あの頃とは違う
◯ソウマ
「ま、お前にさっき言われたとおりだよ。俺たちが幼稚だったのさ。あ、今でもか」
そう言って笑うセンゴク君の横で僕は思わず青ざめていた。
僕、さっきそんなことまで言ったのか。
な、なんてことを!!この半殺しのセンゴクに!!!
「ご、ごめん。生意気言って」
センゴク君の笑い声が止まった。
「いや、熱くなった俺が悪い。すまなかったな」
そう言って申し訳なさそうな顔をして頭を下げるセンゴク君を僕は人生で初めて見た。
あの半殺しのセンゴクが頭を下げている!!
僕は雷に打たれたような衝撃を受けていた。
“センゴクはちょっとは大人になったよ。俺、卒業してからずっとあいつのこと近くで見てるからさ。さすがにわかるんだよ。だからソウマ。あいつのこと、許してやってくれ”
確かにサカキ氏もそう言っていたが半信半疑だったのだった。
「なんだ?何固まってるんだ?」
雷に打たれたような僕を不思議そうに見つめていた。
「い、いや別に」
センゴク君は本当に少し変わったのかもしれない。
まあ、よく考えれば高校の頃から15年は過ぎているのだから当たり前ではあるのだが。
15年・・・
あれからもう15年も経つのか。
“なんで、なんで君までそんな道を選ぶの?”
サカキ氏、君がこの道を選ばなければ君はまだこの世に生きていられたのに。
僕は昔から泣き虫で、少しでも悲しいことがあると泣きたくなくても涙が止まらなくなる。
だから、また涙を止めることはできなかった。
ぎゅっと僕は拳を握り締めた。
どうしようもない。
このヤクザの道を選んだサカキ氏を止めることなんて僕にはできなかったし、サカキ氏の死に際に駆けつけたとしても平凡で一般人の中の一般人な僕には何もできなかったに違いない。
僕の横にいたセンゴク君はふっとタバコの煙を夜空に向けて吹きかけた。
“だからソウマ。あいつのこと、許してやってくれ”
サカキ氏の声を思い出したような、本当に聞こえたような気がした。
でも僕は、わざと下を向いてその言葉には何も答えなかった。




