Epilogue ぽかぽか邸に、帰る
[ぽかぽか邸/夜]
テーブルの上には、ピザと簡単なおつまみ。
特別な料理はないけれど、部屋は賑やかだった。
「いや〜、今回はほんとにドタバタでしたね〜」
凪がソファに深く腰かけながら言う。
「バックドア二重構造とか、もう二度と見たくないです」
「……でも、きれいに片付いた」
蒼真は、コーヒーカップを手に、淡々と答えた。
「証拠も揃ったし、これ以上、裏から触られることもない」
柊は、キッチンで飲み物を用意しながら言う。
「蒼真、今日は泊まっていけ。こんな時間だしな」
蒼真は一瞬だけ迷ってから、頷いた。
「……じゃあ、遠慮なく」
環は、その様子を見て、ふっと笑った。
「なんだか……全部終わったって感じがしますね」
「終わった、っていうより」
凪が言う。
「ちゃんと、戻ってきたって感じじゃないですか?」
柊は、環の隣に腰を下ろし、肩にそっと触れた。
「無理させて、悪かったな」
環は首を振る。
「いいえ……怖かったですけど……
ちゃんと、ここに戻ってこれました」
その言葉に、柊は小さく笑った。
「それなら、よかった」
蒼真が、カップを置く。
「……こういう場所、悪くないね」
「でしょ?」
凪がにっと笑う。
「ぽかぽか邸ですから!」
環は、テーブルを囲むみんなを見渡し、胸の奥がじんわり温かくなるのを感じた。
戦う場所があって、戻る場所がある。
それだけで、人は、また前へ進める。
「……じゃあ」
環は、そっと言った。
「今回は、お疲れさまでした」
「お疲れ〜」
「お疲れさま」
「……お疲れ」
言葉は軽くても、その夜の空気は、確かにやさしかった。
ぽかぽか邸の灯りは、今日も変わらず、そこにあった。




