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軍の施設内を信じられぬ速さで駆け抜けている。そのあまりの速さに呼吸するのさえ苦しくて、ヒユウの首に腕を回して肩に顔を埋めていたフィリアは訴えるように、握り締める手に力を込めた。
息が苦しい。周りの景色など見えない。時折、兵士の驚愕に満ちた悲鳴が耳をつんざくだけだ。何が起きているのかわからなくて、怖くて途中で目を閉じてしまった。一度閉じてしまうと再び開けようとする勇気は、沸き起こらなかった。
ヒユウはそれに応えるように、フィリアの抱える腕に力を込めた。もう暫くの辛抱だというように。
二十段以上ある階段を一足飛びで駆け上がったところで、ヒユウは軍靴の踵を床の溝に引っ掛けるようにして立ち止まった。
風圧が止んで、息苦しさも無くなった。
外に出られたのだろうか。というか何処に向かってるのだろうと思いながら、フィリアは瞼をゆっくりと上げた。途端に流れ込んだ光量に瞬きを何回かを繰り返してから、頭を上げる。すぐ間近にヒユウの横顔があって、密着状態な今の状況に気付いた少女は慌てて首に回していた腕をぱっと放した。彼の肩を見ると、ずっと握り締めていた為にやはり皺になってしまっている。困った様子で窺うように見上げると、ヒユウの琥珀の双眸は真っ直ぐ正面に注がれていた。睨みつけているといってもいい。フィリアはその視線の先を辿って、顔を正面に向けた。
建物からは出られたようで、少ない星を散らばせた真っ暗な空がフィリアたちを見下ろしている。その星の光を頼りに見渡すと、庭のようなところで芝生が広がっていた。夜会からどれだけの時間が流れたのだろうと思っていたが、それほど経っていないらしく、いまだ夜は明けていない。
建物の出口から直線上のその先に、手を組んで立つ壮年の男が佇んでいた。いたのはその男ただ一人だけだ。
けれど一目見て、彼がただの騎士と違うことがフィリアにもわかった。ヒユウと対峙しても劣らぬほどの威圧感。何より彼の頭上には、見たことがないほどの巨大な鳥が彼を守るように、ゆったりと翼をはためかせていたのだ。
「鷹……?」
翼は赤く全身は黄金色に輝く巨大な、鷹に似た鳥だった。思わずその美しさと大きさに見惚れていると、ヒユウが静かに教えてくれた。
「奴の召喚獣の、火翅鳥 だ」
「召喚獣……!?」
ということは目の前の男も、ヒユウと同じく召喚士なのか。
つい最近まで「召喚士」など見たことがなく、程遠い存在だと思っていたフィリアは、信じられない思いで繰り返した。
火翅鳥は夜空を優雅に旋回している。その下で精悍な顔立ちのその男は悠然と、ヒユウの睥睨の視線を正面から受け止めていた。余裕すら感じて、フィリアは言い知れぬ不安を覚える。ちらとヒユウの様子を窺うが、張り詰めた横顔は変わらない。
彼は、怒っているのだろうか。
貧民街で見たそれよりも、ずっと苛烈な色が混じった横顔から、顕然と伝わってくるのだ。目の前にいる、壮年の男に対する明確な怒りが。
ヒユウは少女を芝生の上に降ろすと、下がるよう促した。フィリアは躊躇しつつも、ヒユウの視線に気圧されて二、三歩後退する。そのまま、少女を背に庇うようにしてヒユウは男と対峙して。微かに息を吐くと、男に向かって侮蔑と挑発の混じった言葉を鋭く投げつけた。
「……三年前の自分の愚かさに頭痛がするな。まさか、お前達と約束などというものを交わすとは。どれだけ無駄なことかわかっていた筈なのに」
約束……?
自嘲と、沸々とした明確な怒りを隠すことなく、ヒユウは立っている。それを不思議そうにフィリアは眺めた。
「然り。私もほとほと愛想が尽きたよ、君の愚かさには。この三年間で正気を取り戻してくれると思っていたのだがね」
対する壮年の男は肩を竦めて、おどけるようにそう言うと、心底呆れたように溜息を吐いた。
夜中の寒々とした空気が、もっと冷え切ったものになったような気がして、二人のやりとりをヒユウの背後で聞いていたフィリアはぞくりと震えた。棘だらけのヒユウの雰囲気と吐き捨てるような口調にはらはらとするしかなくて。頭の中でも、先程と同じように簡単に潜り抜けられるような生易しい相手ではない、と、警鐘の音がうるさく鳴り響いているというのに。
するりと、ヒユウは腰に下げていた剣を抜き、真っ直ぐに掲げる。名匠が鍛えたであろうその剣身の刃厚は薄く弾力性があり、刺突よりも断ち切りに適した作りとなっていた。
「……私はお前に尊敬の念を抱いたこともあった。軍の改革 ――― エルカイル教会や皇族の思うが侭に振るわれる、ただの剣だった軍をここまでのし挙げることに成功した。軍内に蔓延っていた権力による腐敗を取り除き、徹底的な実力至上主義を築き上げた。平民にも門戸を開け、特権階級を除くという改革を成し遂げたお前を」
壮年の男――ゼノンは軍改革を成功させた男だった。まだ若輩の騎士だった頃から、彼は己のカリスマを最大に発揮して多くの騎士を導いていった。完全な実力至上主義によって、腐敗した権力を除き、平民にも門戸を開いてひたすら精鋭を育て続けた。そして帝国軍部は着々と力をつけ続け、今ではエルカイル教会が慄くような存在にまでなったのだ。
改めて回顧すると、いかに対峙する男の成し遂げた功績が大きいかをヒユウは痛感する。
昔は、そう昔は、素直にこの男のカリスマに敬意を表していたこともあった。一貫した、揺らぎのない意志に共感を覚えたこともあった。
今となっては、敬意どころか、この上なく邪魔なものとしか認識できないが。
「それは光栄だ。私も、お前の成長が待ち遠しかったのだよ。士官学校でお前を見たとき、お前は人の上にたち、率いていくカリスマを感じた。事実、龍の召喚によりお前は最高幹部入りを果たした。私の右腕となって腐敗した貴族社会を徹底的に破壊するつもりだったのにな」
お互いが相手を認めるような、賞賛の言葉。けれど、それはまさに互いの決裂を表した言葉だった。今まで両者を繋いできた血塗れの約束という絆はあっけなく崩れてしまった。だからこそ、さも大仰な素振りで二人は言い放ったのだ。
頭上高く舞っていた火翅鳥がゆっくりとゼノンに降り立つと、羽ばたく翼から赤い羽根が粒子のように宙に零れ舞い散る。その一つが、揺らめく炎と化してゼノンの右腕を覆った。まるで生きているかのように炎は形を変えて輪郭を持ち、鋭い曲線を描き出す。やがて赤い刀身をもった長剣と化してゼノンの右手に収まっていた。驚いたことにその真っ赤な炎は、彼の腕に火傷一つ負わせることはなかった。
ヒユウも掲げていた剣を右手に構え、左半身を後ろに反らし、僅かに腰を落とした。
それは今までの相手とは格段に違う、ということを示しているのだろう。敵意と殺意に満ちた空間に一人取り残されたフィリアはただ混乱と緊張で頭が真っ白になっていた。身体だけが、それらの鋭い空気に敏感に反応して、額に汗を幾筋も伝わせた。
その一瞬後。一跳びで間合いを詰めた両者の距離は無くなり激しい鍔迫り合いが起こる。火花が飛び散るような激しい金属音が暗い夜空に吸い込まれていく。
フィリアには二人の動きをまったく目でとらえることができず、ただ突然鼓膜を襲った戟音によってその始まりを知った。
かつんかつん、と無機質な長い階段で響く音。
階段の先の開け放たれた扉から、激しく点滅を繰り返す光が流れ込んでくる。そのおかげで、通常ならば暗くてほぼ見えない自分の靴先もしっかりと確認することができる。後方には長くのびた自分の影があるのだろう。それを確かめることもないまま、彼は最後の一段をのぼった。
膝丈まである長衣の先がぱたぱたと揺れる。今宵はほぼ無風に近かったが、時折思い出したかのような微風が肌の熱を冷まそうとするのだ。
「……美しいね。人ではない、人の及ばない領域にいる存在というのは。高位元素でできているという彼らは、まるで僕達から見ると光の粒子が集まっているように見えるよ」
男の視線の先には、二つの光がぶつかり合っている。
真っ白に近い金色の光と、燃えさかる炎のように揺らめく赤い光。星が少ない暗い夜空であった筈なのに、まるで昼間のような明るさ。
発光体のように自ら光を発している彼らの存在は、否応なく、見る者全てに崇敬や畏怖といった興奮を齎すのだ。力の持たぬ普通の人間にとっては、それは、支配、ねじ伏せられてしまう恐怖に近いかもしれない。そして力を欲する者にとっては、憧れなどという生ぬるいものではない、強い嫉妬の炎を胸に抱かせる。
一体、今までどれほどの人間があの力に焦がれ、拒まれた結果、その身も心も全て侵され、食い尽くされてきたのだろう。
人間にとっては一騎当千の力、国を脅かす力。
真の魔法の力を唯一、人間がこの世界にて発生させることの出来る、『召喚』。
たとえ間接的にしか操ることができなくとも、それを可能に出来るのは『召喚士』のみだ。
『召喚士』となれば、名誉や地位が手に入る。だがそれはあくまで付加価値に過ぎず、真の魔法を操る存在を喚起できる力を、人は常に欲している。本能で、恋焦がれているのだ。まるで、かつて失われた己の身体の一部だったものを取り戻すがごとくに。
そして、彼らは際限なく、喚起を繰り返す。召喚獣を。超常現象を起こすことを許された存在を。その力を自分のものと錯覚する為に。
最終的には、それらの最高位の力とされる、龍の力を目指して――。
それは、決して到達できぬ場所であった。そうでなければならぬ筈だった。
「黒騎士の身に降りた龍……“龍”とはこの地の守護の象徴だ。僕たち人間にとっては、崇め敬う神であり、逆らいがたい絶対的な存在である。それが、ただ一人の男、一個人の意思によって、地上に召喚されてしまう……はっきりとした形を象って人の目に映ってしまう。……それはとても、とても恐ろしい事実ではないか? 無知な民ならまだしも、あの神々しい光を見るたびに焦燥が沸くのは、何も僕だけではないだろう……」
だからこそあのゼノンも動いたのだと、男は誰に聞かせるというわけでもなく、呟いていた。
神は、あくまでも人間の手の届かない天の上で坐したまま、地上を静かに見下ろし、平等に、全ての人間をその光で照らし続けるものでなくてはいけない」
そう、伝説のように遠い存在でなくてはならないのだ。
たとえ、地上の惨状に嘆き悲しんで、その眸は涙に濡れていようとも。
「……それをあの男は、三年前、一体何をした? 滅多に拝めぬ感情を剥き出しにして、龍の力をもってどれだけの被害を齎した? 黒雲が天に立ち込め、轟く雷、荒れ狂う風……それらを纏う龍! それは信心深き者にとってはまさに天の神の怒りのごとき狂気の光景だ、かの男の所業は神の裁きに、他ならない! それの前ではただ平伏し、赦しを請うことしかできない僕達は犬だ。飼い主の前で耳を垂らしか弱い声で鳴く犬畜生だ!
……あの日、龍によって全て薙ぎ倒され、焼かれた地面は暗く黒く、まるで奈落の底のようだった。今でも夢に見る。あの惨状を。多くの軍人が死体すら残さず灰にされてしまった……抗う術もなく、無残な最期を!」
男は下唇を噛んで、波立つ心を静めようとする。こめかみに力を入れて、目を瞑った。立ち止まり、後ろに控えていた数人の男に何事かを伝え、そして一歩前に足を踏み出した。
何十合かの打ち合いの後、鈍い金属音を鳴らして鍔元で刃を絡ませ合いながら、ゼノンは口を開く。それはおよそ激しい戦闘中とは思えないほどの穏やかな声色であった。
「……何故、“龍”を出し惜しみしている? その力で、全てを薙ぎ払えってしまえば良いものを」
静かに笑う気配を湛えながらゼノンはヒユウに問う。ヒユウの実力を深く知っている彼にしては至極当然の問いだったのだが、ヒユウは無言で、剣柄を握る手に力を込めただけだった。それを、何か得心したかのようにゼノンは目を細めて見返す。
「……ああ。ああ、そうか。あの小娘が気になるか。恐れているのか――」
ぎりぎりと、徐々にだが確実にゼノンの剣が押し返されている。にも関わらず、彼の表情は変わらない。
「力は力を呼ぶ。お前の、その強大な力を目の当たりにして、あの娘は果たして正気でいられるか。否、それは無理だ。一度崩れた壁は脆い。無理やり修復された壁など張子と同じだ。小娘の精神を守る壁は崩され、そして三年前のように、――」
その一瞬に、ヒユウの双眸に激しい色が走ったのにフィリアは気づいた。ぎいん、と耳をつんざくような金属音を轟かせて、横一閃に薙ぎ払われたゼノンの剣が弾け飛ぶ。赤い長剣が空を切り、地面に突き刺さった。だが、すぐにそれはふっと形のない炎の欠片に変わって消える。剣先が刺さった地面には微かな焼け跡が残るのみであった。
ヒユウはすぐさま喉元に剣先を突きつけようとしたが、それは突如として燃えさかった炎の壁によって塞がれる。一瞬の、真っ赤に染まった視界。その隙をついてゼノンは後方へ跳んですぐに地についた片膝を立てて、体勢を整えた。
凄まじい鍔迫り合いで手が痺れたのか、手の甲を擦りながら、
「くく。やはり龍を憑依したその身に、正面から向き合うには骨が折れるか」
と薄い笑いをぶつけてくる。それを鋭い表情でヒユウは凝視していた。
「解せん」
「何だと?」
「解せん、と言ったのだ。ゼノン、貴様こそ何を出し惜しみしているという。帝国軍の最高の剣が、たかが時間稼ぎの為に振るわれるのか」
その言葉に、ゼノンは軽く笑った。
「殊勝ではないか、ヒユウ。お前を相手にして時間稼ぎを出来る輩など、この国にいかほどにいるというのか。龍の力を持った貴様に」
「……」
一瞬だけ、何故か苦々しい表情となった銀髪の男を訝しく思いながらも、ゼノンは再び口を開いた。
「……もう一度、チャンスをやってもいいぞ」
「……何?」
「あの娘を牢に戻せば、貴様の愚行にも目を瞑ってやる。本来なら極刑ものだが、皇帝や元老院連中には私がとりなしてやろう。帝国軍に忠誠を誓い、私の右腕となれ!」
言うが早いか、刀身に炎を纏わせたゼノンは踵を蹴ってヒユウの懐に飛びこみ、高速の突きを繰り出す。死角から死角へ突くような動き、腕の筋肉を無視したような異様な太刀筋は、ヒユウと同様に召喚し憑依状態であるゼノンの身体能力が大幅に強化されているからである。連撃から零れた、触れればただの火傷では済まない高温の炎がヒユウを包むように燃え上がる。だがそれは身に帯びた龍気に阻まれるだけであった。
蛇のような鋭い連撃を全て紙一重で避けながらヒユウは不愉快そうに柳眉を吊り上げて、
「既にその問いには聞き飽きている」
吐き捨てるように言うと、守りの体勢から攻めへと転じた。
召喚獣にはそれぞれ突出した能力や属性がある。ゼノンの操る火翅鳥は名が体を表すように火炎による攻撃を得意としており、火属性に位置している。属性は火以外にも水、風、聖、闇などがあるが、ヒユウの操る龍はそのどれにも属していなかった。あえて位置づけるとすると風か聖であり、それは龍気が全てを祓い、時には空気さえ遮断して真空を練り上げることができることから言われている。
神速で虚空を走る剣先によって周囲の空気が巻き上げられ、真空状態となる。それは鋭く引き裂く鎌鼬となって、火翅鳥によって発生した火炎をも巻き込むとそのままそれを、ヒユウはゼノンの鳩尾に思いっきり叩き込んだ。
「ぐ、う……っ!?」
ゼノンの身体が後方へ吹っ飛んだ。咄嗟に炎の壁を作ったがせいぜい炎と衝撃を微かに和らげる程度で、地面に背中を強かに打ちつける。胃液が逆流したかのような感覚に襲われたが、すぐに意識は冷たい剣先を当てられた喉元に引き戻された。
ゼノンがゆるゆると視線を上げると、鮮やかな琥珀、だが背筋に悪寒が走るほどに冷ややかな輝きを宿した眸とぶつかった。銀髪の黒騎士が、喉元に剣先を突きつけたまま、無慈悲に見下ろしている。
三年前の、あのときと全く変わっていない、同じ色。
「……そうか。残念だ」
ゼノンは僅かに目を伏せ、低く呟いた。それに不審な色を濃くさせたヒユウの気配に気づいたが、気に留めず、もう一度「残念だよ、とても」と繰り返した。
上半身を起こした体勢のまま嘆息すると、ゼノンは肩の力を抜く。するとそれまで彼を守る膜のように覆っていた召喚獣の気が消えてしまい、ヒユウは信じられぬ思いで目を見開いた。
つい先刻まで空を舞っていた火翅鳥の姿も掻き消えていたのだ。
「ゼノン、貴様……」
「……ところで、お前は巨大な力を敵に奪われそうになったとき、どうする? 決してそれが自分のものにはならぬとしたら」
「気が触れたか、ゼノン!」
唐突に召喚を中断して生身の状態になってしまったゼノンに対して声を荒げた、そのときだった。今まで、ヒユウの意識の奥底で鳴り響いていた警鐘の音がより一層高く響いたのは。
鼓膜を圧迫する、耳鳴り。
瞬時に視線は地面に縫い付けられ、滅多に感情を表に出さないヒユウの表情は驚愕に染まった。
「……巨大な力を、決して敵に奪われるわけにはいかない。たとえ、自分の手にならぬとしても。しかも、その力は、神のものだ。この国の守護をするものでなくてはならん」
ゼノンはかぶりを振り、独りごちるように続ける。
「いや……元々、誰かのものになってはならぬものだった。これはこの帝国を守る剣――軍部全てを束ねる私の、義務だ! 故に、私はお前の龍の力を、封じねばならぬ!」
ゼノンの朗々とした声に反応したかのように、地面から膨大な光が洪水のように溢れ出た。青白い光。ヒユウを取り囲むかのようにぐるりと大きな真円が描かれ、その中に複雑な幾何学模様や古代文字が次々と浮かび上がる。
それは誰の目から見ても明らかな、巨大な魔方陣だった。
―― 何より、ヒユウを最も驚愕させたのは、トップクラスの召喚士である彼すら、見たことのない魔法陣であることだった。
漏れた光が真っ直ぐ上に伸びて、天を貫く。
「……っ!?」
奇妙な浮遊感を感じたその直後に、ヒユウの身体は地面に叩きつけられていた。




