7-14 「怪異との戦闘(生涯二回目)」
「この辺りで適当に落としてちょ、合図があるまで足止めおねがーい」
「おう任された」
「任されましたー」
いやかすみは降りろよ。しれっと同伴しようとするんじゃねえ。サボテンマンだけ手を離してくるりと反転、今度こそ怪異と対峙する。
デカい……けむくじゃらの獣みたいな。何かの本で見た祟り神みたいな風貌してら。木と同じくらいのデカさあるのに瞬間加速度が馬鹿みたいに高いの詐欺じゃん。その見た目だとパワータイプだろお前。
「さぁて、第二ラウンドといこうか?」
「いこー!」
足止めとは言ったが出来ることは何でもやってみようか。まずは剣を出して斬りかかる!バカみたいな硬さしてる!ガキンって音がしてちょっと刀身が弾かれたぞ!?
「これ体毛じゃねえの!?」
「かたーい」
そうだね硬すぎてびっくりだわ。刃が吹っ飛んだり折れたりはしてないけど、それは俺がイメージで剣を作ったからだ。多分生半可な武器だと武器の方が負ける硬さしてるぞ。
「じゃあ打撃なら!」
剣からツルハシへ変化させてそのまま殴る!うーん微妙!
「あんまり効果ないっ感じ!?」
「喧嘩は売れてそうですけどねー」
あっはっはすっげー攻撃されてるわ俺。瞬間的な速さはあるけど普段の速さなら全然余裕。攻撃に厄介さが足りねーな。あ、足さなくて大丈夫ですー。
コイツ、サボテンマンが言ってた通り割と動きが機械的というか、呼吸がとても分かりやすい。攻撃が通りにくいっていう致命的な問題さえなければ倒せそうなラインだよ。攻撃は今のところ一切通ってないけど。うーん大問題。
「かすみ、今から曲芸すっから」
「たのしみー」
曲芸とは言ったが別にガチで宴会芸とかをするつもりはない。ちょっとした検証実験のようなもんだ。俺は絶対しない動きだけど多分有効なバトルスタイルを強制的に行う、簡単にいうと”大雅の動きを俺が実行出来るのか”みたいな感じ。
俺は傀儡を受けてないから強制的に体を動かされるイメージってのはない。だが別にそっちはそこまで必須じゃなくて、大雅の動きを俺がどれだけ理解してるかってのが焦点になる。一応青の呪いのときにみてはいるし、頑張れば実行出来るかなーくらいの動きだった筈だが……。
「いつでもチャレンジ!!」
「チャレンジャー!」
意識はそのまま、体の動きだけを大雅に寄せる。あんまり動きは阻害しない、あるいは敢えて力を抜いて俺としての動きを減らす。俺が表面上理解している部分よりも多く、本能的に理解した部分まで合わせられるはずだ。
「ぐっ……」
おっと拒否反応。そりゃそうかどんだけ力抜いたって俺は大雅じゃないから完全模倣は無茶にもほどがある。でも、出来ない訳じゃなさそうだな?
特に何か考えてた訳じゃないけど、勝手にツルハシが一回りほど大きくなる。トン、と軽く地面を蹴ったと思ったら……凄いスピードで怪異の目の前に躍り出た。おいこのツルハシをそのスピードで振り下ろせんのかよ大雅。
「おー、やっぱ効きはするんだ、ツルハシ」
腕の筋肉がミシミシ言ってる感じがする。これ筋肉痛で済むかなぁ?この状態を長くキープするの、イメージがじゃなくて俺の肉体がきつそう。




