29-15 「スライム Lv100(その四)」
たまたま三人の攻撃が重なる瞬間があった。恵斗がスライムの体勢を大きく崩した瞬間に樹の攻撃がスライムを大きく抉って、そんでもってそのタイミングでくーちゃんが弾丸をぶち込んで。もうこれしかない、このチャンスを逃す理由がないってんで勢いよく駆け出した。
「っ恭也!!」
「問題ねぇ!ここで決める!」
発光体がいままでにないくらい輝いて、ステラさんも白銀の煌めきを全身に纏って冷たい冷気を吐き出してる。イメージは好調だ、これで決めれなきゃどこで決めるってんだよ。
「俺達は必ず辿り着く……!」
地面を踏みしめろ、見えなくてもあると信じて貫け、一撃で決めろ!虚空に止まる剣、スライムの内部から根を伸ばすかのように霜が走り、氷の華が咲き誇る。痛みを幻視するような一瞬、息を飲んだその一秒でスライムは氷像と化したが……!?
スライムの動きが不自然に止まる。かと思えば超高速で小刻みに震え始めた。予想外の挙動に固まる俺を放置してスライムはその震えを派手にしていくが……これは、一体何……?ああでも端の方が形を留められずに崩れ始めたから、このまま溶けきれば良い……よな?
「やったか?」
「そ……いや待て、これは……!?」
「スライムが変化し……!?」
「恭也下がれ!第二形態になる!」
「嘘だろ!?」
ダメなのかよ!!あんだけ堂々と格好つけたのに!ベシャ、と一度完全に崩れ落ちたスライムはそのまま間髪入れずにひとの姿をとり始める。あーなんか悠人さんっぽーい。
「おい詰んだが」
「それこっちのセリフ。どうすんだよこれ」
「核潰しても動くのは聞いてねぇ!」
「くーちゃんこれどうなってんのー!?」
「余に聞かれましてもー!」
くーちゃんも分かんないんだったらお手上げじゃないですかねぇ……?そんなことを考えてたら恵斗がいないことに気付く。おいまた迷子か?
「おい恵斗どこ行った」
「は?このタイミングでいなくなるのはどう考えても嫌がらせだろ」
「迷子紐着けといた方がいいんじゃないじゃろか」
「この歳になって迷子紐は俺の尊厳がなさすぎる」
「あ、けい」
「「えっちゃん!!!?!?!?」」
俺とくーちゃんの声が盛大に重なる。え、えぇ……!?何か当然の様に恵斗がえっちゃんを抱えてるんですけど、どういうこと……!?恵斗も特に疑問には思ってなさそうだし、まさかあの一瞬で階層行き来してえっちゃんを捕まえて来た?それどんなほむらさんだよ。
「余困惑」
「俺も困惑」
「そりゃここは悠人さんと悠人さんを取り巻く世界の核なんだから、えっちゃんだっているだろ」
「そういう問題?」
「あーだから第二形態ね、納得」
「樹は納得しても俺は何も分かってませんが???」
「ざっくりいうと取り込まれた人数分残機は増えるだろ」
そういうシステムなの???つまりさっきの攻撃で残機……えっちゃんが解放されたと……???じゃあ逆にくーちゃんが無事なのは何?
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