蝶カッコいいパリス様VSツキヨダケ
菌糸の森にはキノコがいる。それはまぁ当然のことだ。
キノコと植物は違う。それも当然のことだ。ただ決定的に違うことは基本的にはキノコは光合成をしないという点だ。
キノコモンスターの恐ろしい点は暗闇でも昼とあまり変わらずに蠢くという点である。
中には夜になるとその真価が発揮されるものもいる。
キラキラタケからの進化先であるヤコウダケやその進化先のツキヨダケなどがそうである。
ミラーボールのようなキララタケ、それに加え自己発光機能の付いたキラキラタケから更に進化したヤコウダケは、
日中蓄えた日光を光エネルギーとして攻撃又は回復に使用できるという、
ある種の光合成機能を手に入れたキノコモンスターである。
更にその上位のツキヨダケは滓かな月光からさえも光を吸収し昼夜問わずブーストされたキノコモンスターであり、
非常に危険であるが夜の暗闇の中で仄かに光っているので霧が濃くならない限りは知っていれば危険を回避できる。
また初期形態のキララタケは弱い上に目立つ存在ではあるが、
それは隠れ忍ぶ罠型モンスター、プレデタートリュフなどと共生してその弱点を埋めている。
そんなわけでこの森にはそれなりな数のキララタケ系統が存在する。
その進化系もまたしかりだ。
湿っているうえに風が通りにくく霧が立ち込めることが多いこの森であるが、
霧が晴れた夜には上空から見ればほんのり森が光っているのが見て取れる。
倒したキララタケは宝石の様で人間には人気があるが、人間に倒せないから理外の化物と呼ばれるのだ。
キララタケの時点ではそれが集団でいるのだ。人間がどうこう出来るものではない。
またよしんば倒せたとしても、その共生者たるプレデタートリュフには不意打ちをされなくても勝てないのが人間の限界だ。
世の中にはその限界を超えた『勇者』なる者もいるがそれはほんの一握りの中の一握りだ。
普通の人間ではそうはならない。人間にとっての魅力がわんさか詰まっているこの森は人間に厳しいのだ。
但しプレデタートリュフなどの共生者などもものともしない強者、つまり同じ化物にとっては別である。
「ほんと意外とこのキノコうめ~よな。コリッとしてて。――――はいお前邪魔~。…後で食ってやるから焦るなって。
元からいるのは判ってたんだし。」
強者、つまりパリスはキララタケやキラキラタケを食べながら襲い掛かるプレデタートリュフもあっさり倒してそれも食べる。
パリスはスキル『発光』『ザ・目立つ』『美味化』『早食い』『戦闘後捕食簡易化補正』を手に入れた。
『発光』、『ザ・目立つ』は戦闘には一見直接関係なさそうなスキルであるが、
『光学操作』を持つパリスが使用するとその効果が飛躍的に跳ねあがる。
そして何よりもカッコいいではないか。パリスにはそれが一番大事だった。
そんな『発光』のスキルが早速役立つ機会がやってきたのだ。
それはその日の夜の話である。
何と無く小腹がすいたパリスは目立つ発光キノコを探しに飛び回った。
その日は珍しい程空が澄んで、しかも満月の日であった。
夜だからと敢えて透明化を解き自分のイケメンさを森中にアピールするように飛んでいたパリスに何かが飛んできた。
その何かは空き缶ではないし座布団でもない。レーザーだった。
まさか同じ硝子翅蝶系統、あわよくばかわいい女の子がいるのかと思い敢えて姿を見せたままレーザーを躱しながら
レーザーの発射方向へ向かって言ったパリスが見付けたのは可愛い同種の女の子ではなくデカい光るキノコであった。
「期待させやがって。……お前超フルボッコな?」
そういって翅でデカい光るキノコ『RANK B-モンスター ツキヨダケ』に斬りかかるがツキヨダケの表面は固く中々攻撃が入らない。
だからといってツキヨダケが圧倒的に有利かというと実は『光学操作』の反射なり透過なりすればツキヨダケのメイン攻撃、
レーザーも無意味に変わるのだ。そもそももともと硝子のような透過性の高い翅であるし、
更に意識して完全に透明化すれば全く完全にパーフェクトにレーザーがすり抜ける。
但しツキヨダケの攻撃はレーザーだけではない。その硬い表面を生かした打撃だ。
だが欠点としてそれまでの進化前と比べ地にしっかり体を固定しているためせいぜい傘の部分を振る程度の事しかできない。
打撃が通用しないという状況であったが直接攻撃の為の移動もしない。
レーザーも効かないという状況でパリスは超余裕だった。
ツキヨダケに対し色々試してみようと思ったパリスはとりあえず軽く『可燃付加』した糸を根元に巻きつけ『発火』させてみるが
他のキノコ程は効かない様子だった。それでも全く効いてないわけでは無く確実に効いている。
このまま放っておけば勝てるのだが、せっかくなので色々試してみようとしたパリスは『可燃付加』していない糸を上から巻きつけて火を包み消した。
離れた場所で攻撃を受ける時以外はわざと姿を現しているパリスに対し、
ツキヨダケは太いレーザーを放ってくるがだんだんレーザーが弱くなってきた。よく見ればツキヨダケの発光も弱まっている。
暗くなったなとふと空を見上げればいつの間にか雲が空の月を覆っていた。
雲の隙間から時折月が光を降り注がせたときにツキヨダケは再び輝きだしレーザーの威力を強めてきた。
そこでパリスは気付く。ツキヨダケは僅かな月光を吸収しパワーブーストしていると。
そう気づいてからのパリスの行動は厭味ったらしかった。
ツキヨダケに降り注ぐ月光の進路上に敢えて透明化を逆作用し光を透過しにくくした体で塞ぎ、
それでも周囲の地表から反射する月光を吸収しようと光の感度を上昇させたツキヨダケにに対し
パリスはその様を見下すように眺めていた。その身体を『発光』させてだ。
パリスが零した光を飢えた乞食のように必死に吸収しようとするツキヨダケを嘲笑いながら、だ。
パリスが『発光』してからは一気に光の吸収速度を上げ、周囲の光を十分な量に、
いや光が効かないパリスに何とか効果がある攻撃を加えようと十分以上な量まで光を吸収したツキヨダケは、
まるで地上に落ちた月かのように爛々と光っている。
そしてその溜めこんだ光を一気にパリスに放射した。
強力なレーザーをパリスはもろに受け、――――――――――そしてそれを全反射した。
昼間に手に入れたツキヨダケの進化前たる同種のキラキラダケから奪った『発光』も加えて。
…ところで耳元で大声で叫んだり目に強力な光を当てたりしたらどうなるだろうか?
そりゃまぁ聞こえなくなったり見えなくなったりするだろう。普通。
それがもし聴覚、視覚などではなく、エネルギー吸収という生命に直接かかわる部分に行ったらどうなるだろうか?
機械に必要以上の高電圧をかけたようにおしゃかになってしまうであろう。
パリスがやったことはそれだ。
先程例に挙げた機械のようにツキヨダケはその見た目には最初にパリスに根元を焦がされた以外には大した見た目の外傷を持たないまま動かなくなった。
パリスはツキヨダケに近づいてその根元を何度か斬りつけた上で切り倒した。先程の反射で死んでいたのか、
ただ一時的に動けなくなっただけなのかはわからないが、切り倒された今、ツキヨダケは完全に死んだ。
その死んだツキヨダケは死してなお美しく光っている。人間が発狂するほど欲しがるであろうツキヨダケも、
パリスにとっては単体になった上にお供のプレデタートリュフもいないツキヨダケはただのザコに過ぎない。
格闘ゲームのハメ技の如き必勝であった。
パリスはスキル『光吸収』を手に入れた。
パリスの戦い方を研究熱心ととるかただの嗜虐趣味と取るかは受け取り手次第であるが、
他者の命を弄ぶのが嫌いな人から見ればパリスは悪魔に見えるのかもしれない。
…あっ別に他者の命ならいいですという方はこれからも応援してください。
キララタケ RANK E
ピカピカ反射する蠢くキノコモンスター
集団で存在し、自分では光れない為集団の中のキラキラタケの光等を反射する。
囮となってプレデタートリュフと共同して罠を張り獲物を捕らえる。
ミラーボールのようで目立つ。
キラキラタケ RANK D
自分で発光するキララタケの進化系。
ヤコウダケ RANK C-
日中蓄えた光を吸収し攻撃や回復、又は成長に使う。
集団から離れ単独となり留まる場所を探す。
ツキヨダケ RANK B-
光の感度と吸収効率が上がったが、動き回れなくなった。
昼間は傘だけを地表にだし目立たないようにしている。
でもキラキラしているのでよく地面を見ていれば気付く。
夜になると本性を現し太いレーザーを撃ちまくる。
光吸収のブースト無しでもそれなりにレーザーを撃てるが、光を吸収した際のレーザーは凄まじい。
クリスタルトードストール RANK B+
スキル『戦闘後捕食簡易化補正』
戦闘で倒した敵の死体が若干食べやすくなる。
『吸収』『反射』系スキルに関して。
基本的には『耐性』系スキルの上位。『耐性』との重複も可能。あんまり意味が無いけど。
但しその個体に素養がないと手に入れるのは非常に難しい。
今回は既にパリスが『光学操作』という上位光属性特性をもっておりスキル『光吸収』との親和性が高く、
なおかつパリス自身のポテンシャルが高めであり、あと運がよかったのでGETできた。
才能ない奴がどんなに頑張った所で良くて『耐性(大)』止まりちょっとだけ才能がある奴なら『無効』までいく。
時折強運で手に入れる奴もいるが、まぁそんなのは例外。




