清子の信頼
夕食が終わり清子は台所で洗い物をしていた。夫はリビングでテレビをみているが、清子はそれを気にする風もなく洗剤をスポンジで膨らましていた。真名のことが気がかりだったが、しばらく様子をみることにした。清子が洗い物の途中まで終える頃、真名が台所に珍しくやって来た。清子は驚いて真名に視線を移し、どうしたの?と話かけた。
「うん、たまにはお手伝いしようと思ってさ。お母さんも休みがないから大変でしょ?たまには親孝行させてね」
「それは嬉しいけど、何か話でもあるんじゃない?イイわよ、お母さんが聞いてあげる」
清子が黙っていると真名が話を切り出した。
「今晩、達也と遊ぶ約束があるの。門限は守るから、お願い許してくれる?」
それを聞いた清子の顔をこわばった。一瞬、頭のなかに怒りが湧いてきたが、自分でそれを制して真名に笑顔をみせた。清子は真名を信じてみることにした。
「いいわよ。門限までお母さん待ってるから。気をつけていってらっしゃい」
「ほんと!ありがとうお母さん」
真名の笑顔に、清子はこれでいいのだと自分に言い聞かせた。きっと真名は門限を守ってくれる。自分を裏切るような娘じゃない。洗い物を済ました二人は、台所を後にした。清子の心には暗い影が存在した。




