8-3 「強者ってのは場合次第で狂人扱いになる」
かくかくしかじか、一志とかすみによる初代のあれこれの説明を受けたシエルさんがうーんと唸る。俺も隣で聞いてたけど殆どジョーカーが言ってたことと変わりない、強いて言うなら初代六人の名前が出たくらいか。
赤が佐波、青が湊、黄色が透で緑が双葉。紫がキキョウで水色が永遠、と。六人って聞いたときは赤青黄の他に紫と緑とオレンジを想定してたけど、どうも違ったらしい。じゃあ奏さんって青じゃなくて水色じゃね?
「ううん……話を聞く限り、初代という肩書がある以上泰誠くんがリューイに利用される可能性は思っていた以上に高いみたいだね……」
「そうですね。今ギリギリの均衡を保てているのは狂犬……荒弥さんとアレンのおかげですし」
誰だアレン。荒弥さんはある意味予想通りだけどアレンの方は聞いたことねぇよ。もう一人のセコムなんだろうけど、どんなひとです?
「多少の無茶込みで引き抜く方が安全ですかねぇ?理想を言えば泰誠さんの安全を確保しつつ他の皆さんもどさくさに紛れて抜けられたら楽なんですが」
「その辺りは童子くん達と相談した方がよさそう……紫苑くんの引き抜きも実際のところは出来てなくて、実質所属みたいな状態だし」
あんだけ騒動になっててもまだ紫苑引き抜けてないんだ……リューイの執着強すぎだし泰誠なんてそれ以上なの確定してるじゃん、無理難題が過ぎる。
「泰誠が……リューイに育てられたといっても過言じゃないのが状況を複雑にしてますよね。早くに荒弥さんが介入したとはいえ……」
「……うん。荒弥くんの介入も結構強引だったから、泰誠くんを引き抜くのって他の子達よりも難しいんだよね……本人もそれを理解して敢えて自分だけヘレティックに移ったわけだし」
「そういえば本人も言ってましたね。ほとぼり冷めるまではアレンに任せるって」
「実際どうなんです?アレンさんって強いんですか?」
「強いよ。奏さんとか青藍さんに匹敵すると思う」
「奏さんに!?」
奏さんに匹敵する相手が一人いるだけでも驚きなのに、名前が出たってことは青藍さんもそうってことじゃん。青藍さん……名前はちょくちょく聞くけど、いまだに会ったことはないんだよな……多分。
「奏さん……って恭也さんのお友達の方ですよね?恐らく原初の」
「原初?」
知らん単語出てきたな。奏さんの能力名?でも奏さんってかすみの目の前で能力使ってはない……よな?別に奏さん山登るときマフラーつけてなかったし。
「一応……奏さん本人は自分の能力について”何か”としか言ってないんだよな」
「本人もあんまり詳しく分かってないからね」
「分かってないんだ……」
そういえば悠人さんも結構えっちゃんとくーちゃんについては振り回されてたな……俺だって詳しいこと良く分かってないし、そんなもんなのか。
「そのアレンさんは?」
「アレンくんは色彩黄色の吸収者だよ。継戦能力に関しては随一で色彩黄色相手には執着するリューイから『寧ろ出て行ってほしい』『怪異より怪異』『敵味方じゃなく泰誠か否かで判別する狂人』『色彩詐欺』とまで言われてる子かな」
「そんな酷いんだ……」
凄いな、リューイが出て行ってほしいって言ってるレベルなの。正直奏さんだって有象無象をゆっきーか否かで判断してたらしいからよくあること……ではないかもしれないけど、慣れてると思ってたわ。




