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第9話 ウエウエチャンネル

◇


「やあみんな。今日は見てくれてありがとう。ではウエダカズキの【ウエウエチャンネル】配信スタート」


 僕は司祭をしているウエダカズキ。あんまり見てくれる人もいないけれど、配信をしてる。ドローンが僕をターゲットにして少し前に浮かぶと撮影して配信までやってくれる。

 今日は50人いる。100人の壁を越えられないのが悩みの配信者。

 前回のゲート先でモンスターに追われてメイスと盾を無くした。それで都庁によってメイスと盾を仕入れた。

 少し痛い出費。司祭の職業はレア度3の冒険者。日当は高くても1万程。もっと頑張らないと普通の職業に負ける。

 まあ、この間のゲート事件で助けた人が冒険者になって報酬が高くなったから余裕が出来たけどね。


「新たにできたゲートにやってきています。ここの第一層の魔物は亜人種。ゴブリンとオークが確認されています。知っていますか? オークを倒したのは僕が助けた冒険者なんですよ」


『嘘オツ~』


『事故で巻き込まれた奴がオーク倒せるほど成長できないだろ。ニワカかよ』


 コメントが多く流れる。やっぱり、事故のことを発言した方がいいかもしれない。


「嘘じゃないですよ。なんと、このメイスと盾もその冒険者が作ったものらしいです」


『はあ? まじでニワカ』


『生産職でオークを倒すのなんて無理に決まってる』


『高レベルならともかくな~』


 更に増えるコメント。女性だっていったら更に増えそうだぞ。


「とにかく~、嘘じゃないです。司祭でソロプレイをしてる僕が言うんだから間違いない。司祭嘘つかない」


『ソロプレイはボッチだからだろ』


『友達いない子可哀そうな子』


『馬鹿違うって、パーティープレイでミスしてから入れないんだって』


 ……嫌なコメントが入る。それでも受け入れるしかない。

 そう、僕はパーティープレイが苦手なんだ。回復スキルを使える僕はパーティープレイをするべきなんだ。

 だけど、うまくいかない。みんなの盾役の戦士や騎士をゲームみたいに回復させるだけならいいんだ、僕でもできる。

 でも、現実は違う。どんなに戦士や騎士が挑発をしてもスキルじゃなかったら攻撃が集中しないんだ。盾役と言っても盾になれることは少ない。

 司祭の僕も盾を持つことになるのはそう言ったところ。敵に近い人が攻撃を受けるだけの世界。回復させようと思っても次から次へと攻撃が分散する。

 仲間の叱咤が飛び交い、僕は脱退した。司祭としてうまくいく未来が見えなかったんだ。自分のせいでだれかが死ぬ、そう思ったらパーティーなんてできない。


「……」


『あれ~泣いちゃった?』


『泣かな~い~で~』


「あ、すみません。泣いてませんよ。ははは」


『放送事故』


『有名配信者なら切り抜きだな~』


 コメントに苦笑いをして流す。

 有名じゃないのは分かってる。今更普通の職業に戻るなんてできない。配信業を頑張らないと。


「お、ゴブリンがいますね。冒険者が少ない今のうちに稼がないと」


 ゴブリンを見つけてメイスと盾を構える。こちらに気づいたゴブリンを一蹴。一振りで仕留める。


「……あれ? 攻撃力高い?」


『司祭、メイスで殴ることに驚く!』


「あ、いや違くて……。前のメイスと少し」


 ゴブリンが一発で死んだ。確かに前もあったけど、あれは思いっきり振りぬいた時だったはず。

 ゴブリンは確かに一般人でも倒せるくらい弱い。でもそれは思いっきり振りかぶったような一撃や、体重を乗せた攻撃などだ。

 僕がはじめてゲートに入って冒険者になった時もそんな感じだった。ゴブリンのこん棒を奪って振りかぶったんだ。

 でも、今のは違う。少しかすらせてけん制しようと思った攻撃。それでゴブリンは息絶えてる。


「もう一度」


『悲報、ゴブリンをいたぶることを覚えた司祭』


『荒ぶる司祭と名付けよう』


 コメントを読み上げるドローンに答えることも忘れてゴブリンを探す。少し歩けばすぐに現れる。


「は、ははは……。アカザワさんの言っていたとおりだ」


 ほんとに凄い武器だ。ゴブリン2匹を横なぎに払っただけで倒せた。魔石を拾ってポケットにしまう。


「これならソロでオークも」


『司祭。オークも殴ると宣言』


『末恐ろしい司祭。回復職なのを忘れている』


「はは、確かに可笑しいですね」


 モンスターを倒すのが楽しくなってる。オークを探しながらゴブリンを狩っていく。

 僕は油断してた。オークの前に職業を持ったゴブリンが現れることもあるのに。


「うわっ!? って矢?」


「ギャギャギャ!」


 ゴブリンアーチャーだ。弓を扱える職業を持ったゴブリン。亜人種のような知性を持ったモンスターは人と同じで職業を持つことがある。

 矢が腹部に当たったけど、刺さらずに落ちる。革の鎧を着ているけど、矢をはじくほどの強度はない。これは装備のおかげ?


『今、矢をはじいた?』


『吉報、司祭の腹筋は割れてる』


「あ、いや。僕の腹筋ではなくて」


『割れてないのにはじいただと!?』


『ペロペロしたい』


 コメントが荒れる。ってそんなこと言ってる場合じゃない。早く距離をつめて倒さないと。また矢が飛んでくる。


「ギャ!」


「うわっ!? ってやっぱり矢をはじいてる!?」


 今度は腕に当たった。盾を持たない方の腕。メイスと盾を失った時もこうやってやられたんだ。

 前回の仇をとる絶好のチャンス到来だ。


「この~!」


「ギャギャ~」


 ゴブリンアーチャーは3発矢を射る。1発が胸に当たる。だけど、僕は無理やりメイスを奴の顔にねじ込む。

 矢はぽろりと落ちて少しの痛みだけを残した。


「ハァハァ、強くなってる明らかに前回よりも」


『司祭様興奮してる』


『矢が通じない司祭爆誕?』


 コメントが沢山。120人の視聴者。100人を超えた初めてのライブだ。凄い。


『都庁でその装備買えるのか?』


「え? あ、はい。今日から販売してるみたいです。数は少なかったように感じたので急いだ方が」


『すぐに行くでござる!』


 コメント欄にも冒険者がいたみたい。これは冒険者ギルドが忙しくなりそうだ。って僕はそんなに凄い配信者じゃないから大丈夫か。


◇

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