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ソウマの部屋

○センゴク




ドアを開けたらそこには本しかなかった。




本棚から溢れ出る本。本で埋め尽くされて開かなくなっている窓。



机の上にも椅子の上にも積み上げられた本、本、本。




こんなにも本だらけなのに、不潔感が全くない。



ホコリひとつ被っておらず綺麗に整頓されているのだ。





大事にしているんだ。

あのセロハンテープまみれの漫画と同じで。






「狭い部屋でごめん。適当に座って」



俺は天井にまで積み上げられた本を見上げながら床に座った。


まるでここは本の森だ。

こんなに囲まれて生活なんてできるのか?



積み上げられた本と本の間にベッドが見えたが、足は伸ばせなさそうなほど周りの本で圧迫されている。


ソウマはただのアニメ好きのオタクだと俺は思っていたが、オタクも度が過ぎるとここまでいくのか。




俺と向かいあうようにして座ったソウマはさっきと違って顔を上げて俺をしっかりと見つめた。


「センゴク君」


ソウマは頭を下げた。

「さっきはごめんなさい。僕、すごく君に嫌な言い方をしたよね」



俺はそんなソウマに拍子抜けした。

さっきまであんなにも怒りを俺にぶつけてきたくせに。



まあ、でも




「俺も悪かった。今も昔も」

俺はそう言って頭をかいた

「俺、正直羨ましかったんだよ。お前が」



頭を上げたソウマの顔は、目が点になっていて全く理解できないという顔をしていた。


「僕が?なんで?僕なんてセンゴク君がさっき言ったようにオタクとしてぐだぐだ生きてて」


「だからそれは悪かったって。撤回するよ。お前言っただろ?サカキが死んでも俺が涙ひとつ見せなかったって」


「それこそ、本当にごめんなさい。そんなこと言うつもりなかったんだけど」


「その通りだから俺も熱くなっちまったんだよ。俺、お前みたいに泣けないんだよな。この世界に長くいるからなのかわかんねえけど」


俺はサカキの漫画が入った茶封筒を見つめた。

「でも、これを読んだら何か変わる気がすんだよ。だってこれは俺とサカキの物語なんだろ?」


ソウマは俺の目を見つめた後、目を伏せて頷いた。



「確かに、そう言ったね」


「でも、俺にはどうしてもわからねえんだよな」


俺は狭いこの部屋で、できる限り足を伸ばした。

「この漫画、意味分かんねえ言葉ばっかり出てきて、頭がついていかねえんだ」



ソウマは、うーんと唸った。


「センゴク君って何の漫画を読んだことあるの?」


「何も」


「何も?」


「何も読んだことねえよ」


「え」




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