7-13 「手は鳴らさないが木々は鳴る」
「ヘイ恭也くん鬼ごっこは順調かい?」
「……しれっと追いつきやがってよぉ……」
「いやいや誤解だぜその認識。流石に結構な無茶してる。具体的には明日筋肉痛になる。三日は続くと見たね」
「あらー」
「うーん他人事!」
まぁ実際他人事だからなかすみにとっちゃ。かすみ自身は俺の背中にいるから筋肉痛とは無縁だろうし。筋肉痛程度で追いつけるの普通に何か……いやよく考えろ?大雅とか奏さんだとガチで余裕の表情して追いつく可能性ある。
「で、何でこっち来てんだよサボテンマン」
「気がついたらどっかいってたかすみくんの捜索……いや正確には多分くっついてったって分かってたからその確認と、俺はお相手さんが目的だからな、情報共有を兼ねた作戦会議が必要だと思ってな」
「作戦会議」
「そ。なにせ場所は用意したんだが誘導が難しい。今まであのルートから外れたこともないし、こんな素早いのも初めて見たし。いやーあの速さを足止めしなきゃいけないのベリーハードで困っちゃうな!」
「足止め……場所によるけど、出来るんじゃね?」
「いけるかい?お前さん、相手とは初対面だぜ?」
「情報次第ってとこだな。ある程度のアドリブなら対応できると思う」
ぶっちゃけある程度の情報があれば能力的に有利取れるよな?山……に攻撃するわけじゃないけど、慣れ親しんだ場所だから色彩の調子も心なしか良いし。
「てことで情報」
「お相手は少し前に発生した核があるタイプの怪異だな。多分。なんらかの意図があって特定ルートを往復してたと読んでたが……因みに俺は一回接敵したことあるけどその時は見向きもされなかったぜ」
「え?」
こんだけ追っかけて来てる相手が?ってことは俺達が何らかのトリガーになった可能性があるってことか。……じゃあそれ、かすみか俺が原因の可能性高くない?
「あ、色彩使った相手とか……」
「いやそれはない。俺も色々ちょっかいかけたけど全部無視されてるから。足止めも特定ルートからの逸脱も失敗してるぜ?」
「この状況見てどう思います?」
「あっはっは別個体かな!!おかしいなぁ同個体だぞぅ!」
うん分かる。あんまりにも事前情報と違いすぎてやけくそにもなる。何が原因なんだろうなァ紀陽は確実に足踏み入れてるような気がするから家の方でもないんだよなー。
「じんいてき、ですからねぇ」
「人為的?それってどういう……」
「かそくしまーす」
「っ!」
咄嗟にサボテンマンを引っ掴んで上空へと緊急離脱する。おいおい、まだ早くなるのかよホントに今の突進攻撃じゃねえか。……流石にあのスピードは瞬間的なもんか、連発出来ないことを祈るしかねーな。流石にあの速さだと追いつかれる。
「場所教えろ!」
「へいそこ百メートル先右折ぅ!」
悪いが俺の距離感はガバガバだぞ!?百メートル先とかじゃなくて目印の方で教えてくれると嬉しいなー!!!
「そんなにっ!事前情報と違う相手だがどうにかなんの!?」
「どうにかなるか、じゃないぜ恭也くん。どうにかするんだよサボテンの名に懸けて」
「安心しろそれにそんな魂かけてるのお前だけだわ」
「いや他にもいるってほら世界は広いから」
「どうでしょうねぇ」
「二人揃って辛辣!あ、次の木を迂回して左折だぜー」
おい迂回して左折って無茶言うなよ。偶然狙って顔面強打させるぞサボテンマン。カッコイイこと言ってるけど結局行き当たりばったり感が否めてないからなサボテンマン。




