食事休憩
荷袋から食料を出しながら、バイスは空を見上げた。
「それにしても、天気が良くて何よりだ。」
日差しも風も強過ぎず、心地好い。雲が広がり、その合間に澄んだ青い空が顔を出している。
出発してすぐに、トルクの分だと水袋を受け取った。食料はバイスが準備していた。味の保障はないが、必要な分は用意してあるという事を城を出る前に聞いていた。そのため、トルクは自分の身の回りの物を準備するのみで済んだのだ。
街道を少し離れて、草原の適当な場所に陣取った。草の茂った平坦な場所である事を、足で踏んで確認する。トルクは荷物を足元に置き、腰を下ろした。バイスから食料を受け取り、荷物の外側に吊るしていた水袋も手に取る。まずは水を一口飲み、それから食料を包んでいる布を開いた。
硬く干された肉が細長く千切られたものがいくつかと、硬く焼かれたパン。日持ちするように作られた物だ。街を長く離れるのが初めてのトルクにとっては、珍しいものだった。しげしげと眺めているのに気付き、バイスが笑う。
「なかなか噛み応えのある物だから、しっかり噛んで食べてくれ。」
「はあ……。」
トルクは肉を一切れつまみ、口に入れる。確かに噛み応えがある。始めは塩気を感じたが、噛んでいるうちに肉の旨みが口の中に広がってきた。暫く噛んで、パンも齧ってみる。それらを飲み下すと、喉の渇きを覚えて水を口に含んだ。
「古文書って……。」
ふと思い出して、トルクは言葉を出す。バイスが振り返ったのを見て、トルクは少しだけ考えた。改めて、口を開く。
「これから行く遺跡の事が書いてあった古文書って、最近見付かった物なんですよね? どうして最近になって、そんな物が?」
もぐもぐと口を動かしていたバイスは、小首をかしげた。ごくりと口の中の物を飲み込み、答える。
「東の都にあった物らしい。あちらは、ラカラよりも古くからある都市だろう? 古い書もいろいろありそうじゃないか。」
視線を東の方へと向けた。つられてトルクもそちらへと顔を向ける。現在居る場所ではまだ遠くて、街影は覗えない。
バイスは続ける。
「ある家に置いてあった物が、人づてで城に居る書記官の所まで来たようだ。まぁ、こちら方面の事が載っていたようだし、それもあってなんだろう。書記官が昼食を食べながら見ているのを王子が気付いて、きちんと解読させる事になったと聞いた。」
片膝を立てて、その上に腕を乗せた。




