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第34話

本作では、創作補助としてChatGPTを利用しています。


物語・設定・キャラクターは作者自身が作成し、文章の推敲や表現の整理にAIを活用しています。


そのため、本作はAI利用区分を「AI直接使用」に設定しています。

「うめーーーっ!!」


 ダニールの大声が広間に響いた。


「なんだこれ! めちゃくちゃ美味いな!」


「ダニール、口を閉じて食べろ! 下品だぞ!」


「ほんと、美味しいね~。うちのパーティは誰も料理できないから羨ましいよ」


 ミハイルは手を止め、しみじみと呟いた。


「え? それじゃあ普段はどうしてるんですか?」


 ルカが尋ねた。


「僕ら宿暮らしだから、食事も全部宿で食べてるんだ。だから普段は困らないんだけど、野宿の時は悲惨なんだよね」


 ミハイルが珍しく苦笑いを浮かべた。


「確かに悲惨だな……。特にダニールの料理は毒でも入れたのかっていうくらい身体に異常をきたすからな……」


「あはは。三人で丸一日動けなかった時があったよね」


「あー。そういや、そんなこともあったな」


 ダニールは頬張ったまま答えた。ルカは眉をひそめる。


「それ、本当に毒を入れたわけじゃないんですよね?」


「毒入れて自分で食う馬鹿がどこにいるんだよ」


「ダニールもそこまで馬鹿じゃないよね」


「そこまでってなんだよ?」


 ダニールは食べる手を止め、ミハイルを見た。


「馬鹿には変わりないってことだ」


「は? 俺、そこまで馬鹿だと思われてるわけ?」


 アンドレイは無表情でダニールを見た。ミハイルも笑顔のまま何も言わない。


「お前らそういう無言……本当にやめてくんない? まだ、そうだと言われた方が傷つかないわ」


 ダニールが肩を落とす。だが、食べる手は止まらない。


 そこで、デニスが口を開いた。


「ところで何でホームパーティーやることになったんです?」


 イヴァンは一瞬固まった。レオニードを見ると、小さく息を吐いていた。


「え? お前そんなの、やりたい気分になったからに決まってるだろ?」


「は? 何が決まってるわけ? 何言ってるんだ、この人は」


 デニスは呆れたようにダニールを見た。


「……ちっ、聞くだけ無駄だった」


「デニスさん、本音が漏れてますよ」


 ルカがくすりと笑った。


「あ、そうだ。イヴァンお前、明日何とかって鍛冶師のところに向かうんだろ? 俺たちも付いていくわ」


 イヴァンは首を傾げた。


「何故だ? お前たちも鍛冶神匠ボリスに会いたいのか?」


「ちげーよ。お前、3日もその鈍で旅するんだろ? 心配だから俺がお前の護衛してやるよ!」


 そう言ってダニールは自身の胸を叩いてみせた。


「そんなの必要ない──」

「本当ですか?!」


 イヴァンの言葉をルカが遮った。視線を向けると、ルカはテーブルに両手をついて身を乗り出していた。


「『灰色の刻』が一緒なら、イヴァンさんだけで行かせるより安心かも。ね、デニスさん」


 ラリッサに呼ばれ、デニスが頷いた。


「そうだな。サーシャが、いつまたあんな状態になるか分からないからな」


 三人まで賛成するものだから、イヴァンは断るに断れなくなっていた。


 仕方ない。どうせダニールは言い出したら止まらない。それに、アンドレイが何も言わないということは、もう決まっているのかもしれない。


「思ってた反応と違くて調子崩れるな……。ただ、わりーけど同行できるのは行きだけだ。俺たちは別の目的があるからよ」


 ダニールが頭を掻きながら言うと、ルカが残念そうに肩を落として座り直した。


「そうなんですね。でも、行きだけでも居てくれるなら安心か……」


「……なあ。何でそんなにサーシャを警戒するんだ? あいつそんな悪い奴じゃないだろ? それに魔法使いだぜ? 詠唱さえさせなければ勝てる相手だぞ?」


 ダニールは不思議そうにアンドレイへ顔を向けた。アンドレイは肩をすくめた。


「確かに魔法使いは、一人だと人間相手には弱いからな」


 そう言ってアンドレイはデニスに視線を移した。デニスは首を横に振って口を開く。


「サーシャは息をするように魔法を使うんですよ。あいつに詠唱なんて必要ない」


「あれ? でもサーシャって詠唱して魔法使ってなかったっけ?」


 ミハイルが首を傾げて言った。


「多分、普段は詠唱が必要だと思い込んでるんじゃないですかね……。だから、詠唱がなくても使えることまで忘れてるんだと思うんですよ」


 デニスのその言葉に、イヴァンは納得した気がした。


 確かに、普段のサーシャは噛みはすれども詠唱をしている。だが、剣を持ったときは形だけ詠唱してるように見えた。実際、しなくても魔法を放てるのだ。剣を手放すと、詠唱なしで魔法を使えることまで忘れてしまうということなのか……。


「なんだそりゃ? 普段ってなんだよ? 忘れてるって……意味わからねーな」


 ダニールは両手を広げ、大きく息を吐いた。


「サーシャは剣を持つと人が変わるんですよ……」


 そう言うと、ルカは【暗穴の墳墓】でのことを話し始めた。ボス部屋の床が崩れてから、サーシャとカティア嬢の兄妹喧嘩に至るまで。ルカは一度話し始めると止まらず、ダニールたち三人は黙って耳を傾けていた。


「へえ! おもしれーな!」


「いや、人の話、聞いてました? リーダーが死にかけたんですよ?」


「くーっ! イヴァンが手も足も出ないとか、見たかったぜ!」


 ルカはダニールへ冷ややかな視線を向けた。


「は? 酷くないですか? なんなんですか、この人は。クソですか」


「おいルカ、本音が漏れてるぞ」


 デニスが無表情で言った。


 まるで二人ともアンドレイのようだった。ダニールに関わると、皆ああなってしまうのだろうか。そんな考えが一瞬頭をよぎる。


「それにしても、あんまり驚かないんですね? ルカが少し大袈裟に話したのに」


 デニスの問いに、アンドレイが口を開いた。


「俺は十分驚いてるぞ。まあでも、そういう異常な存在も居るだろうとは思ってたからな」


「だな。俺たちも化け物みたいに強いやつ知ってるしな! なあ、ミハイル」


「あはは、そうだね。でも、その人よりサーシャの方が化け物じみてると思うけどね」


 楽しそうに話すダニールとミハイルを見て、ルカがぼそりと呟いた。


「なんなの、この人たちは」


「すねんなよ、ルカ! 行きだけは俺たちがイヴァンをしっかり守ってやるって!」


「どうせなら帰りも守ってくれればいいのに。ね、ルカ」


 ラリッサが笑顔で何気なく言うと、ダニールはぴたりと動きを止めた。


「ラリッサちゃんにそう言われると悩んじまうな……」


「別にいいぞ、お前だけ一緒に行っても。俺たちは先に行くけどな」


「じゃあ、ダニールだけイヴァンと一緒に行っちゃうんだねー。じゃあ、あとで合流できるといいね~」


「できなきゃ、ずっと一人で彷徨ってるようだな。頑張れよダニール」


「寂しくて死んじゃうかもね。ダニール、寂しがり屋さんだからね」


「その前に飢え死にするか、自分の料理で死ぬかだろな」


「そっか、今生の別れになっちゃうんだね……さよなら、ダニール」


「いや、お前ら……もう酷すぎて言葉を失うわ」


 ダニールが目を見開いていると、アンドレイは小さく息を吐き、ダニールの肩に手を置いた。


「お前のことは一生忘れないよ……というか、お前みたいな馬鹿なやつ一生忘れられないな」


「アンドレイ、お前、本当に容赦ねぇな……。あれ? この料理、こんなにしょっぱかったっけ?」


「ダニール、それは涙も一緒に食べてるからだよ。こっちの甘いのを食べたらちょうどいいかもよ?」


 ミハイルがそっと菓子をダニールに手渡す。


「本当にこの三人が一緒に行っていいのか、不安になってきたな……」


 ルカがぽそりと言った。


 それから『灰色の刻』のペースに飲まれながら食事を続けた。デニスとラリッサはアンドレイに氷魔法を見せてもらい、ルカはミハイルにひっきりなしに弓の話を聞き、その間もダニールは散々飲み食いをしていた。


 やがて食事も一段落し、『灰色の刻』を見送るため皆で外へ出ると、ダニールがふと思い出したように口を開いた。


「そういえば、お前たち明日どこ方面に行くんだ?」


「北だと聞いてるが……お前そんなこともわからずについて来ようとしてたのか?」


「細けーこと気にすんなよ。じゃあ、朝に北門で待ってるわ!」


 ダニールは片手を上げると、豪快に笑いながら歩き出した。


「じゃあ、ごちそうさまでした! またね~」


 ミハイルが大きく手を振りながら後ろ向きでダニールを追いかけると、アンドレイも軽く手を挙げて背を向けた。


 去っていく三人を見送りながら、ルカが首を傾げる。


「え? あの人たち、目的地の方向が一緒だから同行するんじゃなかったのか……」


「ダニールなりに、イヴァンの剣を折ったことを気にしてたんだろう」


 そう言うレオニードと目が合った。イヴァンは少し気まずさが込み上げる。


「お前の気が済むんなら好きにしろ。その後のことは俺の勝手だ。それでいいだろ」


 その言葉にイヴァンは安堵した。だが同時に、自分のわがままを押し通してしまった申し訳なさで複雑な気持ちになる。


「すまない、レオニード」


「何、二人しかわからない会話してるんですか。結局今日のあれは何だったんですか」


 デニスが間に入るように口を挟むと、ルカも続けた。


「そうですよ! 急に『灰色の刻』の三人を連れてきて! ダニールさん絡むの面倒くさいんですよ!」


「いや……あれは……」


 イヴァンが言い淀んでいると、ラリッサがデニスとルカの背を押すように家の中へ促した。


「まーまー、たまにはこういうのもいいじゃない。私は楽しかったですよ。ダニールさんはちょっと面倒くさいけど、楽しい人たちだし」


「イヴァン、お前は早く寝ろ。明日から歩きっぱなしになるだろ」


 レオニードはそう言うと、皆を見回した。


「お前たちも、イヴァンを見送るつもりなら早く寝るんだな。じゃないとこいつは黙って家を出るからな」


「確かに、リーダーやたら早起きだからな……」


 ルカが納得したように呟くと、デニスがルカを捕まえて真剣な顔をした。


「ルカ。俺は朝起きれんから起こしてくれ」


「もー、いい加減自分で起きれるようになってくださいよ!」


「自分で起きれるなら頼むわけないだろ?」


 そう言いながらデニスは自室へ戻っていった。


「いや、あの人わかってるのかな? そういうところダニールさんと同じだって……」


 ぶつぶつと言いながらルカも自室へ向かい、ラリッサも後を追うように二階へ上がっていく。


 イヴァンもレオニードとボグダンに挨拶をすると、自室へ戻った。部屋の隅に置いた旅支度が目に入る。


 ──明日、ここを発つ。賑やかだった時間が嘘のように静まり返った部屋で、その現実だけが胸にすとんと落ちてきた。ベッドへ身を預けた途端、全身が鉛のように重くなる。


 ……なんで、こんなに疲れてるんだ。その答えを考えるより早く、イヴァンの意識は静かに眠りへと沈んでいった。

ご感想・レビュー・誤字報告など、ぜひお気軽にいただけたら嬉しいです。

「ここが気になった」「このキャラが印象に残った」など、一言だけでもとても励みになります。


いただいたご感想は、今後の創作の参考として大切に読ませていただきます。

楽しんでいただけましたら、ぜひ気軽にお声を聞かせてください。

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