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第一話 病院でゲームが許される世界線とは?

 人は時に過ぎた技術を持つことがある。それは火であったり、電気であったり、はたまた銃であったのかもしれない。これらは人を進化させ、そして戦いの道具ともなった。しかし現在は?


 時は22XX年。今からおよそ15年前に起きた技術革新、すなわち電脳世界への架け橋となるスマートリングは現代社会にとって必要不可欠とも呼べる存在となった。今ではスマートリングを持たないほうが奇異の目で見られるようになり、会計はもちろん通話やテレビ、はたまたVRゲームまでもがこのスマートリング一つで事足りるようになったのだ。スマートリングの内部の電流感知機能が脳波の微弱な電流を受信し、逆に送り返すことで人は作られた人口の夢を自由自在に操ることができる。


 場面は変わって病院、ここについさっき手術による麻酔から目覚めた女子高生がいた。その名を「西崎夏帆」という。至って真面目……ではないが活発で明るい女の子だ。


 「痛すぎるぅーー、だーれーかーここにいませんかぁぁぁぁぁーー?

 え、何??私これからもしかしてだけど死ぬ??きつい、きつすぎるよそんなの、あんまりだぁ」

 

 訂正、少々元気すぎるちょいうざな子供のようだ。



 目覚めたら病院で、しかも全身痛い?何だよそれ。なんかテレビのドッキリですか?って感じだよ。というか包帯でぐるぐる巻きで身動き一つ取れないこの状態は果たして正常なのか?いや断じて違うよね。この状況が異常なのだからここでナースコールを連打してもいいでしょ。というかするわ。


 「えー、西崎夏帆さんで合っていますか?少々お元気すぎるようですが、誠に残念ながら全治一ヶ月です。動かないようにしてください。てか元気すぎません?その元気他のことに使ってくれません?」


 全治一ヶ月??????この状態で一ヶ月も過ごさないといけないのか?それはもはや懲罰に値するのではないのか。ご存知、天真爛漫でお転婆な私に対する死刑宣告だろ。少し落ち着こう。今の状況を整理すると全治一ヶ月、動けない、全身が痛い……うん、無理だ。無期懲役を宣告された死刑囚の気持ちだわ。


 「ちょっとナースさん!無理です。本当に無理です。なんか、遊べるものが欲しいです。できればゲーム、いや無理なら本でもいいんで、おねしゃす!!」


 「あら、そんなことでいいの?ゲームならできるわよ。」


 「いやいやいや、全治一ヶ月の人にゲームだなんて」


 「できるわよ?」


 ガチっすか。なんだろう、一ヶ月間の入院生活がとてもイージーモードに感じてきた。というか患者にゲームをさせる病院って何だよ。倫理観バグってるのか?まぁ何はともあれゲームができるだなんて…

あれ?ゲームやったことないな?今思えば青春の九割九分九厘を剣道という部活に捧げてしまっている以上ゲームは避けるべきもので、かつ己の欲望を断ち切るための練習として手を出したこともなく…

よし、ここは有識者に聞いてみるとするか。


 「今流行りのゲームとかって何ですか?」


 「んー、悩ましいけど流行るかどうかは別として注目度だけで言うなら『Eclipse Horizon』よね。確か今日からリリースじゃなかったかしら?どう、試しにやってみたら?」


Eclipse Horizon?蝕む水平線? 何だその面白そうな名前は?思い立ったが吉日、やるしかないな。そう思い、私は自分のスマートリングにEclipse Horizonのダウンロードを済ませた。って、ちょっと待てよ、なぜ私はこの状況下でゲームができるんだ?おかしくね?

 そう感じた私は一つの疑問を看護師さんに聞いてみることにした。


 「なんで入院中にゲームをしていいんですか?こう、倫理的にどうなんですか?」


 「そりゃ、入院中に無理するあなたみたいな人はゲームに夢中になって動かないことが一番だからよ。

 最近じゃ入院中に運動して身体中から血が吹き出た人もいたわよ。」


 確かに理にかなっているかもしれない。私みたいな人間は思考より行動が先走る人が多いからだ。かといって、入院中に運動ってどんなバカがやることだよ。今どきゴリラでもやらないんじゃない?そんなゴリラ未満と一緒にされるだなんて心外だな。


 「まぁ、とりあえずゲームやってきます!後で覚えておいてくださいよ。」


 「あなた、ちょっと要注意だから1ヶ月間ずっとゲームやってなさい?あなたのスマートリング医療パッチに変えといたから連続使用時間制限は取っ払ってるわよ。食事に関しても安心して、点滴でどうとでもなるわよ。」


 ん?ちょっと今聞き捨てならないことを聞いたような。1ヶ月ずっとやりっぱなし?要注意?私そこまでやばかったっけ。常識的に考えてそんなことないはずなのに。やばいな、意識が朦朧としてくる。この眠りにつくとき特有のこの感覚はダイブしてるときだよな…………


 

 『おはようございます。こちら、Eclipse Horizon案内AI、ノアでございます。あなたは、徐々に蝕まれつつあるこの世界を探検し、浄化するためにこの星に飛来しました。ときは昔、高度な技術を保有した黄金期の人類は突如として衰退の一途をたどることとなったこの星においてあなたは残された数少ない希望でございます。どうか世界へのご助力をおねがいします。』


 「あ、はい。その精一杯やらせていただきたいと思っています。というかすごいですね。」


 見回すと壁一面に並んだ人形のモデルたち。あっちに見えるのは獣人?機械人?なに、エルフまでいるの?ちょっと豪華すぎないか。というか圧倒的グラフィック、ポリゴンの要素なんて一切見せないこのモデルたちはまさに23世紀の技術が集約されているとしか思えない。このまま行けば電脳の世界に永住したいと考える人も出てくるのではないのか。


 「あのー、自分の種族とかはどう決めるんですか?」


『種族?あなたの身体の種類のことですか。あなた自身が自分で決めることができますよ。一応リストを乗っけておきます。時間はたっぷりございますのでどうか深くご考えください。』


 《種族一覧》

 獣人種・犬  【STRに10%補正。その代わりにAGIに-10%補正。】

 獣人種・猫  【MPに10%補正。その代わりにSTRに-10%補正。】

 獣人種・兎  【AGIに20%補正。その代わりにVIT、MPに-10%ずつ補正】

 エルフ種   【MPに20%補正。その代わりにHP、VITに-10%ずつマイナス補正】

 機械人種   【特定の武器種を使用時にSTR、MP、AGIに10%ずつ補正。

         その代わりに常時VITに-20%補正。】

 吸血鬼種   【夜間にSTR、MPに20%ずつ補正。

        その代わりに日中STR 、MPに-20%ずつ補正。銀に弱い】

 鬼人種    【STRに30%補正。その代わりにAGIに-20%補正。】

 竜人種    【種族特性:龍魔法の獲得、MPに10%補正、VIT、AGIに-10%ずつ補正】

 魔人種    【種族特性:魔導の神秘の獲得、MPに10%補正、STRに-20%補正】

 ユニーク種族 【ステータスへの補正はなし。その代わりに強力な種族特性を得られる】

  補正【ステータスに反映される。例えば獣人種・犬の場合はこの様になる

      PC  ???? 【種族:獣人種・犬】

      HP  100

    MP 100

      STR 10(11)

      AGI  10 (9)

      VIT 25                】

              

 

 おぉー、強そうなやつが多いなぁ。機械人、吸血鬼、鬼人、竜人、魔人種はピンキリで、ハイリスクハイリターン。一方獣人種たちとエルフはローリスクローリターンてことか。無難なやつを取るかそれとも特化型になるか…悩ましいところだな。うん?待てよ。個々にあるユニーク種族って何だ?ステータスが変わらないけど強力な種族特性って。

 

 「すいません、ユニーク種族って一体何なんですか?他の種族と違うところってあるんですか?」


 『すいません、ユニーク種族に関する詳しい説明は秘匿事項となっております。しかしユニーク種族の選び方に関してはお伝えできます。こちらにございます種族ガチャにて極稀に排出されます。探索者の方々には5回種族ガチャを行える権利がございますが、いかがですか?』

 

 ガチャ!?やるしかないだろ。この種族ガチャなるものはメリットしかない。あわよくばユニーク種族になれる可能性があってしかも5回もできる?このチャンス無駄にできるはずがなくない?


 「はい!ぜひガチャをやらせてください!」

 

 するとどこからともなく黄金の箱が飛来して…ん?これガチャポンじゃね?なんか近未来的な雰囲気の子の船内にレトロな雰囲気を醸し出すガチャポン…ミスマッチすぎるな。そんな些細なことは置いといていざガチャをやるか。よし、神に祈っていざレバーを回して……

 

 『人族 【種族特性:マナとの親和性が高く指向性を持たせられる】(ユニーク種族)』


 人族?なんかめっちゃ普通のやつが出てきたんだけど。間違いじゃない?HITOZOKU??普通も普通、まさにコモンとしか言いようがないようなこれがユニーク?ありえないわー。ちょっくらもう一回ガチャをやろうかな。とりあえずYESボタン押して…

 

 《人族に種族を確定させますか? YES ・NO》


 あれ?これもしかして種族確定させちゃった感じ?人族に?これもしかして詰んじゃったんじゃない?


 『人族ですか…お目が高い。この私が見た中で人族を選定した方はあなたが最初ですよ。いわば真の価値を持つものは時に汚く見えるもの。貴方様の目が肥えているということなのですね。』


 「あー、いやぁ、まぁそうっすね。よく言われますよ」


 『では、名前を考えてください。あなたの新しい旅は今ここから始まるのです。』

 

 もう決まってしまったことは変えられないな。ここはもう割り切って考えるしかない。もしかしたら人族がすんごい種族なのかもしれないしね。なんせ私以外選んでいないのだから。それより名前かー、一番最初、1、ドイツ語……よし決めた。

 

 「私の名前は――アイン」

 

 『では〈アイン〉様、この世界の復興の手助けをお願いします。この星にはモンスターが蔓延っていますがどうか忘れないで、あなたがこの星の救世主だということを―――』


 私の身体が作られる音がする。いやこれは高速で移動している?眼の前が真っ赤に燃え上がり、体全体に衝撃が広がり―――

  私はこの星で目覚めた。


初めての小説投稿で不安でいっぱいですが、面白い作品にしていきたいです。読んでくれて面白かったと感じてくれた方に評価していただきたいです。お願いします!当分は毎日投稿で午後6時と7時にしていこうと思います

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