7-15 「油断じゃないですイレギュラーに弱いんです」
現状を整理しよう。大雅を模倣した状態ならちゃんと怪異にダメージは入る。が、俺にも時間経過でダメージ蓄積してる。短期決戦が一番良さそうな気はするが、俺がしない動きをすればするほどダメージも増えそうだなこれ。筋肉痛で済めば良い方かもしれない。
「厳しそうです?」
「半々ってところだな。どうせなら完全勝利といきたいところだったが……」
「ああ、消耗が激しいと」
「そうともいう」
かすみ、堂々と会話してくるけど良いのかね?最早子供のフリしてないって言っても過言じゃないじゃん。俺相手だから気にしてない感じか?
大雅の動き、とにかく一撃が重くて速い。体の使い方……可動域って言っていいのかな、人体ってそこまで動かしていいんだ……みたいな動きを平気でやる。お陰で俺の身体がミシミシ言ってる。あと反応速度はそんな早くない気がするけど、認識から実行までが異常に速い。見てから避けるじゃなくて一瞬触れた瞬間に払いのける感じ。
「大雅はこれを補正なしでやってのけるんだもんなぁ……どんな鍛え方したんだよ」
大雅なら見てから避けるとかも出来そうなモンなんだけどな。どういう意図でこの戦い方してるんだろう。青の呪い相手にこの戦い方はあんまりよくなさそうなモンだが。
「……今でもその戦い方するの、こりませんよねぇ」
「知ってんの?」
「ふるーいおうちのいんしつなしゅほうです」
「ふるーいおうちの」
「いんしつなしゅほうです」
二回聞いてもよく分かんねーや。つまるところ大雅はハンデありきで戦ってるってことでオーケー?それ模倣してるの俺が馬鹿みたいじゃん。貴重なダメージソースだぞ。
「あ、大分アレンジはされてるので馬鹿は馬鹿でも今回は戦闘馬鹿なだけですよ」
「馬鹿なのは否定されねえのかよ。心読むな」
「顔に出てたので……」
そんな分かりやすいかなぁ俺!?別にポーカーフェイスとかガラじゃないから良いんだけどね!?
別に狙ってた訳じゃないけど機動力を削ぐように足元を抉る。ああ……ぐしゃっていう鈍い音したわ。この怪異に痛覚があるのかはちょっと分からないけど、明らかにさっきまでとは違う敵意がビシビシ刺さりますねぇ。
「ま、機動力削いで足止め……が現実的か」
「堅実~」
うるせぇぞ。いいじゃねえの堅実。色々やりすぎて正直頭パンクしたら困るからな、サボれるところはサボらせてもらいますよ。
大雅イメージを一旦切っていつもの足場と身体強化だけにする。ツルハシは普段のサイズに戻して、突進攻撃だけに注意…………って。
「おいおい……」
「あらら」
何というか……やけに真っ平になりましたね?
「溶けた?」
「地面に吸われてはないですよ?」
ええ……?じゃあこれ何?見た目が絨毯とかその辺りじゃん。困惑しつつも地上ちょっと上あたりから観察する。
「んん……触ったらヤバそ」
「上!」
大声に顔を上げる前に大きく後ろに……いやこれは不味い、囲まれてる!?
「かすみ!」
「っちょっと!?」
かすみだけでも逃がす!大きく放り上げて足場だけ作って受け止めて……くっそこの感覚知ってるぞ朱鳥が飛ばしてたやつ!
ずる、と手足絡めとられて地面へと急接近する。地面に正面衝突する寸前、酷く懐かしい声が俺を呼んでいた。




