8-2 「あっちみてもこっちみても初代」
「あれっ佐波??」
「え……湊さん!?」
驚きと困惑が一緒に飛ぶ。今日はヘレティックにかすみ連れてきただけなんだけど……シエルさんとかはそんな反応なかった。一志が何で佐波の名前を知ってるのか……いやその前にかすみ、一志のこと一志って呼んでないな。
「嘘でしょ五人目じゃん……」
「五人!?リーチじゃないですか」
「そうだよリーチだよ」
「何のはなし??」
二人だけで納得するのやめてくれー。シエルさんも困惑するように首を傾げてるし、正真正銘二人だけしか分かってないのよ。
「恭也、佐波は初代六人の内の一人だよ」
「えっ……いやそっか、そういや心神者がどうとか言ってた……」
「今は当時より色彩の能力落ちたんで精々接続者と名乗れる程度ですけどね」
接続者がどれくらいの強さなのかは分かんないけど、もっと強かった時期があるのかかすみ。……っていうか、一志ももしかして初代だったりする?
「一志も?」
「あー……もう流石に隠せないか。うん。昔とは能力違うけどそう」
「当時は湊さんでしたよ。普変という能力を持っていました」
一志の今の能力って無貌の怪物だったよな?確か、謎の生き物っぽいものを使役するやつ。
「一志、かすみ、紫苑……あとなんだっけ、ジョーカーが黄色は初代に近い幼子がどうこうとか言ってたから……」
「ああそれ多分泰誠。赤が佐波、青が俺、紫が紫苑で黄色が泰誠。そして緑は恐らく若葉さん……だと思うけど」
若葉ってひとだけ知らないな。泰誠は知ってる、一志が大学でつるんでる相手でセコムがいるって人。そのセコム、ジョーカーの発言通りなら狂犬って言われるくらい気性が荒そうなんだけど……単純に過保護かな。
「あー緑は変わった可能性ありますよね。あの術式に力を貸しただけのぼくですら劣化して一部の能力落っことしたんで」
「一志くん、後で説明してくれる?」
「はい」
シエルさんにそういわれて一志が頷く。おい一志マジで隠してたのかよ、いいのかそんな話の流れで開示して。
「泰誠、どうも本人に自覚なさそうだしリューイからの引き止めが強すぎて……」
「ああ……透さんの時代から何というか……酷かったですもんね」
ジョーカーも言ってたな、現代に続く黄色への執着とかなんとか。泰誠が一番初代に近い……けど、泰誠には記憶ないんだ、かすみや紫苑達にはあったよな?
「何で泰誠だけ記憶な……逆か、何で一志とかすみは記憶あるの?」
「ぼくら本人なので……」
「俺も妖怪だからね。佐波も世界そのものみたいな存在だから寿命とかあってないようなもんだし」
そんなもんなの???確かにかすみは昔っから年齢不詳だったけどさぁ。
「透さんはとある事情により細胞一つ遺さず消えることを選びました。それは当時のリューイに対して出来た唯一の反抗であり……先の世で同じ境遇の存在が生まれないようにするための抵抗だった筈です」
「細胞一つ遺さず……可能なの?」
「透さんの能力では不可能でしたよ。彼はリューイにとって神に等しい存在でしたので。……ですが、彼に仕えていたあの二人なら、可能だったんでしょう」
「仕えていた?」
「はい。リューイではなく透さんに仕えていた二人の狂犬、当時の名は確か……そう、アラヤとユイでした」
アラヤ……荒弥?あれっ、今もいるよなその名前で推定泰誠のセコム。同一人物?それとも単なる偶然か?狂犬扱いなのは変わってないっぽいけど。
「一志、そのアラヤって人……」
「分かる。名前一緒だし今でもセコムだし。本人に聞いてもはぐらかされそうだけどね」
やっぱ同一人物疑惑あるんだ……妖怪とかじゃない限りおんなじ名前の生まれ変わりとかなんだろうけどね。




