8-4 「おわかりでしょうかこれは変人」
「てことで拉致りました」
「反省の色がなさすぎる……」
おい確かにどうしようかって話はしたけど、強硬手段もやむなしとか話してたけど!!!!一志の行動力が凄すぎますねぇ!
「あの……?」
「ああごめんね。取り敢えず説明する前に荒弥くん呼ぶから……」
「あ、いえ……アレンが暴れなかったので恐らく何かあったんだろうとは察しがついてますので……」
「聡明すぎない??」
「あれはね恭也さん、悲しい”慣れ”って奴ですよ」
慣れかぁ……そっか……普段からこういう理不尽に晒されてるんだな泰誠……。因みに連れてこられたのは泰誠だけでアレンなる人物はいないっぽい。
泰誠、大学で見たことある……かっていうとちょっと微妙だな。俺の記憶違いじゃなければ多分会ったことはない。紫苑みたいな狂わせる方向性のイケメンってよりは……崇められる方向性のイケメン。つまりどっちも変な奴を呼び寄せるってことじゃねーか。
「来ましたよーっと。泰誠大丈夫?」
「荒弥さん……お手数をおかけします」
俺が脳内で突っ込みを入れてる間にシエルさんが連絡……とってないな、この感じだと勝手に来たなこの人。胡散臭い人が胡散臭い笑み浮かべてやってきた。そうか……この人が荒弥さんか……。
「アレンから伝言。『落ち着くまでは慧の方に協力する』ってさ。まぁアレン自体はリューイから移籍するの一瞬だからね」
「そうですね……やりすぎないと良いんですけど」
身内からの評価もこれなんだ……。アレン、想像の三倍くらいは変な奴っぽいよな。……三倍で済むかな?
「てことでシエル、リューイの方で慧が動いてるからこっちでも少し手回しするの手伝って?」
「分かったよ。それまで泰誠くんは隠しておいた方が良い?」
「そうね、相手が手段を選ぶとは思えないし。殆どはアレンが暴れてりゃどうにかなるけど、どうせならこっちに手を出しても無駄って分からせておきたい」
「成程ね」
シエルさんが頷いて改めてどこかへ連絡を飛ばす。荒弥さんはというと何でか俺とかすみの方向いて……うーんとっても胡散臭い!
「初めましてー」
「あ、初めまして……」
「……ハジメマシテ」
「うーんご機嫌ナナメ?俺あんまり子供受け良くないんだよねぇ」
「そりゃ機嫌も悪くなりますよ。アラヤ、貴方隠す気ないですよね?」
「あは」
おっと……?楽し気に口元に人差し指を当てる荒弥さんにかすみは深々としたため息をついて……たった一言、古い知り合いとだけ教えてくれた。いやそれはもう例のアラヤさんじゃん。
かすみと荒弥さんが答え合わせをしなかったのは泰誠への気遣いだろうか。泰誠は初代の頃の記憶ないらしいし……何があったのかは知らないけど、自らの意思で細胞一つ遺さず消えるくらいには散々な環境だったっぽいし。
「取り敢えず落ち着くまでは布袋さんの工房の奥の部屋使おうか。あそこが一番安全だから」
「あ、じゃあ俺が案内しますね。行くぞ泰誠」
「あ、ああ」
俺もついていこうとしたらそれとなくかすみに邪魔された。見れば荒弥さんが向かいに座ってにこにこしてるし……これ、一応説明してくれるってことでよろしいか?
一志達がいなくなってから、荒弥さんが改めてにこりと口角を上げる。うーん挙動も言動も不審者なんだよなどうしても。どうしても印象が終盤裏切るタイプの商人とか参謀。
「さて。改めまして、俺は荒弥。今も荒弥だし、かつての名前もおんなじ」
「ああ、初代の……透さんって人に仕えてた人」
「そう。怪異と大差ない俺達を拾って、人として認めてくれた大切な相手だよ」
怪異と大差ない……妖怪って定義される前なのかな、いや一志も妖怪って言ってたな。今でも人外に忌避傾向があるってことは……昔はもっと差別されてたってことなのかな。
「ええとですね、アラヤさんとユイさんは剣属性を持つ怪異……もとい妖怪です。簡単に言うと因果を断ち切る特殊な能力を持つ方々だと思ってくれれば」
「剣属性……それって恵斗……えと、なんだっけ、御剣?と関係あるの?」
「いや、御剣家は関係ないよ。あれは単純に世界防衛機構の物理課ってだけだから」
いや知らん知らん。なんだその世界防衛機構って。物理課ってことは他にも課があるのか?関係ないことだから説明はしてくれないっぽいな……恵斗本人に聞けば分かるかな。
「ん……怪異にも種類あるんだ?」
「ありますね。大抵は殆ど分類の意味がない相手ばかりですが。始源に原初、剣、あと有名なところで言うと星辺りですかね。怪異というか万物に適応される属性ですよ」
「全部分かんねぇ……」
さっき奏さんは原初って言われてたけどな。殆ど初耳ワードで頭パンクするわ。




