ハル
◯センゴク
ばしゃん!!!
俺はソウマの顔を見つめた。
ソウマも何が起こったのかわからないで、まばたきを繰り返すだけだった。
ただ俺たちはびしょ濡れになっていることだけはわかった。
「はい!そこまで!」
女の声が聞こえて俺とソウマは同時に声がした方を見つめた。
そこにはバケツを持った女が立っていた。
俺は何が起こったのか理解ができず、止まった時間を動かしたのはソウマが言い放った一言だった。
「ハル」
春?
俺はまだ理解ができず相変わらず固まっている。
女はにっと笑った。
「とりあえずふたりとも向こうで体拭いてきなよ。それから」
女は足元に置いていたスーパーの袋を持ち上げた。
「晩ご飯にしよ」
熱い茶をぶっかけられてそれから水までぶっかけられた俺はさすがにさっきまでの怒りは消えていたが・・・
「・・・」
無言でソウマは俺にタオルを差し出した。
相変わらず顔はこっちを見ていない。
ソウマの怒りはまだ収まっていないのだろう。
俺はタオルを受け取って顔を拭いた。
「あの女は?お前の女か?」
ソウマが吹き出した。
「僕の女?ハルが?」
そうか、春じゃなくてハルか。
あの女の名前なのか。
「違うのか?」
「違うに決まってるじゃないか。ハルは僕の妹だよ」
ソウマは顔をタオルで荒く拭くと洗濯機の中に投げ込んだ。
「センゴク君、今日はもう帰って」
俺が言葉を発する前にソウマは2階へと上がり、バタンと大きなドアが閉まる音がした。
その音を聞いて俺は思わず鼻で笑っていた。
「あいつ、普段はびくびくしてるくせにたまに噛み付いてくるな」
さっき俺を睨んできたソウマの顔はまだ俺の目に焼き付いている。
高校の頃よりかはちっとは男らしくなってるみたいだな。




