7-19 「起き上がりドロップキック」
「ところでどうやって出るの?」
「そこは考えてなかったのか……」
まだちょっと能力使えるほど頭はスッキリしてない。助けに来たってことは恵斗は何らかの脱出手段があると踏んでるけど……俺頼みだった場合詰みじゃない?
「……まぁいっか。本当はあんまり人に見せちゃダメらしいんだけど」
「え」
「次期とはいえ当主。御剣の実力をとくと見よ!ってね」
見せちゃダメなのに見せつけるんかい。有名なのかな……御剣家。剣って入ってるし剣を使いそうな感じではあるけど……あ、本当に刀出した。
「空間断絶、相性悪くて三回に一回は失敗するんだけど……」
「三回に二回は成功するんじゃん」
「前向き~」
大雅が剛、ソウさんが柔ときて恵斗の振る舞いは……うん。”鋭”ってのが的確かもしんない。反応も行動も、最小限の動きで最大限の成果を出す感じ。
黄色い瞳が強く輝く。一陣の煌めきを残して切り裂かれた虚空は質量を伴って傷痕を残し、人が通れるだけの隙間が出来た。
「ん?……まぁ良いか」
「大丈夫なやつ?」
「多分……。一応危険とは出てないから」
まぁなにかあっても頑張ってどうにかすればいっか。あれこれ考えて立ち止まる訳にはいかない、ここまで玲士の声が届いてたの、ないとは思うけど玲士が現場にいる可能性もあるんだよな……あれこれ目覚めた瞬間色彩見られる可能性もある!?
「目覚めたら色彩解除目覚めたら色彩解除」
「こわ……」
いや死活問題なんだよこちとら。玲士にばれたら芋づる式に樹まで話がいきそうだし、奏さんが黙ってるのに俺が巻き込むのは何か違うし。フミと来華連れてきといて今更かもしれないけどね。
「恵斗は……近くにはいないんだっけ?」
「詳細は後で話すけど、そうだね」
「じゃあ今度お礼言いに突撃するわ……」
「大学内でだけはやめてくれよ?」
あそっか、俺も一応紫苑救出作戦の時に顔が割れてる可能性があるんだよな。そんな俺が恵斗と一緒にいたら恵斗の立場が悪くなる可能性がある。
「じゃあカフェか」
「そうだな。恭也達が帰って来たらいつものカフェで」
「ああ」
約束だけして隙間に足を踏み入れる。膜を二枚くらい剥がされるような違和感はあったけど、すぅっと軽かった身体に重さも戻ってきた。そして目覚めたら色彩解除ォ!
「っきょーくん!」
「玲士……」
あっぶねぇー!!!!!!本当に玲士いたじゃん。うっかり瞼上げなくて良かったホントに。誤魔化せるんならギリギリまで誤魔化してみせるからな俺は。
「無事で良かった……!」
「心配かけてごめんね?玲士の声、ちゃんと聞こえたよ」
あー泣かせるつもりは微塵もなかったんだけどな……。泣いてても玲士は可愛……ハイ煩悩消去ォ!!!!
「ドロップキックに気をつけなァ!」
「きょーくん!?」
おう油断さえしなきゃお前なんて敵じゃないんだからな怪異さんよぉ……ってかサボテンマンが捕縛術式に切り替えたんじゃなかったのかよ、普通に動いてんじゃんこの怪異。




