29-28 「いつだって言葉が足りない」
「ひーちゃん迷子なのは想定外だなぁ……どうしよっか」
「俺達一応ラリマーの方はどうにかする予定だけど」
「お、マジ?じゃあそこ二人離脱させればいい?」
「いやこのメンバーで」
「うっそぉ」
そういや詩取さんは俺のこと知らないのか。樹はともかく俺まで一般人扱いされるの久し振りだから新鮮ですわ。本当にいいの?と何度も確認して来る詩取さんに対して奏さんは適当な返事してます。
「まぁ奏さんが良いってんなら深くは問わないけど……え、俺後でぴーちゃんに怒られない?」
「後で説明しに行きます」
「わぁい恵斗くんありがとー!じゃあ俺ひーちゃん探してくるねっ!」
「あてはあるの?」
「なんとびっくり何もない!でもまぁ俺は最悪取り残されても平気だし?ひーちゃん相手に痕跡辿るとか誰がやっても無理ゲーっしょ!」
「それは本当にそう」
一志の影の薄さはお墨付きだからね……辛うじて破壊跡が痕跡になるかなー?ってレベル。本当にどこ行ったんだろうな一志、何を思って放浪してるのやら。
「じゃあそっちもファイトー!こっちも出来るだけ早くひーちゃん見つけて合流出来るように頑張る!」
勢いが良かったな……どういう理屈かはさっぱりだけど現れたときと同様にふらっと消えた詩取さんを見送ってから樹が咳払いをする。
「……っとにかく!玲士達が離脱したってんならもうさっさとラリマーのところに行くべきか?」
「出来るの?」
さっきは直接ラリマーさんのところには行けない、って言ってたよね?そういう意味も込めて問い掛ければ樹は軽く首を傾げつつ答える。
「まぁあんまり精度は高くないが……空間自体は行ける。中心からは外れるかも。かもっていうか、確実に外れる」
「充分じゃね?」
「寧ろ直通で中心に行けるレベルなことに驚いてる」
「行けるだろ普通」
行けねぇよ。少なくとも泰誠と玲士は無理だと思う。この辺自分も対象だから、とかあるのかな……単純に樹が論外なだけ、それはそう。奏さんはいつも通り樹だからなーみたいな表情を浮かべてるし。
「一応……ラリマーを助けた時点で取り込まれた人間がゼロになるなら、即時崩壊する可能性があるんだよな」
「本体とかいねぇんだ?」
「いねぇな。少なくとも探知出来ない」
「じゃあ樹は帰り道の方準備してくれる?ラリマー相手なら多分二人でもどうにかなると思うし」
「奏さんは?」
「俺は樹の方の護衛に回るから」
すごいな、さも当然の様に樹の護衛とか言い出したよこの人。樹はびっくりしたように奏さんをガン見してるけど……安心しろその人の護衛発言はお前が弱いからじゃないから。ただの独占欲だから。奏さんはその旨をちゃんと言葉に出せ!!!!!
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