚岩だ」


 何だと、、もしやと思って尋ねたが、俺は元の世界で少し興味があって偶に調べていた事がある、それがもしかして師匠の証言にかなり似ているものであった、、落ち着け まだそうだとは決まってはいないからな、、


「・・そして その建物 いや岩山の内部に入ったのですか?」

「ああ 当時の私の幼い体でギリギリの隙間があったんだ、儀式が行われていた場所とは裏側に近い所でな、、、その中で信じられない物を目撃したんだ、、」

「少し待って、その話をする前に先ほど電気部品らしきものを見つけたとおっしゃっていましたよね?何故にそれが電気部品だと解かったのですか?」

「お前が図入りで丁寧に教えてくれたではないか、昔見た記憶に近い物があると理解したんだ。お前の世界はあんな物を造っているのか?」

「・・成る程 ならばほぼ私の考えていた物と一致するかな?」

「何が一致するんだ?、、先に話しを進めていいか?」


その後に出てきた話は奇想天外な話であり、聞き終えた後も彼は暫く沈黙して考えを纏めていた。


「・・おい どうした 黙り込んで?」

「あっ 済みません、、理解に時間が必要で、、もう一つお聞きしますが、その岩山はかなり昔からあった様子でしたか?」

「・・ああ 先ほども少し話したが、全体は苔むして崩れた近場の石が積み重なっている状態だったな」

「・・どの位の年数が経過したか分かりませんか?」

「無茶を言うな、、エルフの昔話から推測してもかなりの年数が経過しているとしか分らんぞ、、」


 御尤も、、確か数千年前から語り継がれていたと言うから、、もしかして数万年以上前から()()が存在していた可能性があるか?!


再び黙り込むタローに彼女は怪訝そうな顔を向けた。


「おい、、さっきから沈黙ばっかりだが、、何かヤバイものなのか?」

「あっと 再び申し訳ないです、、正確にはその物を見てみないと何とも答えが、、、」


しかし彼の頭の中ではとてつもない仮説が浮かび上がっていたのだ。


「ふーん、、なぁ もしもだがお前の言う電気部品?がその中にあるのなら、スマホなる物が作れるのか?」

「えーと 可能性はあると思いますが、その前にこの新スキルの取り扱いを実際にやってみないと、、」

「そりゃそうだな やり方が理解できねば製作は無理だわな、、よし手始めに今ある材料を利用して実際に制作してみようではないか」


何故か生き生きと彼女は上機嫌になりスキルのテストをしようとはしゃぎ出す。



「・・えーと この薬草3種類でポーションを創るのですか?」


彼女から部材を受け取り新虚空庫へと収める、改めて目の前に浮かぶ操作盤の指示に従い対象の品を設定して開始すると、、、


「おっ?!何やら動き出したようです、、、」

「そうか 上手くいくと良いな、、」


やがてその動きは止まり中級ポーション✖3 と表示が現われた。


「出来ました 師匠、、中級ポーションが3コですか、、、」

「おっ あの材料数で3コの中級ポーションが?ふむ 一般の製法より効率がいいか?」

「はは そうなんですか?何となくやり方は理解しましたので、上手くいけばスマホも作れるかもしれませんよ?」


実際はこの世界はインターネットのシステムや電波塔もないので、外見の箱だけの仕様ではあるが、、、


「そうか、、ようやくあいつとの約束が果たせそうだな、、、、」


何故か一人で微笑む彼女であった。



彼女との話し合いでエルフの里近くにあるその不可思議な場所へと向かう事に決定する。

タローにとってもそして彼女にとっても互いに別の目的があるが、共に目的がはっきりとしている為にスムーズに今後の方針を立てる事が出来たのだ。


「もっと魔物を倒せ!早くレベル35に上げて自分の身は自分で守れるようにしないとな、、、」


今迄の師匠にはない程の力の入れようで、兎に角早くレベルを上げろの一点張りであった。




「し 師匠、お待たせしました、、ようやくレベル35に達成しました、、、」

「ふむふむ 少し時間がかかったがよく頑張ったな、、では明日からは食料等の出発準備にかかるぞ」


「えーと 目的地までは何日ほどの予定で?」

「私なら10日もかからぬが、お前の足と腕前では最低二週間必要かな、、そのつもりで準備をしなさい 

 いいね?」


新虚空庫内は食料品類の時間経過がほぼゼロであるので、手強い魔物がいる場所ではのんびり調理に時間を割いている余裕はない。予め何点か料理を作り置きして直ぐに食事がとれる様にしていくのが上策であろう。


「えーと 何食分を作り置きしとこうかな、、かなり作らないとな、、、」


ここで役立ったのはやはり新スキルの活用であった、当初は何食も懸命に料理を作って虚空庫に格納する事に汗をかいていたが、師匠より指摘されて各種材料を格納しておけばスキルで出来るであろうと笑われる。

確かについ習慣で料理の完成品を作っていたが、何の為の虚空庫の新スキルがあるのかと反省するタローであった。


もっぱら新虚空庫内は食料品材料が主として納められ、師匠より借りた魔法袋に備品・日用品等が収納されていく。


「おい、、この品はお前の袋の中に入らぬのか?」


またですか、、何故こんなにしょうもない物まで、、ごほん もう少し荷を整理して下さい。普段の移動はこんなに持ち込まないのではないですか?」

「うーん 其れはそうなんだが、ほらこの前買ったベットの寝心地が良くてな、、このまま今回は持って行こうとするとどうしてもほかの品が、、、」


 はぁーーー勘弁して下さい、野生児エルフは何処に行ったのですか?


「黙れ 快適な睡眠時間は美容にいいと聞いたぞ 絶対に持って行く!」


 はいはい 承知しました、、あんたが大将、、、、


数日バタバタしながらこの森の中心部を目指す旅が始まろうとしていた。


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